子どもが生まれたあと、夫婦のどちらかが仕事を休むと、その間の収入をどう補うかが気になるところです。
厚生労働省が2026年7月31日に公表した「令和7年度雇用均等基本調査」では、男性の育児休業取得率が50.9%となり、前回調査の40.5%から10.4ポイント上がりました。休業中の収入を支える雇用保険の「育児休業等給付」は、2026年8月1日から支給上限額が改定されています。
本記事では、育児休業等給付を構成する4つの給付金について、それぞれの要件・給付率・支給上限額を、ハローワークの最新の案内をもとに解説します。
1. 「育児休業等給付」とは?2026年8月1日から4つの給付金の支給上限額が改定された
育児休業等給付は、雇用保険の被保険者が子を養育するために休業したり、勤務時間を短くしたりしたときに、子の年齢や養育の状況に応じて支給される給付です。
出生時育児休業給付金・育児休業給付金・出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金の4つがあり、このうち出生後休業支援給付金と育児時短就業給付金は2025年4月1日に創設されました。
厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークのリーフレット「令和8年8月1日から支給限度額が変更になります」から、改定前後の支給上限額を確認しましょう。
2026年8月1日からの支給上限額(改定前→改定後)は次のとおりです。
- 出生時育児休業給付金(給付率67%):30万2223円→31万290円
- 育児休業給付金(給付率67%):32万3811円→33万2454円
- 育児休業給付金(給付率50%):24万1650円→24万8100円
- 出生後休業支援給付金(給付率13%):5万8640円→6万205円
- 育児時短就業給付金の支給限度額:47万1393円→48万4121円
出生時育児休業給付金と出生後休業支援給付金は休業28日、育児休業給付金は支給日数30日の場合の額です。※育児時短就業給付金の支給限度額は、その月の賃金と給付金を合わせた額の上限です。
支給上限額のもとになる「休業開始時賃金日額」の上限は1万6540円、下限は3203円で、いずれも2027年7月31日までの額です。上限額は、毎月勤労統計の平均定期給与額の増減をもとに変更されます。
2. 育児休業等給付の4つの給付金の要件・給付率・支給上限額
育児休業等給付の4つの給付金は、子が生まれてからの時期と、休業するか時短で働くかによって対象が分かれます。
出産直後の休業から2歳までの時短勤務まで、時期ごとに給付金が分かれる2/3
出所:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「育児休業等給付の内容と支給申請手続」、「育児時短就業給付の内容と支給申請手続」をもとにLIMO編集部作成
2.1 出生時育児休業給付金は産後パパ育休の28日分まで、給付率67%
出生時育児休業給付金は、子の出生後8週間の期間内に、合計4週間(28日)を限度として産後パパ育休(出生時育児休業)を取得したときに支給されます。主な要件は次のとおりです。
- 子の出生後8週間の期間内に、28日以内の産後パパ育休を取得した被保険者であること(2回まで分割取得可)
- 休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある(ない場合は賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の)完全月が12か月以上あること
- 休業期間中の就業日数が最大10日(10日を超える場合は就業した時間数が80時間)以下であること(28日間休業した場合。休業期間が短い場合は日数に比例して短くなる)
支給額は「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×67%」で、支給上限額は31万290円です。※期間を定めて雇用される方は、子の出生日から8週間を経過する日の翌日から6か月を経過する日までに、労働契約の期間が満了することが明らかでないことも要件です。
2.2 育児休業給付金は原則子が1歳になるまで、181日目以降は給付率50%
育児休業給付金は、原則1歳未満の子を養育するために育児休業(2回まで分割取得可)を取得したときに支給されます。休業開始日前2年間に完全月が12か月以上あるという要件は、出生時育児休業給付金と同じです。
休業開始日から1か月ごとの「支給単位期間」ごとに、就業日数が10日(10日を超える場合は就業時間が80時間)以下であることも必要です。
支給額は「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」で、育児休業開始から181日目以降は50%に下がります。支給日数30日の場合の支給上限額・下限額は次のとおりです。
- 給付率67%:上限33万2454円、下限6万4380円
- 給付率50%:上限24万8100円、下限4万8045円
たとえば休業開始時の賃金日額が1万円(賃金月額30万円)で、休業中に賃金が支払われていない場合、30日分の支給額は20万1000円です。※出生時育児休業給付金が支給された日数は、給付率67%の上限である180日に通算されます。
2.3 出生後休業支援給付金は夫婦とも14日以上の休業で13%を上乗せ
出生後休業支援給付金は、出生時育児休業給付金または育児休業給付金を受ける方が、次の2つの要件を満たしたときに上乗せで支給されます。
- 同一の子について、出生時育児休業給付金または育児休業給付金が支給される休業を、対象期間に通算して14日以上取得したこと(対象期間は、父親は子の出生後8週間、産後休業をした母親は出生後16週間)
- 配偶者も子の出生後8週間の期間内に通算して14日以上の育児休業を取得したこと、または配偶者が「配偶者の育児休業を要件としない場合」に該当すること
「配偶者の育児休業を要件としない場合」には、配偶者がいない、配偶者が無業者、配偶者が自営業者やフリーランスなど雇用される労働者でない、配偶者が産後休業中などが含まれます。被保険者が父親で子が養子でない場合は、出産した配偶者がいずれかにあたるため、配偶者の要件を満たすことになります。
支給額は「休業開始時賃金日額×休業期間の日数(28日が上限)×13%」で、支給上限額は6万205円です。
67%と合わせた給付率は80%です。育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険の保険料が免除され、勤務先から給与が支払われない場合は雇用保険料の負担もなく、育児休業等給付は非課税です。このため、ハローワークの案内では80%の給付率で「手取り10割相当」になると説明されています。※休業開始時賃金日額には上限額があるため、賃金が高い方は手取り10割相当に届かない場合があります。
2.4 育児時短就業給付金は2歳未満の子のための時短勤務で賃金の10%
育児時短就業給付金は、2歳未満の子を養育するために1週間当たりの所定労働時間を短縮して働き、賃金が下がったときに支給されます。主な要件は次のとおりです。
- 2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する被保険者であること
- 育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き(休業終了から14日以内に)同一の子について時短就業を始めたこと、または時短就業開始日前2年間に完全月が12か月あること
- その月の初日から末日まで被保険者で、育児休業給付や介護休業給付を受けていない月であること
支給額は原則として「時短就業中の各月に支払われた賃金額×10%」です。たとえば時短就業開始時の賃金月額が30万円で、時短就業中の賃金が20万円の月は、2万円が支給されます。
※賃金が時短就業開始時の賃金月額の90%を超える月は支給率が調整され、100%以上の月は支給されません。算定した支給額が2562円以下の場合も支給されません。
育児休業等給付は非課税で、休業中は社会保険料の免除もありますが、支給上限額が決まっています。休業に入る前に、ご自身の賃金で受け取れる額の目安と、給付が振り込まれる時期を確認し、その間の生活費を普通預金などに確保しておくと安心です。
