FXで証拠金以上の損が出るのはなぜか。FXは、預けた証拠金の何倍もの金額を取引できるレバレッジと、損が一定の水準に達すると強制的に決済されるロスカットの組み合わせで、損の大きさが決まる取引です。

富裕層や法人のお客さまの資産運用のご相談を受けていた経験からお伝えすると、FXの損の大きさは、「どれだけ値動きしたら預けた証拠金がなくなるか」を注文の前に数字で確かめておきたいテーマです。ここでは、金融庁が示す個人のレバレッジの上限と、金融先物取引業協会の統計を確かめます。

そのうえで、1万ドルを買う取引で、証拠金がゼロになる円高の幅をレバレッジ別に試算します。

※1ドル157.55円は、日本銀行「外国為替市況」の2026年10月30日(金)17時時点のドル円のスポットレート(157.55〜56円)のうち、低いほうの値です。為替レートは日々変わるため、試算の数字も実際のレートによって変わります。

1. FXのレバレッジは何倍まで?個人の店頭FXは25倍まで、1ドル157.55円で1万ドルの取引なら証拠金は最低約6.3万円

金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」によると、個人が業者と直接取引する店頭FXでは、通貨ペアの種類を問わず、取引金額の4%以上の証拠金を差し入れ、維持する必要があります。レバレッジに換算すると25倍以下です。

仮に1ドル157.55円で1万ドルを買う場合に当てはめると、次のとおりです。

  • 【取引金額】約157.6万円(1万ドル×157.55円)
  • 【25倍の場合に要る証拠金】約6.3万円(取引金額の4%)
  • 【1円の値動きによる損益】1万円

※試算の前提:日本銀行「外国為替市況」の2026年10月30日(金)17時時点のドル円(157.55〜56円)のうち157.55円で1万ドルを買ったと仮定した場合。手数料・スワップポイント・スプレッドは含みません。

2. FXのレバレッジ25倍で証拠金がゼロになる値動きは?4%の円高、1ドル157.55円なら約6.3円

FXの損は、取引金額に値動きの率をかけた額です。証拠金は取引金額の「レバレッジ分の1」なので、レバレッジ25倍なら4%、つまり約6.3円の円高で、預けた証拠金と同じ額の損になります。

実際にどのくらいの倍率で取引されているかは、金融先物取引業協会「金融先物取引の出来高状況 2026年度第1四半期概況」で確かめられます。2026年6月末の店頭FXの期末建玉は11兆1265億円、期末顧客預託金は2兆647億円で、建玉を預託金で割った預託証拠金倍率は5.39倍でした。

  • 【25倍(個人の店頭FXの上限)】証拠金約6.3万円、約6.3円の円高でゼロ
  • 【約5.39倍(店頭FX全体の預託証拠金倍率)】証拠金約29.2万円、約29.2円の円高でゼロ
  • 【約3.07倍(取引所FX〈くりっく365〉の預託証拠金倍率)】証拠金約51.3万円、約51.3円の円高でゼロ

※試算の前提:1ドル157.55円(2026年10月30日17時時点)で1万ドルを買い、それぞれのレバレッジどおりの証拠金を預けたと仮定した場合。5.39倍・3.07倍は2026年6月末の個人・法人を合わせた全体の値で、一人ひとりの倍率ではありません。

例)1万ドルを買う場合 レバレッジ別・証拠金がゼロになる円高の幅1/1

1ドル157.55円で1万ドルを買う場合、レバレッジ25倍では証拠金約6.3万円で約6.3円の円高、店頭FX全体の預託証拠金倍率約5.39倍では証拠金約29.2万円で約29.2円の円高、取引所FXの約3.07倍では証拠金約51.3万円で約51.3円の円高で、証拠金がゼロになることを示した表

出所:日本銀行「外国為替市況(2026年10月30日)」、金融先物取引業協会「金融先物取引の出来高状況 2026年度第1四半期概況」をもとにLIMO編集部作成