2. 持株会の自社株が値下がりしたら?奨励金が拠出1000円につき100円でも、買ったときの平均の値段から約9.1%下がると上乗せ分(税引き前)がなくなる

持株会では、拠出金と奨励金を合わせたお金で、規約で決めた日に自社株を続けて買います。奨励金が拠出1000円につき100円なら、拠出の合計100万円で110万円分の自社株を買えます。

売るときの自社株の値段が、買ったときの平均の値段と比べてどうなるかで、評価額は次のように変わります。

  • 【2割高い】約132万円(拠出の合計より約32万円多い)
  • 【同じ】約110万円(拠出の合計より約10万円多い)
  • 【約9.1%安い】約100万円(拠出の合計とほぼ同じ)
  • 【2割安い】約88万円(拠出の合計より約12万円少ない)
  • 【半分】約55万円(拠出の合計より約45万円少ない)

※試算の前提:奨励金を除いた拠出の合計100万円あたりで、奨励金は拠出1000円につき100円。拠出と奨励金の合計110万円分の自社株を買ったと仮定し、評価額=110万円×(売るときの値段÷買ったときの平均の値段)で計算。配当・手数料・税金は含めていません。

例)拠出100万円・奨励金10%の持株会の自社株の評価額(試算)1/1

拠出の合計100万円に奨励金10万円を合わせて自社株を買った場合、売るときの値段が買ったときの平均の値段より2割高いと評価額は約132万円、同じなら約110万円、約9.1%安いと約100万円で拠出の合計とほぼ同じ、2割安いと約88万円、半分なら約55万円

出所:東京証券取引所「2024年度従業員持株会状況調査結果の概要」をもとにLIMO編集部作成

奨励金による1割の上乗せは、自社株の値段が買ったときの平均から1割弱下がるだけでなくなります。奨励金が平均の107.24円の場合でも、境目は約9.7%の値下がりです。

3. 自社株に資産が偏るとどうなる?持株会の加入者1人あたりの平均保有金額は1年で32.1万円減った(2025年3月末・東証上場3265社)

東京証券取引所の同じ調査では、加入者1人あたりの平均保有金額は2024年3月末の282.4万円から、2025年3月末は250.3万円に減りました。1年で32.1万円(11.4%)の減少です。それでも、過去最高だった前年度に次ぐ水準です。

この間に加入者が19.1万人増えた影響も含まれますが、持株会全体の株式保有金額も5.9%減っています。毎月買い足していても、自社株の値段が下がれば保有金額は減ることがあります。

持株会で自社株を持つことは、給料を受け取っている会社に資産も預けている状態です。会社の業績が落ちると、賞与と自社株の値段がそろって下がることがあります。老後の備えを持株会だけに寄せず、ほかの資産と分けて持つという考え方もあります。

4. 奨励金にかかる税を入れると境目は?所得税の税率10%・住民税10%の人なら、自社株が約7.3%下がると拠出と税の合計を下回る

日本証券業協会「持株制度に関するガイドライン」によると、奨励金は給与として課税され、毎月の奨励金なら毎月の給与に加えて源泉徴収されます。上乗せの1割が、そのまま手元に残るわけではありません。

  • 【奨励金】拠出の合計100万円あたり10万円
  • 【奨励金にかかる所得税と住民税】約2.0万円
  • 【税を引いた上乗せ】約8.0万円
  • 【上乗せ分がなくなる値下がり】買ったときの平均の値段から約7.3%
  • 【所得税の税率が5%なら・20%なら】約7.7%・約6.3%

※試算の前提:所得税の税率10%(復興特別所得税を含め10.21%)と住民税10%の場合。奨励金を受け取ったことで納める税を拠出に加え、その合計と評価額を比べています。社会保険料への影響、配当・手数料は含めていません。