「児童手当」と「児童扶養手当」——名前がよく似ているため、同じ制度の別の呼び方だと思っている人や、両方合わせて1つの手当だと勘違いしている人は少なくありません。しかし、この2つはまったく別の制度です。
この記事では、こども家庭庁・自治体の公式情報にもとづき、児童手当と児童扶養手当の違いを、対象者・支給額・所得制限の3つの観点から、編集部が整理します。
1. 対象者が違う。児童手当は原則すべての世帯、児童扶養手当はひとり親世帯等が対象
こども家庭庁の資料によると、児童手当は、高校卒業に相当する年代までの子を養育するすべての世帯を対象にした給付金です。一方、児童扶養手当は、ひとり親家庭など、父または母と生計を同じくしていない児童を養育する家庭を対象にした制度です。
「子どもがいる世帯なら誰でももらえる」のが児童手当、「ひとり親など特定の家庭状況にある世帯」が対象になるのが児童扶養手当、という根本的な違いがあります。両方の制度に該当する世帯は、両方を同時に受け取ることができます。
2. 支給額と所得制限も、まったく異なる仕組みになっている
こども家庭庁・自治体の資料によると、児童手当は、3歳未満は月1万5000円、3歳以上は月1万円(第3子以降は月3万円)で、令和6年10月の改正により所得制限が撤廃されています。一方、児童扶養手当は、児童1人目の全部支給が月4万8050円(令和8年4月分から)ですが、扶養親族の数に応じた所得制限があり、全部支給・一部支給・支給停止に分かれます。
2.1 【児童手当と児童扶養手当の違い】
- 対象者:児童手当はすべての世帯、児童扶養手当はひとり親家庭等です
- 月額(1人目・目安):児童手当は1万円〜1万5000円、児童扶養手当は満額4万8050円です
- 所得制限:児童手当は令和6年10月に撤廃済み、児童扶養手当は扶養人数に応じてあります
児童扶養手当の月額だけを見ると児童手当より高額に見えますが、児童扶養手当には所得制限があるため、すべてのひとり親家庭が満額を受け取れるわけではありません。制度の目的そのものが異なるため、単純に金額だけを比較することにはあまり意味がありません。
3. 【編集者の視点】
名前が似ている2つの制度を混同すると、自分がどちらの対象なのか、両方の対象なのかが分からなくなってしまいます。
対象者の条件から確認し直すことが、制度を正しく理解する第一歩になります。
※本記事は、編集部がこども家庭庁・自治体が公表する公式の最新情報を直接確認の上、執筆・整理しています。
4. 両方の対象になる世帯は、両方を同時に受け取れる
ひとり親家庭で、なおかつ児童手当の対象年齢の子を養育している場合、児童手当と児童扶養手当の両方を同時に受け取ることができます。片方をもらっているからもう片方はもらえない、という排他的な関係ではありません。
ただし、それぞれ別々に申請が必要です。児童手当を受け取っているからといって、児童扶養手当が自動的に支給されるわけではなく、児童扶養手当は別途、お住まいの市区町村への申請が必要になります。
5. 支給の頻度や振込のタイミングにも違いがある
こども家庭庁・旭川市の資料によると、児童手当は偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の年6回、支給されます。一方、児童扶養手当も年6回(1月・3月・5月・7月・9月・11月)の支給ですが、支給される月そのものが異なります。
両方を受け取っている世帯は、それぞれの振込月を混同しやすい点にも注意が必要です。「今月は児童手当の振込月だから、児童扶養手当も一緒に振り込まれるはず」と考えていると、実際の振込タイミングとずれてしまうことがあります。
5.1 【児童手当と児童扶養手当の支給月の違い】
- 児童手当:偶数月(2月・4月・6月・8月・10月・12月)の年6回
- 児童扶養手当:奇数月(1月・3月・5月・7月・9月・11月)の年6回
両方の制度を受け取っている世帯は、実質的にほぼ毎月どちらかの振込があることになります。逆に言えば、片方の振込がない月に「今月はもらえないのか」と不安になる必要はありません。
6. 【編集者の視点】
支給月が偶数月と奇数月に分かれていることは、両方を受け取っている世帯でも見落とされがちなポイントです。
自分が受け取っている制度の支給月を、それぞれ正確に把握しておくと、家計の見通しが立てやすくなります。
児童手当の支給額の詳細については、児童手当の支給額を整理した別記事もあわせて確認してみてください。
7. まとめ
- 児童手当はすべての世帯が対象、児童扶養手当はひとり親家庭等が対象という違いがあります
- 児童手当は所得制限が撤廃済み、児童扶養手当は扶養人数に応じた所得制限があります
- 両方の対象になる世帯は、両方を同時に受け取れますが、それぞれ別々の申請が必要です
- 支給月も、児童手当は偶数月、児童扶養手当は奇数月と異なります
名前が似ている児童手当と児童扶養手当は、対象者・支給額・所得制限・支給月のすべてが異なる別の制度です。両方の対象になりうる世帯は、それぞれ別々に申請と確認が必要な点を押さえておくことが大切です。
自分の世帯がどちらの制度の対象になるか、正確に確認したい場合は、お住まいの市区町村の窓口に相談することをおすすめします。
8. よくある質問
8.1 Q. 児童手当をもらっていれば、児童扶養手当も自動的にもらえますか。
A. いいえ。児童扶養手当は別途、お住まいの市区町村への申請が必要です。児童手当を受け取っているからといって自動的に支給されるわけではありません。
8.2 Q. 両方の制度に該当する場合、どちらか一方しか受け取れませんか。
A. いいえ。両方の対象になる世帯は、両方を同時に受け取ることができます。
8.3 Q. 児童扶養手当の方が金額が高いので、児童手当より有利ですか。
A. 単純には比較できません。児童扶養手当には所得制限があり、すべてのひとり親家庭が満額を受け取れるわけではありません。制度の目的自体が異なります。
8.4 Q. 支給月が違うのはなぜですか。
A. それぞれの制度が独立して運用されているためで、明確な理由は公表資料には示されていません。児童手当は偶数月、児童扶養手当は奇数月に支給されます。
参考資料
LIMO編集部家計解説班
