この件では、Aさんの判断が間違っていたということでは決してないと思います。あたたかい料理が出てきたらそれを先に出すのは当然の判断で、この顧客が何よりも優先して自分のワインを出せというのは過剰なクレームと言えるでしょう。しかし、顧客が気に入らなかったのはAさんが一瞬戸惑って、謝罪を口にできなかったというところです。ここで怒りが爆発してしまいました。

こういうケースでは確かにびっくりして言葉が出ないこともあるかもしれませんが、まずは冷静なトーンで謝罪を入れましょう。「お待たせして申し訳ございません」「大変ご不便をおかけしました」などの一言を冷静に言えるかどうかでそのあとの流れが変わってきます。まずは冷静に謝罪をして、決して慌てないことが重要です。

対策は声のトーンと話すスピード、視線

Aさんの例のように、顔と顔を合わせている状態では声のトーンと視線に気を使うのが効果的でしょう。たとえば、インタビュアーは、相手から話を引き出すスキルの一つとして、声のトーンと話す速度を相手に合わせるということをします。

そうすると相手も親近感を抱き、心の中にあるものを打ち明けてくれるというのです。話しやすさにもつながりますし、テンポが同じくらいだと確かに安心しますよね。会ってまだ数分だとしても、それだけ意識すれば過剰なクレームを回避できるくらいの人間関係は構築できるのです。

また、人間とは不思議なもので、目を合わせてにっこりとほほ笑まれると何となく相手に親近感がわきます。そんな経験はありませんか? コンビニの店員さんもそうですよね、目も合わさない人より目を合わせてにっこりほほえんでくれる人のほうが好意を抱きやすいのではないかと思います。