4. 止まったあとの引き落とし:公共料金・カード・税金は、契約先ごとに切り替える

口座振替は、親の口座からお金を出して支払う仕組みです。口座が止まると、そこから落ちていた支払いはすべて落ちなくなります。

引き落としは契約先ごとに切り替え、葬儀代は150万円まで払戻しを受けられる3/3

親の口座が止まったあとの主な支払いと受取。電気・ガス・水道、クレジットカード・携帯電話、住民税・固定資産税、年金の振込、葬儀代などの払戻しの扱いの一覧

出所:全国銀行協会、日本年金機構、柏市の各案内、e-Gov法令検索「民法」をもとにLIMO編集部作成

4.1 電気・ガス・水道は、住み続けるなら名義変更、空き家なら解約

その家に家族が住み続けるなら名義の変更を、誰も住まなくなるなら解約を、それぞれの契約先に申し出ます。

名義を変えるときは、支払い方法も新しい契約者の口座かクレジットカードに移します。引き落とせなかった月の料金は、契約先の案内に従って支払います。

4.2 カードや携帯電話は、落ちなかった代金も相続人に残る

民法第896条により、相続人は亡くなった人の財産に関する権利も義務も引き継ぎます。引き継ぐのは、プラスの財産だけではありません。

口座が止まって落ちなかったカードの利用代金や携帯電話の料金も、相続人が払う債務として残ります。カード会社や通信会社に連絡し、解約と精算を進めます。

4.3 住民税や固定資産税は、相続人が届け出直す

柏市は、納税義務者が亡くなった場合、その納税義務は相続人に引き継がれると案内しています。

同市は、相続人代表者の届出と振替口座の廃止・変更を、亡くなってから1か月以内を目途に求めています。窓口は自治体によって違うので、納税通知書に書かれた担当課に問い合わせてください。

4.4 止まる前に、1年分の記帳で引き落とし先を書き出す

口座振替の支払いは、通帳の摘要欄に契約先の名前で印字されます。保険料の年払いや固定資産税は年に数回しか落ちないので、1年分をさかのぼると見落としません。

支払い先・金額・引き落とし日の3つを書き出しておくと、名義変更や解約の連絡先がそのまま一覧になります。

5. 引き出す前に確かめたいこと:相続放棄の「3か月」と必要書類

親に借入れがあるかもしれない場合は、預金を引き出す前に立ち止まりたいところです。民法第921条は、相続人が相続財産の全部または一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなすと定めています。

葬儀費用に充てた払戻しがこの処分に当たるかどうかは、事情によって判断が分かれる可能性があります。

相続放棄は、相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所で手続きをする必要があります。迷う場合は、払戻しの前に弁護士などの専門家へ相談しましょう。

払戻しに必要な書類は、金融機関ごとに定められています。戸籍謄本などを集めるのに時間がかかることもあるため、先に取引のある金融機関へ確認してください。

6. まとめにかえて

親の口座は、銀行に相続を伝えた時点で止まります。止まったあとも、葬儀代は1つの金融機関から150万円を上限に、相続人が単独で払い戻せます。

1人あたりの額は「預金の額×3分の1×法定相続分」で、法定相続分が2分の1の人なら、同じ銀行に900万円以上あれば上限に届きます。

年金は亡くなった月の分まで支払われ、10月15日より前に亡くなると、原則として8月分から10月分までが未支給年金になります。引き落としの切り替えと相続放棄の期限もあわせて、早めに確かめておきましょう。

参考資料

中本 智恵