5. 持株会の自社株はいつ引き出せる?持分が売買単位に達すれば自分の名義にでき、退会すると原則として再入会できない
日本証券業協会のガイドラインでは、持株会が買った株は理事長の名義でまとめて管理されます。会員の持分が売買単位に達し、本人が申し出れば、本人の名義に書き換えることになっています。
- 【在職中】持分が売買単位に達し、申し出れば本人の名義に書き換え
- 【退会するとき】売買単位に達した分は本人の名義に。満たない分は、時価で売って現金で受け取る、足りない分を臨時に拠出して売買単位にする、などから選ぶ(扱いは規約による)
- 【退会したあと】原則として再入会できない
- 【引き出したときの税】持株会から株を引き出しても課税関係は生じない
本人の名義にした自社株は、持ち続けるか、売ってほかの資産に移すかを自分で決められます。引き出しの手続きや時期は持株会ごとの規約で決まっているので、勤務先の持株会の事務局で確かめておきたいところです。
6. 【証券会社出身の視点】検証:持株会は「奨励金の上乗せ」と「1つの銘柄を持つこと」を分けて考える
拠出の1割が上乗せされる奨励金は、ほかの積み立てではなかなか得られない仕組みです。一方で、持株会で買うのは勤め先1社の株だけです。この2つを分けて考えると、持株会との付き合い方が見えやすくなります。
1つの銘柄が資産の大半を占める状態は、値下がりしたときの影響が大きくなります。持株会の場合は、その銘柄が給料を受け取っている会社という点も重なります。
試算のとおり、奨励金の上乗せは、税を引くと拠出1000円につき80円前後になることもあり、自社株の値段が1割弱下がればなくなります。上乗せがあるから安心というより、値下がりへの備えが少し厚くなる程度と受け止めておくのが現実的だと思います。
そのうえで、老後の備え全体のうち、自社株がどのくらいの割合になっているかを年に1回は確かめておきたいところです。持分が売買単位に達して本人の名義にできるようになったら、持ち続けるか、ほかの資産に分けるかを考える区切りになります。
持株会を続ける場合でも、資産が1社に偏りすぎないように分けておく。この置き方であれば、奨励金の上乗せを生かしつつ、勤め先の業績と老後の備えを切り離しやすくなります。
7. まとめ
持株会の奨励金は、支給している会社の平均で拠出1000円につき107.24円、最も多い額は100円です。ただし、拠出1000円につき100円の場合、自社株の値段が買ったときの平均から約9.1%下がると上乗せ分はなくなり、奨励金にかかる税を入れると境目はさらに浅くなります。
奨励金の額や引き出しの決まりは会社ごとに違います。勤務先の持株会の事務局で規約を確かめ、自社株の割合をどうするかは、ほかの資産とあわせて見直してみてもよいかもしれません。
※本記事の試算は一定の前提に基づく概算です。奨励金の額や持株会の規約は会社ごとに異なるため、詳しくは勤務先の持株会の事務局でご確認ください。
参考資料
安達 さやか