公的年金の話題では平均額が取り上げられがちですが、上のほうにどれくらいの人がいるのかはあまり語られません。厚生年金で月額30万円以上を受け取っている人は、実際にはごく限られています。
本記事では、2026年度の年金額改定を確認したうえで、厚生年金の受給額分布から高額受給者の割合を見ていきます。あわせて、額面と手取りの差についても触れます。
公的年金を受け取る前後にお金のご相談をいただくことが多いのですが、そのときに額面の年金額だけで計画を立ててしまうと、あとでお金が足りなくなってしまいます。
公的年金は給与と同様に税金や社会保険料が差し引かれます。まずは分布で全体の姿をつかみ、そのうえで実際にご自身が受け取れる年金額まで進みましょう。
なお、ご自身の年金見込額は「ねんきんネット」「ねんきん定期便」にて確認をすることができます。
1. 2026年度の年金額は1.9%の増額。標準的な厚生年金は月23万7279円
公的年金は、毎年の物価や賃金の変動を受けて改定されます。2026年度は前年度から1.9%、厚生年金の報酬比例部分は2.0%の増額となりました。
2026年度の老齢基礎年金は満額で月額7万608円。夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な厚生年金額は月額23万7279円です。
ただし、増額されたからといって家計が楽になるとは限りません。同じ期間の物価変動率は3.2%で、年金の上昇率を上回っています。金額は増えても購買力としては目減りしており、改定後の年金額でも生活の苦しさを感じる場面は十分に考えられます。
2. 厚生年金で月額30万円以上を受け取る人は0.12%
では、公的年金の高額受給者はどれくらいいるのでしょうか。厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、厚生年金(基礎年金を含む)で月額30万円以上を受け取っている人の割合を確認します。
- 〈全体〉平均年金月額:15万289円
- 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
- 〈女性〉平均年金月額:11万1413円
受給額ごとの人数(合計:1608万5696人)
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
月額30万円以上を受け取っているのは1万9283人。受給権者の総数が1608万5696人ですから、割合にすると0.12%で、全体の1%にも届きません。
男女の内訳を見ると、男性が1万8801人であるのに対し、女性は482人です。同じ「30万円以上」でも、人数には40倍近い開きがあります。
この差は、厚生年金の決まり方に理由があります。老齢基礎年金は保険料を納めた月数で決まるため大きな差は出にくいのですが、厚生年金は現役時代の報酬と加入期間で金額が変わります。結婚や出産を機に退職したり、勤務時間を短くしたりして厚生年金に加入しない時期があると、その分だけ受給額に反映されるためです。
