5. 【元証券会社員の視点】検証:FXのレバレッジは「上限」より「実際に何倍で取引しているか」で見る
値動きのある商品は、「何%動いたら、元手がどれだけ減るか」で見ると比べやすくなります。FXでは、その答えをレバレッジがそのまま決めます。
25倍は、個人の店頭FXで使える上限です。一方で、2026年6月末の店頭FX全体の建玉を預託金で割った倍率は約5.39倍でした。全体で見ると、上限より多めの証拠金が預けられていることになります。ただし、これは個人・法人を合わせた全体の値で、一人ひとりがどの倍率で取引しているかは、この統計からは分かりません。
同じ1万ドルの取引でも、証拠金を約6.3万円にするか約29.2万円にするかで、証拠金がゼロになる円高の幅は約6.3円から約29.2円に広がります。預ける証拠金を増やすと、ロスカットまでの余裕は広がりますが、増やした分も損に充てられうる点は変わりません。
ロスカットは損を一定の範囲にとどめるための仕組みですが、損の上限を約束するものではありません。2026年7月のように、個人の店頭取引の未収金が1か月で40件を超える月もあります。
FXを使うかどうかは、目的と資金の性格によって考え方が分かれるところです。使う場合は、取引する金額、実際のレバレッジ、ロスカットの水準の3つを注文の前に数字で並べてみると、どこまでの値動きなら証拠金で受け止められるかが見えやすくなるかもしれませんね。
6. まとめ
個人の店頭FXのレバレッジは25倍が上限で、1ドル157.55円(2026年10月30日17時時点)で1万ドルを買う試算では、上限の25倍なら約6.3円の円高で証拠金がゼロになります。店頭FX全体の預託証拠金倍率(2026年6月末)である約5.39倍なら、その幅は約29.2円です。
ロスカットがあっても、相場の急変で決済が間に合わなければ、証拠金を超える損が出ることがあります。ロスカットの水準や、証拠金が足りなくなったときの扱いは、取引しているFX会社(金融商品取引業者)の取り決めで確かめられます。
なお、金融先物取引業協会は、会員の金融先物取引業務に関する苦情の処理と、紛争になった場合のあっせんを、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)に委託しています。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。実際の損益は、為替レート、取引の金額、手数料、スプレッド、ロスカットの水準などによって変わります。取引の条件は、取引している金融商品取引業者(証券会社など)で確かめられます。本記事はFX(外国為替証拠金取引)の仕組みと損失が出る理由を説明するもので、FX取引や特定の金融商品・金融商品取引業者を勧めるものではありません。FXは元本を上回る損失が出ることもある取引です。取引をするかどうかは、仕組みとリスクを理解したうえでご自身で判断することが大切です。
参考資料
- 金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」
- 金融先物取引業協会「金融先物取引の出来高状況 2026年度第1四半期概況」
- 金融先物取引業協会「ロスカット等未収金発生口座数(月次・速報)」
- 日本銀行「外国為替市況(2026年10月30日)」
- 金融先物取引業協会「苦情・あっせんについて」
- 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)
安達 さやか