先日、A子から相談事があると持ち掛けられ、話す機会がありました。普段は明るく元気なのに、その日は覇気がなく落ち込んでいるよう。実は退職して3年経った今も子宝に恵まれていないのです。

仕事を辞めて、“妊娠”や“子ども”のことばかりを考える生活に疲れてしまったというA子。詳しく聞くと、今も不妊外来に通うことはなく“とにかく排卵日付近に夫と関係を持たなければ!”ということを目標に生活している。それに対して仕事が忙しい夫は、排卵日と知っていても帰りが遅かったり、疲れているからとリクエストを拒否したり…。しばらくその状態が続いているのだそう。

A子はそんな夫が許せない!と思う反面、元同僚なので仕事内容や忙しさは誰よりもわかっている…という想いに苦しめられていました。さらに、健康的で妊娠しやすい体に整え“子作りに専念する”ために退職したにもかかわらず、3年経っても結果が出ていない現状。「なんのためにキャリアを捨てたんだろう…。」という虚無感にさいなまれていました。

女性にとって“妊娠できないこと”のストレスは想像以上に大きいもの。もしA子が大好きな仕事を続けながら妊活をしていれば、今、彼女が抱えている先の見えない大きな苦しみは小さかったかもしれません。もちろん、退職して心と時間の余裕ができたことにより、子宝に恵まれたという女性もいるでしょう。しかし、結婚や妊活を始める年齢が高い場合、妊娠することは簡単ではありません。女性の心のセルフケアのためにも、本格的な不妊治療に通うわけではないのなら、仕事を辞めずに妊活を行う選択もよいのではないでしょうか。

子作りばかりに頭を支配されない工夫が必要

妊活を理由に仕事を辞めても、なかなか結果に結びつかないこともあるでしょう。女性にとって妊娠できないストレスは計り知れません。この大きなストレスを軽減するためには、何か別のことに頭を切り替えるのが一番かもしれません。

いつゴールがやってくるのか、そもそもゴールが存在するのかさえわからない不安と隣り合わせの期間。大好きな仕事を続けながらの妊活の方が、心にやさしい生活が送れるのではと考えさせられたのでした。

上田 みどり