3. 育児休業等給付の申請は原則として勤務先が行い、期限は給付金ごとに違う
育児休業等給付は、原則として被保険者を雇用している事業主が、事業所の所在地を管轄するハローワークに申請します。本人が希望すれば、被保険者が直接提出することもでき、電子申請も利用できます。
申請できる時期と期限は、育児休業等給付の給付金ごとに次のように決まっています。
3.1 出生時育児休業給付金は出生後8週間を過ぎてから2か月後の月末まで
出生時育児休業給付金は、子の出生日(出産予定日前に生まれた場合は出産予定日)から8週間を経過する日の翌日から申請できます。産後パパ育休が28日に達した場合や、2回目の休業を終えた場合は、その翌日から申請できます。
期限は、申請できるようになった日から2か月を経過する日の属する月の末日です。2回に分けて取得した場合も、申請は1回にまとめて行います。
3.2 育児休業給付金の初回申請は休業開始から4か月後の月末まで
育児休業給付金の初回申請の期限は、育児休業開始日から4か月を経過する日の属する月の末日です。たとえば育児休業開始日が7月10日なら、期限は11月30日になります。
2回目以降は原則として2か月に一度申請し、提出時期はハローワークが交付する「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」に印字されます。本人が希望すれば、1か月に一度の申請も可能です。
3.3 出生後休業支援給付金は出生時育児休業給付金や育児休業給付金と同じ申請書で申請する
出生後休業支援給付金は、原則として出生時育児休業給付金または育児休業給付金と同じ申請書で、一体的に申請します。配偶者が雇用保険の被保険者の場合は、ハローワークが配偶者の給付金の支給決定を確認するため、配偶者の給付金が支給されたあとに申請します。
あとから要件を満たした場合は、要件を満たした日から10日以内に「出生後休業支援給付金支給申請書」を提出します。被保険者が父親で子が養子でない場合、配偶者の要件を確認する書類は、母子健康手帳(出生届出済証明のページ)または医師の診断書(分娩(出産)予定日証明書)で足ります。
3.4 育児時短就業給付金は支給対象月の初日から4か月以内に申請する
育児時短就業給付金は、原則として2つの支給対象月について2か月ごとに申請します。期限は支給対象月の初日から4か月以内で、4月・5月分なら7月31日までです。
4. 休業開始時賃金日額が1万6540円を超えると育児休業給付金は上限で頭打ちになる
育児休業給付金の支給額は、休業開始前6か月間の賃金の総額を180で割った「休業開始時賃金日額」をもとに計算します。賃金が高い方や、休業中に勤務先から賃金を受け取る方は、計算どおりの額にならない場合があります。
4.1 休業開始時賃金日額の上限を超える部分は給付額に反映されない
休業開始時賃金日額の上限は1万6540円で、30日分に直した賃金月額の上限は49万6200円です。休業前の賃金月額がこれを上回る方は、上限額で計算されるため、給付率67%の期間でも支給額は30日で33万2454円までになります。
この場合は給付率80%でも、休業前の手取り額に届かないことがあります。臨時に支払われる賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、賃金日額の計算に含まれません。
4.2 休業中に賃金が「休業開始時賃金日額×休業日数」の80%以上になると支給されない
休業期間を対象に勤務先から賃金が支払われた場合、その額によって育児休業給付金は次のように変わります。
- 賃金が「休業開始時賃金日額×休業期間の日数」の13%以下(181日目以降は30%以下):減額されない
- 13%(同30%)超80%未満:「休業開始時賃金日額×休業期間の日数×80%」から賃金額を差し引いた額
- 80%以上:支給されない
出生後休業支援給付金は、賃金が支払われても減額されません。ただし、賃金が80%以上となって出生時育児休業給付金や育児休業給付金が支給されない場合は、出生後休業支援給付金も支給されません。
5. 保育所に入れないときは育児休業給付金を1歳6か月・2歳まで延長できる
育児休業給付金は原則として子が1歳になるまでですが、保育所等に入れないなどの延長事由があれば、1歳6か月、さらに2歳まで支給対象期間を延長できます。
5.1 2025年4月から保育所の申込みに「速やかな職場復帰」の要件が加わった
子が1歳(または1歳6か月)に達する日が2025年4月1日以後の方が、保育所等に入れないことを理由に延長するには、次のいずれにも該当することが必要になりました。
- あらかじめ市区町村に保育利用の申込みを行っていること
- 速やかな職場復帰のために保育所等の利用を希望していると公共職業安定所長が認めること
- 子が1歳(または1歳6か月)に達する日の翌日の時点で、保育所等を利用できる見込みがないこと
市区町村の申込期限に間に合わなかった場合や、申込書に「選考結果にかかわらず育児休業の延長を希望する」などと書いた場合は、延長の対象になりません。※保育所等は認可保育所や認定こども園等で、いわゆる無認可保育施設は含まれません。
5.2 父母ともに育児休業を取ると「パパ・ママ育休プラス」で1歳2か月まで受け取れる
父母ともに育児休業を取得し、一定の要件を満たすと、子が1歳2か月に達する日の前日までの間に、最大1年まで育児休業給付金が支給されます。
母親は出産日と産後休業期間と育児休業期間を合わせて、父親は産後パパ育休の期間と育児休業期間を合わせて、それぞれ最大1年です。
6. まとめ
育児休業等給付は、出生時育児休業給付金・育児休業給付金・出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の4つで構成されています。2026年8月1日からは支給上限額が引き上げられ、育児休業給付金は給付率67%の期間で30日33万2454円が上限になりました。
夫婦で14日以上ずつ休業すれば、出生後休業支援給付金の13%が上乗せされますが、申請の期限は給付金ごとに異なります。
休業や時短勤務を考えている方は、まず勤務先の担当者に手続きの流れを確認し、不明な点は事業所を管轄するハローワークや厚生労働省の簡易診断ツールで確かめておきましょう。
参考資料
- ハローワークインターネットサービス『育児休業等給付』
- 厚生労働省『育児休業等給付について』
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク『育児休業等給付の内容と支給申請手続(2026(令和8)年8月1日改訂版)』
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク『育児時短就業給付の内容と支給申請手続(2026(令和8)年8月1日時点版)』
- 厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク『令和8年8月1日から支給限度額が変更になります』
- 厚生労働省『「令和7年度雇用均等基本調査」結果を公表します』
和田 直子