インデックスファンドの代表格ともいえる「オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」。
2026年2月20日時点で純資産総額は10兆円を超えています。
「とりあえずオルカン買っとけばOK」といった声が聞かれますが、オルカン投資が最適解かは個々で異なります。
オルカンはどういうものに投資していて、リスクはどの程度あるのか。これまでの運用実績や運用にかかるコストはどれくらいかかるのかなど、理解して納得した上で投資判断をしましょう。
この記事では「オルカン」について詳しく解説していきます。
1. 「オルカン」の利回りは何パーセント?
オルカンは2018年10月31日に設定されたファンドです。
2026年1月末時点から過去を振り返ると、平均利回りは次のようになります。
- 過去5年の年平均:約19〜20%
- 過去3年の年平均:約24〜26%
- 過去1年:約21%
どの期間で区切るかで平均利回りは変わりますが、「年20%前後」という驚異的な数字が出ています。
「年20%」というのは、元本が3〜4年で2倍になるようなペースです。これほどまでに高パフォーマンスを見せている要因として、世界的な株高と円安があげられます。
- 米国株の独歩高: 世界の約6割を占める米国株(特にハイテク株)が絶好調だった。
- 円安の影響: 外貨で運用されているため、円安が進むと日本円での評価額がそれだけで膨らむ。
このデータだけ見ると優れたファンドのように見えるかもしれません。
しかし、利回りはあくまで「平均」です。+30%になることがあるなら、▲30%になることもあるということを十分に理解しておく必要があります。
2. 「オルカン」という投資信託を通じて「どんな株」に投資しているの?
投資信託とは、投資家から集めたお金を、運用のプロが株式や債券、不動産、金などに投資・運用して、その成果を投資額に応じて分配するという仕組みの金融商品です。
オルカンの投資目的は「日本を含む先進国および新興国の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざす」です。
このように投資信託といっても銘柄により「投資目的」が異なり、何にどれくらい投資しているか、投資先も異なります。
では、「オルカン」は何にどれくらい投資しているのかを見ていきましょう。※2026年1月末時点のレポート参照
2.1 組入上位10ヵ国・地域
1 :アメリカ 61.9%
2 :日本 5.0%
3 :イギリス 3.3%
4 :カナダ 3.0%
5 :台湾 2.4%
6 :フランス 2.2%
7 :スイス 2.1%
8 :ドイツ 2.0%
9 :ケイマン諸島 1.8%
10: 韓国 1.8%
2.2 組入上位10銘柄
銘柄 (国・地域 業種) 比率
1: NVIDIA CORP (アメリカ 情報技術) 4.8%
2 :APPLE INC (アメリカ 情報技術) 3.9%
3 :MICROSOFT CORP (アメリカ 情報技術) 3.1%
4 :AMAZON.COM INC (アメリカ 一般消費財・サービス) 2.4%
5 :ALPHABET INC-CL A (アメリカ コミュニケーション・サービス) 2.0%
6 :ALPHABET INC-CL C (アメリカ コミュニケーション・サービス) 1.7%
7 :META PLATFORMS INC-CLASS A (アメリカ コミュニケーション・サービス) 1.6%
8 :BROADCOM INC (アメリカ 情報技術) 1.5%
9 :TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFAC (台湾 情報技術) 1.4%
10 :TESLA INC (アメリカ 一般消費財・サービス) 1.2%
オールカントリーだから、世界のいろんな国々の株式に投資しているという印象を持つかもしれません。
たしかに、日本やイギリス、カナダ、台湾など複数国の株式に投資していますが、比率をみると約62%がアメリカです。
もし別のファンドで米国株に投資している場合は、オルカンを追加することで投資割合が米国株偏重になってしまいます。
「投資対象国を分散=リスク分散」したい場合は、オルカン以外のファンドを検討する必要がでてきます。
ただし、現在は米国が約6割を占めていますが、市場の変化に合わせて比率を調整する「リバランス」が自動で行われるため、この割合は固定ではありません。将来、他の国が成長すれば、その勢いに合わせて中身も自然に塗り替えられていきます。
3. ベンチマークに対するオルカンの騰落率は?
オルカンのような「インデックスファンド」には、運用の目標となるベンチマーク(指数)が存在します。
オルカンの場合は、全世界の株式市場の動きを表す「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」がそのベンチマークです。
インデックスファンドの使命は、このベンチマークと同じ値動きをすること。つまり、「指数が5%上がれば、ファンドも5%上がる」という状態を目指して運用されています。
では、実際のオルカンはどれくらい正確に指数と連動できているのでしょうか? その実力を確認してみましょう。
オルカンは設定来、ベンチマークを1.4%上回る運用を実現してきました。この傾向は短中期でも同様で、直近1カ月から3年のいずれの期間においても、一貫して指数を上回る成績を出し続けています。
4. 運用にかかるコスト(信託報酬)はどれくらい?
オルカンがベンチマークを上回る成果を出せているのは、単に「世界経済が成長しているから」だけではありません。
徹底したコスト削減によって「運用努力の成果」がそのまま投資家の利益として残る仕組みになっているからです。
投資信託を保有している間、ずっとかかり続ける「信託報酬(管理費用)」は、長期の資産形成においてリターンを削る大きな要因となります。オルカンの信託報酬は以下の通りです。
信託報酬(年率):0.05775%以内(税込)
これは、100万円を1年間預けていても、手数料はわずか577円程度という計算になります。一般的なアクティブファンド(年率1.5%程度)と比較すると、その差は歴然です。
また、信託報酬以外にも、売買手数料や保管費用などの「隠れコスト」を含めた「総経費率」で見ても、オルカンは極めて低水準に抑えられています。長期投資では、この数パーセントの差が数十年後の資産残高に数百万円の差を生むことも珍しくありません。
5. まとめ
2026年現在、純資産10兆円を突破したオルカンは、米国株高と円安を背景に年20%前後の高い利回りを記録しています。
約6割が米国株ですが、自動リバランスにより常に世界経済の成長を取り込む仕組みです。
設定来、ベンチマークを上回る安定した運用を見せており、良い面ばかりがフォーカスされがちですが、相場下落時のリスク理解も不可欠です。
【投資に関するご注意】 本記事は、特定の金融商品の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資には元本を割り込むリスクがあります。投資に関する最終的な判断は、必ずご自身の責任において行われるようお願いいたします。
参考資料
- 三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」
- 三菱UFJアセットマネジメント株式会社「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)月次レポート」
和田 直子