2026年1月、厚生労働省から2026年度の年金額改定が発表されました。
国民年金は1.9%、厚生年金は2.0%の引き上げとなりましたが、物価の高騰も続いており、余裕がある老後生活を送れるとは言い切れません。
老後にもらえる年金の目安額を把握した上で、しっかりと高齢期に向けた資金準備を行うことが大切です。
今回は、厚生労働省から発表された年金受給目安額のモデルケースをご紹介します。
厚生年金・国民年金の平均受給額や老齢年金を増やす方法も解説していくので、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
1. 【ライフコース別】老齢年金の受給目安額
まず、2026年度の年金額改定と合わせて厚生労働省から発表された「多様なライフコースに応じた年金額(概算)」から、5パターンの年金受給目安額をご紹介します。
ご自身のライフコースに近いものを参考に、老後の年金額を概算で把握しておきましょう。
1.1 ①厚生年金期間中心の男性
- 概算の年金月額:17万6793円
- 平均厚生年金期間:39.8年
- 平均収入:50.9万円(賞与含む月給換算)
- 基礎年金:6万9951円
- 厚生年金:10万6842円
会社員・公務員などで長く勤め、賞与を含めた月給換算の平均収入が50万円ほどであれば、毎月17万6793円ほどの年金を受給できることになります。
大きな贅沢は難しいものの、無駄遣いをしなければ老後の生活費が大きく不足する可能性は低い水準と言えるでしょう。
1.2 ②国民年金(第1号被保険者)期間中心の男性
- 概算の年金月額:6万3513円
- 平均厚生年金期間:7.6年
- 平均収入:36.4万円
- 基礎年金:4万8896円
- 厚生年金:1万4617円
厚生年金への加入期間が短く、自営業や農業・漁業に長く従事していた方の年金目安額は月額6万3513円です。
厚生年金による上乗せ分が少ないため、①に比べて受給額が少なくなっています。
1.3 ③厚生年金期間中心の女性
- 概算の年金月額:13万4640円
- 平均厚生年金期間:33.4年
- 平均収入:35.6万円
- 基礎年金:7万1881円
- 厚生年金:6万2759円
厚生年金期間が長い女性は、月額13万4640円が受給目安額になります。
同じ厚生年金期間が中心の男性(①)と比べ、受給額は少なくなっています。
結婚・出産などで退職したり、収入が減ったりする女性が多く、厚生年金の受給額が少ないことが原因です。
1.4 ④国民年金(第1号被保険者)期間中心の女性
- 概算の年金月額:6万1771円
- 平均厚生年金期間:6.5年
- 平均収入:25.1万円
- 基礎年金:5万3119円
- 厚生年金:8652円
国民年金の第1号被保険者期間が中心の女性は、月額6万1771円が受給目安額になります。
こちらも②の男性同様、厚生年金の上乗せ分が少ないことで受給額が多くありません。
1.5 ⑤国民年金(第3号被保険者)期間中心の女性
- 概算の年金月額:7万8249円
- 平均厚生年金期間:6.7年
- 平均収入:26.3万円
- 基礎年金:6万9016円
- 厚生年金:9234円
第3号被保険者は、第2号被保険者(厚生年金保険等の加入者)に扶養される配偶者を指します。
第3号被保険者の期間が長い女性は、月額7万8249円が受給目安額です。
厚生年金期間が長い男性と夫婦であれば、月額25万円ほどの年金を受給できる計算になります。
2. 厚生年金・国民年金の平均受給額は?
ライフコース別の年金目安額を見てきましたが、実際に年金を受給している人の平均額はどれくらいなのでしょうか。
ここでは、厚生労働省年金局の「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、厚生年金・国民年金の平均受給額をご紹介します。
2.1 厚生年金の平均受給額
2024年度末時点における厚生年金保険(第1号被保険者)の平均年金月額は以下の通りです。なお、この金額には国民年金(老齢基礎年金)の月額部分も含まれています。
- 全体:15万289円
- 男性:16万9967円
- 女性:11万1413円
キャリア選択の違いなどから男女差はありますが、厚生年金保険に加入している方の受給額は比較的多くなっています。
ただし上記のデータは平均額であるため、下回る可能性も十分にあります。
あくまでも参考程度に把握しておきましょう。
2.2 国民年金の平均受給額
2024年度末時点における国民年金の平均受給額は以下の通りです。
- 全体:5万9310円
- 男性:6万1595円
- 女性:5万7582円
国民年金のみの平均額で見ると、やはり厚生年金に比べて受給額は少なくなってしまいます。
老後の生活費を国民年金だけでまかなうことは難しいと言えるでしょう。
厚生年金への加入期間が短い方は、自分自身で老後資金を準備する重要性がより高いと言えます。
3. 老齢年金を増やす《知っておきたい4つの方法》
年金の受給目安額や平均額を見てきましたが、老後に受け取る年金を増やす方法はないのでしょうか。
ここでは、老齢年金の受給額を増やす方法をご紹介します。
3.1 厚生年金加入期間を延ばす
厚生年金の受給額は「加入期間の長さ」と「加入期間中の報酬」という2つの要素で決まります。
加入期間が長いほど受給額が増える仕組みであるため、厚生年金への加入期間を延ばすというのは年金を増やす方法として効果的です。
例えば、定年退職後も再雇用・再就職で働き続けることで、厚生年金の受給額を増やすことができます。
再雇用・再就職は体力を維持できたり、社会とのつながりを保てたりと年金以外の利点も多いため、検討してみると良いでしょう。
3.2 受給開始時期を繰り下げる
老齢年金は原則65歳から受給が始まりますが、66歳以降に繰り下げて受給することも可能です。
最大で75歳まで繰下げ可能となっており、繰り下げた期間に応じて年金額が増額されます。
増額率は「0.7%×65歳に達した月から繰下げ申出月の前月までの月数」で計算されます。
1年間繰り下げた場合は8.4%、5年間なら42.0%、10年間なら84.0%の増額になる仕組みです。
繰下げ受給による年金の増額は一生にわたって続きます。
再雇用・再就職などで長く働く予定がある場合は、すぐに年金を受給するのではなく、繰下げ受給で年金額を増額するというのもひとつの手です。
3.3 付加年金・国民年金基金を活用する
先ほどのデータを見ても分かる通り、国民年金のみに加入している方は厚生年金に加入する方と比べて年金水準は低めです。
しかし、国民年金の第1号被保険者と任意加入被保険者は、付加年金・国民年金基金に加入することができます。
どちらも老後の年金受給額を増やせる制度であるため、活用を検討してみましょう。
付加年金は、国民年金保険料に月額400円の付加保険料を上乗せして納付することで、老後に追加で年金を受給できる制度です。
付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」で計算され、2年間受給するだけで支払った付加保険料の元を取ることができます。
国民年金基金は、月額6万8000円を上限とした掛金の拠出により、老後の年金受給額を増やす制度です。
掛金は全額所得控除の対象となり、年金の受取時にも公的年金等控除が適用されます。
老後の年金を増やしつつ、税金面でのメリットを享受できることが特徴です。
「国民年金のみの受給では老後が不安」という方は、付加年金・国民年金基金の活用を検討してみると良いでしょう。
ただし、二つの制度を併用することはできないため注意が必要です。
4. 老後の年金計画を早めに立てておきましょう
今回は、5パターンのライフコースにおける年金受給目安額や年金の平均受給額、老齢年金を増やす方法などをご紹介しました。
厚生年金期間が長い人は比較的受給額が多くなっていますが、国民年金期間が中心の人は月6万円前後の受給額となります。
自営業や農業・漁業などに従事し、厚生年金への加入期間が短い方は老後への備えをより充実させておく必要があるでしょう。
老齢年金を増やすポイントとして「厚生年金加入期間を延ばす」「受給開始時期を繰り下げる」「付加年金・国民年金基金を活用する」といった方法が挙げられます。
老後を迎えてから年金を増やそうとしても難しいため、早めに準備しておくことが大切です。
老後の年金計画を今のうちから立てておき、必要な準備をしていきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- 日本年金機構「付加年金」
- 厚生労働省「国民年金基金制度」
丸山 大輝