3. 額面の年金額と、実際に手元に残る金額は違う
仮に月額30万円の年金を受け取れたとしても、その全額を自由に使えるわけではありません。年金からは所得税や住民税、国民健康保険料、介護保険料などが差し引かれます。
差し引かれる金額の目安は額面の15〜20%程度とされ、月額30万円であれば手元に残るのは約24万〜25万5000円という計算になります。
ただし、税額や保険料は年齢、お住まいの自治体、世帯構成、適用される控除によって変わります。同じ額面でも手取りは人によって違うということです。
老後の生活設計を額面の年金額だけで組み立てると、実際に使える金額との差でつまずくことがあります。各種控除や保険料の負担まで踏まえて試算し、手元に残る金額を基準に家計を考えることが大切です。
4. まとめにかえて
今回は、厚生年金の高額受給者の割合と、額面と手取りの違いを確認してきました。
月額30万円以上を受け取っているのは1万9283人で、受給権者全体の0.12%。男性1万8801人に対し女性482人と、大きな開きがありました。厚生年金が現役時代の報酬と加入期間で決まる制度である以上、働き方の違いはそのまま金額に表れます。
さらに、受け取る額がそのまま使えるわけではありません。税と社会保険料を差し引くと、手元に残るのは額面の8割程度が目安です。
収入が変わる時期の備えは、早いほど選択肢が多くなります。
まず「ねんきん定期便」で見込額を確認し、そこから15〜20%を引いた手取りの目安を出してください。次に、いまの1カ月の支出と並べる。この差額が毎月の不足です。
定年まで何年あるかで、積み立てで埋めるのか、働く期間を延ばして年金そのものを増やすのか、取れる手が変わります。ご相談でも、この2つの数字が出た方から具体策が決まっています。
なお、早い段階で不足額を把握しておくことで、積み立てや働く期間など、状況に応じて取れる選択肢は増え、自分自身に合った方法を選ぶことができます。選択肢が少ないほど、毎月の負担が大きくなったり、老後の生活費を減らす必要が出てくる場合があります。
不足を埋める手段としては、NISAやiDeCoといった税制優遇制度の活用、家計の見直し、就労期間を延ばして厚生年金の加入期間を伸ばすことなどが挙げられます。
まずはご自身の見込額と、そこから引かれる分を確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
長井 祐人
