4. 個人向け国債、結局どれを選ぶ?タイプ別の選び方

今の金利水準だけを見れば、固定5年が最も有利です。ただし、先の金利をどう読むか、いつお金を使うかで答えは変わります。

4.1 金利がこの先も上がると考える人 → 変動10年

半年ごとに利率が見直されるので、金利上昇に追いつけます。現在の初回利率は固定型を下回りますが、今後も金利が上昇していくなら、将来の利率は足元の固定型の水準を上回る可能性があります。

4.2 今の高い金利を確定させたい人 → 固定5年

今後は金利が下がると考える人は、足元の利率が最も高い水準の固定5年が選択肢です。利率は固定されているため、購入後に金利が低下しても、受け取れる利息は5年間変わりません。

4.3 近い将来に使う予定がある人 → 固定3年

金利の見通しとは別の視点で、満期までの期間で選ぶ方法もあります。先述のとおり、個人向け国債は中途換金ができますが、1年分の利子を失います。10年や5年といった長期の保有が難しい場合、期間が最も短い固定3年が候補です。

もちろん、使用時期が3年未満に到来するお金は、いつでも引き出せる普通預金か、使う時期に満期を合わせた定期預金に置いておくのが無難です。

5. IFAの現場から:「退職金」や「満期の定期預金」に個人向け国債を提案する理由と注意点

筆者はIFAとして資産形成の相談を受けていますが、よく寄せられる意向が「安全性の高い運用」です。特に満期を迎えた定期預金や退職金など、まとまった資金を運用する場合にそのような希望を持たれることが多い印象です。

安全性の高さに関して、個人向け国債はユニークな特徴があります。それは、元本割れがないことです。

債券は通常、一般的な普通債においても、満期まで保有すれば基本的に元本割れしません。債券は、発行者が元利金の支払いを約束しているためです。発行者が破綻しない限り、当初の約束どおりの利回りで運用できます。

ただし、債券の発行者が約束しているのは元利金の支払いのみで、満期前の売却には関与しません。満期前の売却は、「その買い手がいくらで買うか」という市場価格によります。そのため、債券は途中売却も視野に入れる場合、価格変動リスクを伴うことになり、元本を割り込む可能性が高まります。

一方、個人向け国債は満期前の売却も含め元本割れの心配がありません。中途換金は、国が額面どおりに買い取るためです。1年分の利子を失うものの、元本を割り込むことはありません。

債券に投資する方法はいくつかありますが、個人向け国債はその中でも安全性の高い商品といえます。また、利回りは銀行預金より高い傾向にあり、「安全性を特に重視しつつ、一定の利回りも欲しい」というニーズには、個人向け国債を提案することがあります。

一方で、個人向け国債は債券価格の値上がり益は得られないこと、中途換金は購入から1年間できず、中途換金する場合も1年分の利子が差し引かれることには注意したいところです。

若山 卓也

個人向け国債は毎月募集されています。2026年10月分は7日に条件が公表される予定です。足元の市場金利は前月より高く、個人向け国債の利率もさらに上昇するかもしれません。興味のある人はチェックしてみましょう。

参考資料

若山 卓也