65歳以上で退職した人は、雇用保険の被保険者であった期間が1年以上なら、基本手当の50日分を「高年齢求職者給付金」として一括で受け取れます。ただし受給期限は離職日の翌日から1年で、求職の申し込みが遅れると、受け取れる日数が減ることがあります。

年金に上乗せされる加給年金や、60〜64歳で賃金が下がった人への高年齢雇用継続給付なども、要件を満たしただけでは振り込まれません。本記事では、60歳・65歳以上が請求して受け取るお金5つを、2026年度の金額とあわせて整理します。

※LIMOでは、個別の相談・お問い合わせにはお答えできません。

1. 高年齢求職者給付金の50日分も、年金と同じく請求してはじめて受け取れる

公的年金(老齢年金・障害年金・遺族年金)は、私たちの暮らしを支える大切なセーフティーネットです。

ただし、支給要件を満たしたら自動的に振り込まれるわけではありません。年金を受け取るためには「年金請求書」を提出して請求手続きをおこなう必要があります。

老齢年金は請求手続きをしてはじめて受け取れる1/7

年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号

出所:日本年金機構「年金請求書(国民年金・厚生年金保険 老齢給付)様式第101号」

国や自治体による「手当」「給付金」「補助金」などの多くもまた、受け取るためには申請手続きが必要です。65歳以上で退職した人が雇用保険から受け取る「高年齢求職者給付金」(被保険者であった期間が1年以上なら基本手当の50日分を一括)も、ハローワークでの求職の申し込みをしてはじめて受け取れます。

申請期限や添付書類などのルールを守れなかった場合、本来受け取れるはずのお金が減額されたり、受け取れなくなってしまったりする可能性もあります。

公的な支援制度を必要に応じて確実に活用するためには、自分がどのような支援内容の対象となるかを理解し、手続きをしっかりおこなうことが大切です。

2. 老齢年金に上乗せされる2つのお金。加給年金には生年月日で最大17万9900円の特別加算も

老齢年金を受給中のシニアが一定要件を満たす場合、通常の老齢年金に上乗せして受け取れるお金を「2種類」紹介します。

2.1 その1「加給年金」

加給年金は「年金の扶養手当(家族手当)」と例えられることがある制度です。

一定要件を満たした場合、老齢厚生年金を受給中の人が年下の配偶者や子どもを扶養する場合に年金に上乗せして受け取ることができます。

2.2 加給年金の支給要件

  • 厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
  • 65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)

(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

それぞれ、上記で示したタイミングで、「65歳未満の配偶者」または「18歳到達年度の末日までの間の子、または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子」がいる場合、年金に上乗せされます。

ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上あるもの)、退職共済年金(組合員期間が20年以上あるもの)を受給する権利がある場合、または障害厚生年金、障害基礎年金、障害共済年金などを受給している場合、配偶者加給年金額は支給停止されます。

2.3 加給年金の2026年度の年金額

配偶者と1人目・2人目の子は各24万3800円。3人目以降の子は各8万1300円2/7

加給年金額と配偶者の特別加算額を対象者別にまとめた表

出所:日本年金機構「加給年金額と振替加算」をもとにLIMO編集部作成

「加給年金」の年金額(2026年度の年額)は以下のとおりです。

  • 配偶者:24万3800円
  • 1人目・2人目の子:各24万3800円
  • 3人目以降の子:各8万1300円

なお、老齢厚生年金を受給中の人の生年月日により、配偶者の加給年金額に3万6000円から17万9900円の特別加算額が支払われます。

2.4 振替加算とは

加給年金は対象となる配偶者が65歳になると支給は終わります。ただしその配偶者が老齢基礎年金を受け取る場合、一定の要件を満たせば老齢基礎年金に「振替加算」されます。

2.5 その2「老齢年金生活者支援給付金」

年金生活者支援給付金は、基礎年金を受給する人が一定の所得要件を満たす場合に受け取れるお金です。「老齢」「障害」「遺族」それぞれに給付金があり、支給要件が設けられています。

ここでは「老齢年金生活者支援給付金」にフォーカスしていきます。

2.6 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

所得の基準は令和8年10月分から82万6500円。世帯全員が市町村民税非課税であることも必要3/7

老齢年金生活者支援給付金の支給要件を年齢・世帯・所得の別にまとめた表

出所:厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」をもとにLIMO編集部作成

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの方は82万6500円以下、昭和31年4月1日以前生まれの方は82万4100円以下(※2)(※3)である

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で82万6500円を超え92万6500円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で82万4100円を超え92万4100円以下である方には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
※3 所得の基準額は令和8年10月分から令和9年9月分までに適用されるもので、令和7年中の所得で判定される

2.7 老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

2026年度の老齢は月額5620円。前年度から170円の増額4/7

年金生活者支援給付金の給付基準額を老齢・障害・遺族の別に2025年度と2026年度で比べた表

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

2026年度、老齢年金生活者支援給付金の給付基準額は月額5620円で、前年度より3.2%増額されました。

この基準額をもとにして、保険料納付状況等により給付金額が算出されます(下記①と②の合計額)。

2.8 老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算式

  • ①保険料納付済期間に基づく額(月額)= 5620円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
  • ②保険料免除期間に基づく額(月額)= 1万1768円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

なお、保険料免除期間に乗ずる金額は、毎年度の老齢基礎年金の額の改定に応じて変わります。

②の1万1768円は、昭和31年4月2日以後生まれの方で全額免除・4分の3免除・半額免除の期間に使う単価です。昭和31年4月1日以前生まれの方は1万1734円、4分の1免除の期間は5884円(同4月1日以前生まれは5867円)となります。