4. 男女で分けて見ると、厚生年金は分布の幅が大きい

60歳~90歳以上のすべての受給権者における「平均年金月額」と「受給額分布」についても見ていきます。

4.1 「厚生年金」男女別平均年金月額・受給額分布

厚生年金の平均額(全年齢)9/10

厚生年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:15万289円
  • 〈男性〉平均年金月額:16万9967円
  • 〈女性〉平均年金月額:11万1413円

※国民年金の金額を含む

受給額分布(1万円刻み)

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

厚生年金では、全体の平均年金月額は15万289円という結果でした。男女の平均を比較すると、男性16万9967円、女性11万1413円で、6万円近い開きが見られます。

4.2 「国民年金」男女別平均年金月額・受給額分布

国民年金の平均額(全年齢)10/10

国民年金の平均額(全年齢)

出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

  • 〈全体〉平均年金月額:5万9310円
  • 〈男性〉平均年金月額:6万1595円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万7582円

受給額分布(1万円刻み)

  • 1万円未満:5万1828人
  • 1万円以上~2万円未満:21万3583人
  • 2万円以上~3万円未満:68万4559人
  • 3万円以上~4万円未満:206万1539人
  • 4万円以上~5万円未満:388万83人
  • 5万円以上~6万円未満:641万228人
  • 6万円以上~7万円未満:1715万5059人
  • 7万円以上~:299万7738人

国民年金の平均年金月額は全体で5万円台です。男性は6万円台、女性は5万円台と4000円ほどですが男女差が見られます。

「6万円以上~7万円未満」が最も厚い受給層となっており、多くの人が満額に近い年金額を受け取っていることが読み取れます。

5. 65歳から30年間で受け取る総額は。単身と夫婦で3000万円以上の差

ここまでは月額で見てきましたが、老後の準備を考えるときは、生涯でいくら受け取るのかという見方も役に立ちます。

厚生年金の全体平均月額15万289円を単身の目安、2026年度のモデル夫婦世帯の月額23万7279円を夫婦の目安として、65歳から30年間受け取った場合の総額を試算してみましょう。あくまで一定の前提を置いた試算であり、実際の受給額を保証するものではありません。

  • 単身世帯(厚生年金の全体平均月額15万289円):15万289円×12カ月×30年=約5410万円
  • モデル夫婦世帯(厚生年金2人分23万7279円):23万7279円×12カ月×30年=約8542万円
  • 両者の差:約3132万円

単身世帯とモデル夫婦世帯では、30年間の受取総額に3000万円以上の差が生じる計算です。

もちろん夫婦世帯では生活費も2人分かかりますから、単純に多いほうが得だという話ではありません。ただ、世帯構成によって老後資金の前提が大きく変わることは押さえておきたいところです。

月額では数万円の違いに見えても、30年という長さを掛ければ差は大きく開きます。ご自身の見込額も、年額や生涯の総額に置き換えてみると、準備すべき規模がつかみやすくなります。

6. まとめにかえて

今回は、厚生年金と国民年金の受給額を年齢別・男女別に確認してきました。

国民年金は「6万円以上7万円未満」がボリュームゾーンで、多くの人が満額(2026年度は月額7万608円)に近い金額を受け取っています。保険料が収入にかかわらず定額であるため、個人差が小さく収まる制度です。

一方、厚生年金は1万円未満から30万円超まで幅広く分布しています。平均は全体で15万289円、男性16万9967円、女性11万1413円と約6万円の差があります。現役時代の報酬と加入期間がそのまま反映されるためです。

同じ公的年金でも、分布の形がこれだけ違うということです。

月額を生涯の総額に置き換えると、違いはさらにはっきりします。65歳から30年間受け取った場合、厚生年金の全体平均にあたる単身では約5410万円、モデル夫婦世帯では約8542万円。その差は約3132万円です。夫婦世帯は生活費も2人分かかるため単純な比較はできませんが、世帯構成で老後資金の前提が変わることは押さえておきたいところです。

渡邉 珠紀
この違いを知っておくと、ご自身の準備の方向が決めやすくなります。国民年金だけの方は、満額に近づける以上に増やす余地が限られますので、上乗せを自分で用意する必要があります。厚生年金がある方は、加入期間を延ばすことで金額そのものを動かせます。まずは「ねんきん定期便」でどちらの制度に何年加入しているかを確認し、動かせる部分があるかを見てみてください。受取時には繰り上げ受給と繰り下げ受給を選択することもできるので、受給額が少ない場合は繰り下げもひとつの選択肢として持ちましょう。

不足を埋める手段としては、NISAやiDeCoといった税制優遇制度の活用、家計の見直し、就労期間を延ばして厚生年金の加入期間を伸ばすことなどが挙げられます。

まずはご自身の加入記録と見込額を確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

渡邉 珠紀