5. 香典を家族で分けるかどうかは?国税庁の案内は税の扱いを示すもので、分け方は書かれていない
ここまで見た国税庁の通達やタックスアンサーは、香典に税金がかかるかどうかを示すものです。喪主が受け取った香典を、ほかの家族とどう分けるか、分けないかについては書かれていません。
香典を葬儀費用や生活費に充てたことを家族にどう伝えるかは、まず家族で話し合うことになります。話し合いでまとまらず、もめてしまったときは、弁護士など法律の専門家に相談する方法があります。
話し合いの前に、香典帳で誰からいくら受け取ったかと、葬儀費用・香典返しにいくら使ったかを書き出しておくと、家族に同じ数字を見てもらいながら話を進められます。
6. 【数字から見えること】検証:香典の目安は、平均額と最多回答額を並べてみる
全日本冠婚葬祭互助協会の調査では、平均額のほかに、最も多かった金額(最多回答額)も公表されています。職場関係や友人では、最多回答額が5000円で、平均額はそれより約1200〜1600円高くなっていました。
一方、故人が親の場合は、最多回答額が10万円、平均額が約6万円で、平均額のほうが低くなっています。おじ・おばでは最多回答額1万円に対して平均額約1.8万円と、逆に平均額が高くなっていました。
平均額は、一部の大きな金額や小さな金額にも引っ張られる値です。香典の目安を考えるときは、平均額と最多回答額の両方を並べて見ると、よく包まれている金額と全体の平均の違いが分かります。
また、親や兄弟姉妹の回答は100件前後で、職場関係(420件)や隣人(277件)より少ない点も、数字を読むときに押さえておきたいところです。
香典の税の扱いは、国税庁の文言では「社会通念上相当と認められるもの」が条件で、金額の線は示されていません。受け取った香典の中に、故人との関係から見て大きな金額のものがあるときは、税務署で確かめておくと安心です。
7. まとめ
香典について国税庁の通達に書かれているのは、贈与税と所得税の扱いです。個人から受ける香典で社会通念上相当と認められるものは贈与税がかからず、会社などの法人から受ける香典も、社会通念上相当と認められるものは所得税を課税しないとされています。相続税の葬式費用の案内では、香典返しのためにかかった費用は差し引けない費用に挙げられています。
香典を家族でどう扱うかは、税の案内には書かれていません。受け取った額と使った額を書き出したうえで家族で話し合い、もめたときは弁護士などの専門家に、税金のことは税務署や国税庁の電話相談センターに相談しましょう。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。香典の税の扱いは、国税庁の案内や税務署でご確認ください。
参考資料
- 国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」
- 国税庁「相続税法基本通達 第21条の3《贈与税の非課税財産》関係」(21の3-10 社交上必要と認められる香典等の非課税の取扱い)
- 国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」
- 国税庁「所得税基本通達 9-23(葬祭料、香典等)」
- 国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」
- 全日本冠婚葬祭互助協会「第6回香典に関するアンケート調査報告書(令和3年度実施)」
- 全日本冠婚葬祭互助協会「第6回香典に関するアンケート調査報告書(令和3年度実施)集計結果」
塚本 奈津子