2. 総務省の消費者物価指数からみる「食料インフレ」の実感

総務省統計局「消費者物価指数」(2026年7月分)によると、生鮮食品を除く総合指数は前年同月比+1.8%でした。

ここで注目したいのは、食料に絞った数字です。生鮮食品を除く食料は前年同月比+3.0%と、総合の伸び率を上回っています。カレーライス物価指数が示す「野菜や肉を使う料理のコスト高」は、食料全体の統計とも整合的だといえそうです。

  • 生鮮食品を除く総合(コアCPI):前年同月比+1.8%
  • 生鮮食品を除く食料:前年同月比+3.0%

総合の物価上昇率より、食料の上昇率のほうが大きいという状態が続いています。

光熱費や住居費といった費目と比べても、日々の買い物のたびに実感しやすい食料品の値上がりは、生活実感としての「物価高」に直結しやすい項目だといえるでしょう。

3. 家計調査にみる「食費を切り詰める」動き エンゲル係数は44年ぶり高水準

では、家計は実際にどう反応しているのでしょうか。総務省統計局「家計調査報告」(二人以上の世帯、2026年7月分)によると、1世帯当たりの食料への支出は95681円で、前年同月比では実質1.3%の減少となりました。

物価は上がっているのに支出額の実質的な伸びはマイナス。これは、価格の上昇分を、購入量を減らしたり安いものに切り替えたりすることで相殺しようとする「買い控え」の動きがあることを示唆しています。

カレーライス物価指数(2026年7月分)2/2

エンゲル係数の推移 2020年27.5%、2025年28.6%(44年ぶり高水準)、2026年1〜6月平均28.5%

出所:総務省統計局「家計調査報告(二人以上の世帯)2026年(令和8年)7月分」をもとにLIMO編集部作成

  • 2020年のエンゲル係数:27.5%
  • 2025年のエンゲル係数:28.6%(1981年以来44年ぶりの高水準)
  • 2026年1~6月平均のエンゲル係数:28.5%

内閣府「今週の指標」(2026年9月2日号)は、この上昇の主因を「食料への支出額の増加が、物価上昇を中心に、消費支出全体の伸びを上回っているため」と分析しています。

外食と調理食品だけで食料支出全体の25%以上を占めることも明らかにされており、値上げの動きは2026年も18347品目(1~11月判明分)にのぼる見通しだと報告されています。

同資料の消費者アンケートでは、食品の値上げについて全体の75.5%が「許容できる」と回答した一方で、その中身を見ると37.5%は「1割高までなら許容できる」という条件付きの回答でした。値上げそのものは受け入れつつも、上げ幅には限度があると感じている人が多いことがうかがえます。

節約志向を強めても、値上げのペースがそれを上回り、結果として食費の家計に占める割合そのものが膨らんでいる。これが、統計から読み取れるいまの家計の姿です。

4. まとめにかえて|「高止まり」を前提に家計を見直す

カレーライス物価指数が示す1食349円という数字は、単月では値下がりしていても、1年前や2020年と比べればまだ高い水準にあります。

総務省の消費者物価指数、家計調査のいずれの統計からも、食料の物価上昇と、それに対応しようとする家計の節約行動の両方が読み取れます。

「最近少し値下がりした」という体感だけで安心せず、家計簿や家計調査などの公的データで実際の食費の推移を定期的に確認してみることが、これからの家計管理には欠かせなさそうです。

総務省統計局の「消費者物価指数」「家計調査」は、いずれも同局のウェブサイトで毎月公表されており、品目別のデータまで無料で確認できます。気になる食材があれば、実際の数字を自分の目で確かめてみるのもよいでしょう。

熊谷 良子

エンゲル係数というと「昔の生活水準の指標」というイメージを持つ方も多いのですが、実際には今も総務省の家計調査に基づいて毎月・毎年公表されている現役の指標です。

今回のデータで見過ごせないのは、家計が実質的な食料支出を減らしている(前年同月比マイナス1.3%)にもかかわらず、エンゲル係数そのものは高い水準が続いているという点です。

これは「頑張って切り詰めているのに、家計の中で食費の重みが軽くならない」という状態を意味します。値上げを「1割まで」と受け止める方が多いのも、裏を返せばそれ以上は生活への影響が大きいと感じている表れでしょう。

節約の努力が数字に反映されにくい局面だからこそ、品目ごとの価格差を比較する、まとめ買いや献立の工夫をするといった対策の効果を、時々見直してみる価値がありそうです。

参考資料