2026年9月募集の個人向け国債(国が個人の投資家に向けて発行する債券)の「固定5年」の利率が2.24%となり、2年前(2024年9月の0.51%)から約4.4倍に上昇しました。なお、9月募集分はすでに終了しており、次回の10月募集分の発行条件は10月7日に公表される予定です。
資産形成の相談現場でも、「預金のままでいいのか」という声を聞く機会が増えました。リスクはとりたくないけれど、少しでもお金を増やしたい。そんな方こそ、個人向け国債の特徴を知っておいて損はありません。
本記事では、国の統計からシニア世帯の貯蓄の実態を読み解き、個人向け国債3種類の選び方を利率の推移とあわせて解説します。さらに、ファイナンシャルアドバイザー(IFA)として「安全に運用したい」という相談を受ける立場から、個人向け国債ならではの強みと注意点もお伝えします。
1. 【データ分析】シニア世帯の貯蓄2494万円はどこにある?国の統計で検証
まずは、個人向け国債の活用を検討する前提として、シニア世帯のお金の実態を国の統計データから確認してみましょう。貯蓄がいくらあり、どのような形で保管されているのか、そして年金収入をどれくらい補えるのかを見ていきます。
1.1 貯蓄の約6割は「預貯金」のまま
総務省統計局「家計調査年報2025年」によると、2人以上の世帯の貯蓄は平均2059万円、中央値は1167万円(貯蓄保有世帯の中央値は1264万円)です。世帯主の年代別では60代が2843万円と最も多く、70歳以上が2471万円、50代が1756万円と続きます。
注目したいのは中身です。世帯主が65歳以上の2人以上無職世帯を見ると、貯蓄の6割超が預貯金です。
【世帯主が65歳以上の2人以上無職世帯の種類別貯蓄残高】
- 通貨性預貯金:766万円(構成比30.7%)
- 定期性預貯金:778万円(同31.2%)
- 生命保険など:426万円(同17.1%)
- 有価証券:510万円(同20.4%)
- (参考)1世帯あたり貯蓄現在高:2494万円
出所:総務省統計局「総務省統計局 家計調査年報(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)貯蓄・負債の概要」
1.2 「年金生活」を個人向け国債でどれくらいカバーできる?
厚生労働省「国民生活基礎調査2025年」では、高齢者世帯(※)の平均所得は年336.1万円です。うち公的年金・恩給が61.3%であり、金額にすると年約206万円(月約17.2万円)になります。また、公的年金・恩給を受け取る高齢者世帯の41.3%は、その他の収入がありません。
※高齢者世帯…65歳以上の者のみで構成するか、またはこれに18歳未満の者が加わった世帯
出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況」
では、先述した定期性預貯金の778万円を個人向け国債に移したらどうなるでしょうか。2026年9月募集分の固定5年の利率は2.24%であり、税引後の利子は年約13.9万円(778万円×2.24%×0.79685)となります。年金の約0.8か月分が、元本を減らさずに毎年入る計算です。
