個人向け国債の金利が上がっているという話を耳にして、いまが高いのかどうか気になっている方もいるのではないでしょうか。
財務省が公表している「個人向け国債の発行額の推移」には、変動10年が最初に発行された2003年3月から現在までの初回利率が並んでいます。2026年10月発行分の初回利率は年1.95%でした。
この記事では、変動10年の初回利率を発行月順に並べ、いまの年1.95%が23年あまりの記録のなかでどのあたりに位置するのかを確認します。
なお、個人向け国債の金利のしくみについては、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 個人向け国債の変動10年は2003年3月から発行されている
はじめに、変動10年がいつから発行されているのかを確認します。
1.1 最初の発行分の初回利率は年0.09%だった
変動10年が最初に発行されたのは2003年3月です。このときの初回利率は年0.09%でした。
2026年10月発行分(2026年9月募集分)の初回利率は年1.95%ですから、最初の発行分のおよそ21.7倍にあたります。
1.2 2011年6月までは基準金利から0.80%を引く決め方だった
いまの変動10年の適用利率は、基準金利に0.66を掛けて決まります。しかしこの決め方は最初からあったものではありません。
財務省によると、平成23年6月までに発行された変動10年の適用利率は「基準金利マイナス0.80%」で計算されていました。低金利のときに適用利率が低くなりすぎないよう、平成23年7月発行分から金利設定方法が見直されています。
そのため2003年の年0.09%という数字は、いまとは違う計算式で決まった利率です。なお、過去に引き算の方式で発行された銘柄については変更はありません。
2. 変動10年の初回利率を発行月順に並べて推移を確認する
ここからは、財務省の資料に載っている初回利率を発行月の順に並べて見ていきます。
グラフの動きを年ごとに見ると、その年に発行された変動10年の初回利率で最も高かったものは次のとおりです。
- 2003年:0.77%
- 2004年:0.74%
- 2005年:0.73%
- 2006年:1.10%
- 2007年:1.01%
- 2008年:1.00%
- 2009年:0.73%
- 2010年:0.53%
- 2011年:0.77%
- 2012年:0.72%
- 2013年:0.57%
- 2014年:0.48%
- 2015年:0.34%
- 2016年:0.21%
- 2017年:0.06%
- 2018年:0.09%
- 2019年:0.05%
- 2020年:0.05%
- 2021年:0.09%
- 2022年:0.17%
- 2023年:0.60%
- 2024年:0.72%
- 2025年:1.10%
- 2026年:1.95%
2.1 2019年1月から27か月続けて下限の年0.05%だった
2019年と2020年は、発行された変動10年の初回利率がすべて年0.05%でした。この下限に張り付いた状態は2019年1月発行分から2021年3月発行分まで27か月続き、記録のなかで最も長い連続です。
年0.05%は3タイプに共通する下限の利率です。実勢金利がどれだけ下がってもこれを下回らないという最低金利の保証が、この時期には実際に効いていたことになります。
2.2 2026年10月発行分の年1.95%は記録のなかで最も高い
財務省の資料に載っている変動10年の初回利率は、2003年3月発行分から2026年10月発行分まで198回分あります。そのなかで最も高いのが、2026年10月発行分の年1.95%です。
それまでの高い水準は2006年7月発行分と2025年12月発行分の年1.10%でした。2026年5月発行分で年1.55%となり、この時点で記録を更新しています。
変動10年の利率が年0.05%の時期が長く続いていました。長い推移を見ると、いまの水準がどのあたりなのかの見当がつきやすくなります。

