5. 誰がもらえる?遺族厚生年金を受け取るための「3つの受給要件」
遺族厚生年金を受け取るためには、亡くなられた方が以下の「短期要件(3つのうちいずれか)」または「長期要件(1つ)」を満たしている必要があります。
5.1 【短期要件の3つ】
- 厚生年金に加入している間に万が一のことがあった場合
- 厚生年金に加入中の病気やけがが原因で、初診日から5年以内に万が一のことがあった場合
- 1級または2級の障害厚生年金を受け取っている方に万が一のことがあった場合
※短期要件の場合、厚生年金の加入期間が300カ月(25年)未満でも、300カ月加入していたとみなして計算される手厚い特例があります。
5.2 【長期要件の1つ】
- 老齢厚生年金の受給資格を満たした方に万が一のことがあった場合
5.3 受け取れるのは5つの立場の遺族
また、受け取れるご遺族は、亡くなられた方に生計を維持されていた「配偶者・子・父母・孫・祖父母」の5つの立場の方に限られます。子のない夫や父母、祖父母が受け取る場合は、ご家族が亡くなられた当時に55歳以上であることが条件で、実際の受け取り開始は原則60歳からです。
6. 働き方を決める前に確かめておきたいこと
65歳以降も働くかどうかを考えるとき、年金の側で見ておきたい点が3つあります。
6.1 基準額は年度ごとに改定される
支給停止調整額は賃金の変動に応じて毎年度改定されます。令和8年度は月65万円ですが、この金額が固定されているわけではありません。
数年先の働き方を考えるときは、その年度の基準額を日本年金機構のページで確かめてみましょう。
6.2 止まった保険料は将来の年金額に反映される
在職中に納めた厚生年金保険料は、自分の老齢厚生年金の額に反映されます。支給停止は同じ年度の年金が止まるという話で、納めた保険料が消えるわけではありません。
6.3 遺族厚生年金を受け取っている方は書面で確認する
すでに遺族厚生年金を受け取りながら働く方は、老齢厚生年金と遺族厚生年金のどちらがいくら止まっているかが通知書に示されます。
数字が思っていた額と違うときは、年金事務所で計算の内訳を確かめてみましょう。
7. 在職老齢年金で止まった分は、遺族厚生年金に振り替わらない
遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3で決まります。65歳以上で自分の老齢厚生年金を受け取れる場合は、自分の年金が優先され、差額だけが遺族厚生年金として支給されます。
令和8年4月から在職老齢年金の支給停止調整額は月65万円になりました。ただし、働いて老齢厚生年金が止まっても、遺族厚生年金から止まる額は本来の老齢厚生年金の額で計算されます。
つまり、働いて老齢厚生年金が止まった分だけ遺族厚生年金が増えることはありません。働き方を決めるときは、この点も含めて年金事務所で確かめておくと安心です。
参考資料
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 日本年金機構「老齢厚生年金及び遺族厚生年金の受給権を有する65歳以上の方が、在職によって老齢厚生年金の支払いが全額止まっている場合、遺族厚生年金は、老齢厚生年金相当額の支払いが止まりますか。」
- 日本年金機構「報酬比例部分」
村岸 理美