4. 学歴別に見ると順番が想像と違う
同じ調査には、給与決定上の学歴別の平均給与月額も載っています。
4.1 最も高いのは中学卒の44万6161円
学歴別の平均給与月額は、中学卒が44万6161円で最も高く、大学卒が43万1190円、高校卒が42万6520円と続きます。
短大卒は41万2194円、修士課程修了等は40万8183円でした。
4.2 人員の規模はまったく違う
ただし人員を見ると、中学卒は29人しかいません。大学卒が9万70人、高校卒が3万9481人、短大卒が7836人、修士課程修了等が2148人です。
29人の平均は個々の状況に大きく左右されますので、学歴による水準の違いを示す数字として読むのは適切ではありません。
5. 修士課程修了等が最も低いのはなぜか
学歴が高いほど給与も高いという想像とずれる部分について、理由を整理します。
5.1 学歴ごとに年齢構成が違う
修士課程修了等の区分が設けられたのは比較的新しく、この区分の職員には若い方が多く含まれます。
年齢階層別の数字が示すとおり、給与月額は年齢とともに上がっていきます。若い職員の割合が高い区分では、平均も低く出ることになります。
5.2 同じ年齢で比べると見え方が変わる
実際、24歳以上28歳未満の区分では、修士課程修了等が33万6264円で、大学卒の29万8390円、高校卒の28万8922円を上回っています。
28歳以上32歳未満でも修士課程修了等が37万6914円で、大学卒の33万3523円より高くなっています。
平均だけを見て順位をつけると、こうした年齢構成の違いを見落とします。
6. 自分の給与と比べるときに気をつけたいこと
公表された数字を自分の話に置き換えるときの注意点です。
6.1 地域手当の有無で差がつく
平均給与月額には地域手当が含まれています。勤務地によって支給区分が違いますので、同じ俸給でも勤務地が変われば手取りも変わります。
6.2 ボーナスは別に支給される
期末手当と勤勉手当はこの平均給与月額に含まれていません。年収で比べたい場合は、別に加える必要があります。
6.3 行政職俸給表(一)以外の職員もいる
今回の数字は行政職俸給表(一)のものです。国家公務員には税務職や公安職など20種類の俸給表があり、水準はそれぞれ違います。
知り合いの公務員の話と数字が合わないときは、適用される俸給表が違う可能性があります。
公表された「平均給与月額」は、俸給に地域手当や住居手当などの諸手当を加えたものであり、残業代(超過勤務手当)や年4か月分前後のボーナス(期末・勤勉手当)は含まれていません。年収換算でのライフプラン作成や民間企業の所定内給与と比較する際は、どの手当が含まれているか範囲をそろえて確認することが大切です。
また、学歴別の平均値で修士課程修了等が低く出ているのは、若手職員の割合が高いという「年齢構成の偏り」が原因です。同年代で比較すれば学歴に応じた水準となっています。統計の平均値を見る際は、表面上の金額だけでなく、手当の内訳や年齢構成まで考慮して自身のキャリア・金銭計画に活かしましょう。
7. まとめにかえて
令和8年国家公務員給与等実態調査によると、行政職俸給表(一)の平均給与月額は42万8451円でした。
年齢階層別では20歳未満の22万2972円から上がり続け、56歳以上60歳未満の53万225円がピークです。60歳以上は51万2945円でした。
学歴別では中学卒が44万6161円と最も高くなりますが、人員は29人にとどまります。修士課程修了等が最も低く見えるのは、若い職員の割合が高いことによるものです。
平均給与月額には俸給と諸手当が含まれ、残業代とボーナスは含まれていません。比べるときは範囲をそろえて見てください。
参考資料
和田 直子
