共通テスト出願や年内入試(総合型・学校推薦型選抜)を皮切りに、12月下旬から1月にかけては各私立大学の一般選抜に向けたWeb出願や検定料決済がピークを迎えます。受験生・保護者ともに「いよいよ本番」という緊張感が高まる時期です。

しかし、保護者にとって本当の試練はここから始まります。共通テストの検定料(1万8000円※)支払いはあくまで“序章”に過ぎず、3月の合格発表・入学手続き完了までに、私立大学などの併願受験料や入学金といった多額の現金決済が怒涛のように押し寄せるためです。

本記事では、マイナビの最新アンケート調査と文部科学省の学費調査データ(令和元年度〜7年度)を紐解き、現在の受験生家庭が直面している「お金のリアル」と賢い資金防衛術を解説します。

※3教科以上受験の場合。2教科以下は1万2000円

1. 【平均2.9回】マイナビ調査で発覚!高校生の25.7%が「お金」を理由に出願数を抑制

高校生の進路選択に関するマイナビの調査によると、高校3年生の平均受験回数(出願・受験の延べ回数)は2.9回にとどまっています。

近年、大学入試では年内に行われる「総合型選抜(旧AO入試)」や「学校推薦型選抜」での入学者が全体の約半数を占めるようになっています。これらの入試形態は基本的に「専願(1校のみ出願)」が多く、全体の平均受験回数を押し下げる要因となっています。

高校生が受験回数を2回以下に絞った理由1/4

高校生が受験回数を2回以下に絞った理由

出所:株式会社マイナビ「2026年 高校生の進路意識と進路選択に関するアンケート調査」をもとにLIMO編集部作成

一方で、一般選抜を含めて受験回数を2回以下に絞り込んだ高校生にその理由を尋ねたところ、最も多かった回答は「受験料や入学金の支払いが大変だから(25.7%)」でした。次いで「対策の準備が大変だから(24.3%)」が続いています。

かつてのように「安全志向で何校も併願する」という選択は影を潜め、複数校の受験を検討する層であっても「受験する段階でお金がかかりすぎるため、出願機会そのものを抑えざるを得ない」という受験生本人のシビアな経済感が浮き彫りになっています。

2. 【初年度150万円超】令和元年から令和7年の学費推移と「30万〜40万円」の文理格差

私立大学初年度納入金の推移と学部系統別比較2/4

私立大学初年度納入金の推移と学部系統別比較

出所:文部科学省「私立大学等の令和7年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」ほか各年度調査をもとにLIMO編集部作成

出願費用だけでなく、合格後に納める初年度学費の上昇も続いています。

文部科学省の「私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査結果」のデータを比較すると、令和に入ってからの学費推移と学部ごとの著しい格差が見えてきます。

2.1 【5回分のデータ比較】私立大学(学部)初年度納入総計150万7647円への推移

私立大学(学部)初年度納入総計の推移3/4

【5回分のデータ比較】私立大学(学部)初年度納入総計150万7647円への推移

出所:文部科学省「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」などをもとにLIMO編集部作成

令和元年度(2019年度)

全学部平均146万6530円

  • 授業料91万1716円/入学料24万8813円/施設設備費18万0194円 ほか実験実習料等

令和2年度(2020年度)

全学部平均148万0192円

  • 授業料92万7705円/入学料24万7052円/施設設備費18万1466円 ほか実験実習料等)

令和3年度(2021年度)

全学部平均148万2964円

  • 授業料93万0943円/入学料24万5951円/施設設備費18万0186円 ほか実験実習料等

令和5年度(2023年度)

全学部平均147万7339円

  • 授業料95万9205円/入学料24万0806円/施設設備費16万5271円 ほか実験実習料等

令和7年度(2025年度)

全学部平均150万7647円

  • 授業料96万8069円/入学料24万0365円/施設設備費17万2550円 ほか実験実習料等

令和7年度調査では、初年度納入総計がついに150万円の大台を突破しました。

特に授業料は令和元年度の91万1716円から令和7年度の96万8069円まで連続して値上がりが続いています。

2.2 【文系127万円 vs 理系160万円】学部系統別で大きく異なる初年度納入金

さらに、選択する学部系統によって保護者の負担額には大きな開きが存在します。

  • 文科系:令和元年度125万7199円/令和3年度127万2437円/令和5年度127万5749円
  • 理科系:令和元年度167万3446円/令和3年度169万0024円/令和5年度160万8576円
  • 医歯系:令和元年度639万3848円/令和3年度649万1064円/令和5年度628万5110円

文科系は120万円台後半、理科系は実験設備等の費用を含め文系より約30万〜40万円高い水準で推移し、医歯系は初年度だけで600万円超という桁違いの負担となっています。

文科系と理科系を比べるだけでも、初年度で約30万〜40万円の差が生じます。4年間の総額で見ればその差は100万〜200万円近くに膨らむため、子供が「理系に進学したい」と希望した段階で、資金計画の再構築が必要となります。

3. 筆者からのコメント

熊谷 良子

共通テストの出願が本格化するこの時期、家計にとって見落とされがちなのが「検定料それ自体は氷山の一角」という点です。

日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金は、入学前に必要となる検定料や併願校の入学金までは対象にできないケースが多く、当面の出願・受験費用は自己資金や教育ローンで賄う家庭が大半です。日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は入学前でも申し込めますが、審査から融資実行までに数週間かかるため、出願が本格化する今の時期からの準備が欠かせません。

「学費本体」だけでなく「出願から入学までの数か月に必要な現金」を早めに可視化しておくことが、家庭内の資金繰りのストレスを大きく減らします。申込窓口は在学中の高校や金融機関でも案内していますので、早めに相談してみてください。