葬儀で喪主が受け取った香典は、亡くなった人の相続財産として家族で分けるものなのか、それとも喪主が受け取ったお金なのか。香典を葬儀費用や当面の生活費に充てたあと、きょうだいなどから相続財産ではないかと言われて迷うこともあります。
香典の扱いは、税金の決まりと家族の間の話し合いとで、見るところが違います。私が国税庁の案内を読み比べたところでは、香典は相続税ではなく、贈与税や所得税の決まりの中で扱いが書かれています。
ここでは、国税庁の通達とタックスアンサーの文言で香典の税の扱いを確かめ、会葬者の調査で故人との関係別の香典の平均額を見ていきます。
※香典の平均額は、全日本冠婚葬祭互助協会「第6回香典に関するアンケート調査報告書(令和3年度実施)」の、故人との関係別の平均額と回答数をもとにしています。
1. 香典は相続財産になる?国税庁の通達は香典を「個人から受ける金品」として贈与税の側で扱っている
国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」によると、相続税は、原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈によって取得した場合に、その取得した財産にかかります。同じページには、死亡退職金や死亡保険金など、相続税法の規定などで相続税の対象となる財産も挙げられていますが、香典はその中にありません。
香典について書かれているのは、贈与税の通達です。国税庁の相続税法基本通達21の3-10は、次のように定めています。
- 【相続税法基本通達21の3-10】個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物又は見舞い等のための金品で、法律上贈与に該当するものであっても、社交上の必要によるもので贈与者と受贈者との関係等に照らして社会通念上相当と認められるものについては、贈与税を課税しないことに取り扱う
相続税の案内で香典が出てくるのは、国税庁「No.4129 相続財産から控除できる葬式費用」の「香典返しのためにかかった費用」の箇所です。香典そのものを相続税がかかる財産として挙げた国税庁の案内は、見当たりませんでした。
2. 香典に贈与税や所得税はかかる?社会通念上相当と認められるものは課税しないと通達に書かれている
香典を個人から受けた場合と、会社などの法人から受けた場合とで、関係する税金が分かれます。国税庁「No.4405 贈与税がかからない場合」では、法人から財産を贈与により取得した場合には、贈与税ではなく所得税がかかると書かれています。
- 【個人から受ける香典】贈与税:No.4405で「個人から受ける香典、花輪代、年末年始の贈答、祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」は贈与税がかからない財産
- 【法人から受ける香典】所得税:所得税基本通達9-23で「葬祭料、香典又は災害等の見舞金で、その金額がその受贈者の社会的地位、贈与者との関係等に照らし社会通念上相当と認められるもの」は課税しない
どちらの文言も「社会通念上相当と認められるもの」が条件です。国税庁の通達やタックスアンサーには、いくらまでなら社会通念上相当かという金額は示されていません。