1. 制度があっても「現場の理解」が追いつかない?採用現場から見た育休のギャップ

採用担当として長年、正社員からパート・アルバイトの方まで多くの採用面接や労務管理に携わってきた筆者ですが、近年「育休制度の充実」をアピールする企業が急速に増えたと実感しています。

実際、BEFFY株式会社が運営する「Babiew(べビュー)」が妊娠期〜育児期のママ・パパ201名を対象に実施した調査(2026年9月)によると、自身の職場について「育休を取得しやすい環境」と回答した人は83.1%にのぼります。

一見すると「育休が当たり前に取れる時代」になったかのように見えますが、採用や労務の現場にいると、数字の裏にある「現場の実情」との差を強く感じることがあります。同調査でも「上司・職場の育休理解がある」と回答した人は41.8%にとどまっており、実に6割近くの人が現場の理解不足を感じているという現実が浮かび上がっています。

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出典:産休・育休の実態に関するアンケート調査(BEFFY株式会社)

出典:産休・育休の実態に関するアンケート調査(BEFFY株式会社)

2. 「制度はあるけれど…」現場で起きているリアルな不協和音

制度として「休める」ことと、職場全体が「気持ちよく送り出し、迎えてくれる」ことの間には、依然として大きなギャップが存在します。

面接や社内面談で求職者・社員の方からよく聞くのは、次のような声です。

・「復職したら、休んでいた分を取り戻すかのように業務量を増やされた」
・「休み中の引き継ぎが不十分で、復職後に人間関係がぎくしゃくした」
・「パート勤務だから育休は取れないと思い込んで諦めていた」

同調査でも、育休中に仕事と家庭の両立に不安を感じた人が90.7%に達し、育休中に転職を検討した人が44.8%にのぼることが示されています。制度という「枠組み」だけが先行し、現場の業務設計や配慮といった「運用」が追いついていないことが、働く世代の大きなストレスになっているのです。

柳 奈央子
人事として多くの方と面談をしてきましたが、制度は整っていても「現場の理解が追いついていない」と感じる声は後を絶ちません。制度という枠組みだけでなく、復職後のサポートや現場の運用実態まで見極めることが大切です。