4. 同じ国民健康保険でも保険料の計算のしかたは3通りある
国民健康保険料は全国一律ではなく、計算に使う要素の組み合わせが保険者によって違います。
4.1 3方式が1323保険者で最も多い
令和6年度の国民健康保険事業年報によると、市町村の均一賦課1714保険者のうち、3方式を採っているのは1323保険者でした。全体の77.2%にあたります。
3方式は、所得に応じた所得割、加入者1人ごとにかかる均等割、1世帯ごとにかかる平等割の3つを組み合わせる方法です。
2方式は所得割と均等割だけで計算する方法で、162保険者、9.5%でした。
4.2 4方式には資産割がある
残る229保険者、13.4%が採っているのが4方式です。3方式に加えて、固定資産税額などをもとにした資産割を課します。
住んでいる自治体が4方式であれば、所得が同じでも土地や家屋を持っているかどうかで保険料が変わることになります。
引っ越しをした年に保険料の感覚が変わるのは、料率だけでなくこの組み立て自体が違っているためです。
5. 「国民健康保険料」と「国民健康保険税」で呼び方が分かれる
通知書に書かれている名前が住んでいる自治体によって違うことも、同じ年報から読み取れます。
5.1 保険税が1476保険者、保険料が238保険者
市町村の均一賦課1714保険者のうち、地方税として「国民健康保険税」の形で課しているのは1476保険者でした。全体の86.1%にあたります。
「国民健康保険料」として課しているのは238保険者で、13.9%にとどまります。
どちらも医療保険の財源であることに変わりはありませんが、税として課す場合は時効の期間などの扱いが地方税法によることになります。
インターネットで調べものをしていて「保険料」と「保険税」の表記が混ざっているのは、この違いによるものです。自分の自治体がどちらなのかは、届いた通知書の表題で確かめられます。
6. 通知書が届いたら確認したいこと
ここまでの数字をふまえて、手元の通知書で見ておきたい点を整理します。
6.1 区分ごとの内訳を見る
通知書には区分ごとの金額が書かれています。令和8年度からは子ども・子育て支援金分が加わっているため、去年と項目の数が違って見えることがあります。
前年より上がっていた場合、料率が変わったのか、所得が変わったのか、区分が増えたのかで意味が変わります。
6.2 軽減が適用されているか確かめる
所得が一定額以下の世帯には、均等割額と平等割額を7割・5割・2割減らす軽減があります。
この軽減は申請ではなく、所得の情報にもとづいて自動で判定されます。ただし住民税の申告をしていないと判定ができないことがあるため、収入がなくても申告は済ませておくと安心です。
6.3 負担が重いと感じたら早めに窓口へ相談する
災害や失業などで収入が大きく減ったときには、申請にもとづく減免や納付の猶予が用意されています。
収納率が93.99%という数字は、納められないまま残っている分があることも示しています。滞納が続くと分割の相談もしにくくなりますので、払えないと感じた時点で市区町村の国民健康保険の窓口に相談してください。
令和6年度の国保料は、直近数年の年1%前後の推移から一転して6.79%増と大幅に上昇しました。さらに令和8年度からは「子ども・子育て支援金分」の追加による4区分化など、制度改正に伴う変更点を押さえておく必要があります。
国保料は住む自治体の計算方式(3方式・4方式)や「保険料」「保険税」の違いによっても負担感が変わります。前年より上がったと感じたら、まずは通知書の内訳を見て、所得の変化や制度変更の影響かを確認しましょう。未申告だと所得に応じた減免・軽減措置が正しく適用されない場合もあります。納付が著しく困難な場合は、滞納する前に早めに市区町村の窓口へ相談し、猶予や減免の申請を行うことが大切です。
7. まとめにかえて
令和6年度の国民健康保険では、被保険者1人当たりの保険料(税)現年分調定額が年10万7856円、1世帯当たりでは15万5461円でした。
加入者は2527万9609人で、前年度から4.29%減っています。そのうち4割近くを前期高齢者が占めています。
保険料の決まり方は令和8年度から4区分になり、従来の3区分の賦課限度額は110万円へ引き上げられました。計算の組み立ても3方式が全体の8割近くを占める一方で、資産割のある4方式を採る保険者も残っています。
全国の平均額はあくまで目安です。自分の保険料がどう組み立てられているかは、届いた通知書と自治体のホームページで確かめておきましょう。
参考資料
LIMO編集部社会保障解説班
