厚生年金の平均額を都道府県別に並べると、上位と下位で月4万円を超える差があります。ところが、同じ公的年金でも国民年金では差が数千円にとどまります。
本記事では、厚生年金と国民年金それぞれの都道府県別平均を確認し、なぜ差の出方が違うのかを見ていきます。あわせて、年金から差し引かれる税や社会保険料についても整理します。
なお、公的年金の仕組みや平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 厚生年金の平均は月15万円台。男女差は約5万8000円
都道府県別の話に入る前に、全国の平均を押さえておきましょう。
厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円。
年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。
出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
厚生年金は男性16万9967円、女性11万1413円で、その差は約5万8000円です。国民年金は男女とも5万〜6万円台で、差は4000円ほどにとどまります。同じ公的年金でも、ばらつきの大きさがまったく違うことが分かります。
2. 厚生年金が多い県・少ない県。その差は月4万円超
同じ厚生年金でも、都道府県ごとの平均額には無視できない開きがあります。厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」の数値を、多い順と少ない順に並べて見ていきます。
2.1 平均が多い上位5都県。神奈川県は月17万457円
神奈川県:17万457円
千葉県:16万5103円
東京都:16万3892円
奈良県:16万2292円
埼玉県:16万1752円
出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
上位には神奈川・千葉・東京・埼玉と首都圏が並び、そこに奈良県が入りました。トップの神奈川県は月17万457円で、全国平均の15万289円を2万円ほど上回ります。年間にすると24万円ほどの差です。
ただし、この金額は住んでいる場所で決まるわけではありません。その地域に住む受給者の、現役時代の働き方をならした結果にすぎません。勤務先と住まいが別の都府県という人も多く、地域の名前そのものに意味があるわけではないと受け止めておきましょう。
2.2 平均が少ない下位5県。青森県は月12万8129円
青森県:12万8129円
沖縄県:12万8819円
宮崎県:12万9224円
秋田県:12万9503円
山形県:13万1169円
出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
下位には青森・沖縄・宮崎・秋田・山形が並びました。最も低い青森県は月12万8129円で、全国平均を2万円あまり下回ります。上位との差が生まれる背景には、賃金水準の違いや、自営業・農林水産業など国民年金のみの働き方の比率、共働きの多さといった地域ごとの事情が考えられます。
2.3 47都道府県の平均年金月額
北海道:14万1069円
青森県:12万8129円
岩手県:13万2943円
宮城県:14万4920円
秋田県:12万9503円
山形県:13万1169円
福島県:13万6880円
茨城県:15万2963円
栃木県:14万9631円
群馬県:14万8666円
埼玉県:16万1752円
千葉県:16万5103円
東京都:16万3892円
神奈川県:17万457円
新潟県:13万8683円
富山県:14万4644円
石川県:14万1792円
福井県:14万787円
山梨県:14万4665円
長野県:14万4668円
岐阜県:14万9910円
静岡県:15万1960円
愛知県:16万766円
三重県:15万1949円
滋賀県:15万4456円
京都府:15万1483円
大阪府:15万6272円
兵庫県:15万9086円
奈良県:16万2292円
和歌山県:14万5933円
鳥取県:13万3459円
島根県:13万3918円
岡山県:14万6429円
広島県:15万745円
山口県:14万8166円
徳島県:13万4131円
香川県:14万4026円
愛媛県:14万301円
高知県:13万2202円
福岡県:14万5822円
佐賀県:13万4191円
長崎県:13万6825円
熊本県:13万2740円
大分県:13万6507円
宮崎県:12万9224円
鹿児島県:13万3343円
沖縄県:12万8819円
その他:13万3788円
出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
3. 地域差の正体は、現役時代の働き方
厚生年金の受給額は、現役時代の報酬(給与や賞与)と加入期間から計算されます。報酬比例部分の計算式は次のとおりです。
A(2003年3月以前):平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入期間の月数
B(2003年4月以降):平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入期間の月数
都市部では賃金水準が高い傾向があり、また地域によって自営業や共働き世帯の比率も異なります。こうした働き方の違いが、そのまま平均年金月額の差として表れているわけです。
4. 国民年金は地域差が小さい。納めた月数で決まるから
一方の国民年金(老齢基礎年金)は、保険料を納付した月数で受給額が決まります。保険料が全員一律であるため、地域による差はほとんど生じません。
北海道:5万8435円
青森県:5万7137円
岩手県:6万720円
宮城県:5万9532円
秋田県:5万9147円
山形県:6万827円
福島県:5万9922円
茨城県:5万9395円
栃木県:5万9544円
群馬県:6万564円
埼玉県:5万9007円
千葉県:5万9354円
東京都:5万8313円
神奈川県:5万9342円
新潟県:6万1957円
富山県:6万2989円
石川県:6万1923円
福井県:6万2290円
山梨県:5万9275円
長野県:6万2030円
岐阜県:6万1248円
静岡県:6万1150円
愛知県:6万34円
三重県:6万1403円
滋賀県:6万1172円
京都府:5万8206円
大阪府:5万7122円
兵庫県:5万9138円
奈良県:5万8961円
和歌山県:5万7784円
鳥取県:6万1502円
島根県:6万2287円
岡山県:6万1564円
広島県:6万991円
山口県:6万1120円
徳島県:5万8797円
香川県:6万1718円
愛媛県:5万9792円
高知県:5万7926円
福岡県:5万8300円
佐賀県:6万1084円
長崎県:5万8617円
熊本県:5万9907円
大分県:5万8397円
宮崎県:5万9234円
鹿児島県:5万9659円
沖縄県:5万4217円
その他:3万785円
出所:厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
いずれの都道府県も5万〜6万円台に収まっています。厚生年金で4万円を超えていた差が、国民年金では数千円規模にとどまるということです。制度の設計が、そのまま差の大きさに表れています。

