4. 仮徴収・本徴収の切り替わりで、天引き額はどう動くか
ここまでの仕組みを踏まえて、仮徴収から本徴収に切り替わるときに天引き額がどう変化するかを整理します。
4.1 仮徴収は「前年度をもとにした暫定額」
4月・6月分の仮徴収額は、前年度の確定額をもとに算出された暫定的な額です。
8月分についても、その時点でまだ新年度の保険料額が確定していない場合は、同様に暫定額をもとに天引きされます。
4.2 本徴収は「確定額との差額」を調整する
新年度の保険料・税額が確定すると、10月分以降の本徴収では、年間の確定額から4月・6月・8月に仮徴収した分を差し引いた残りが、3回に分けて天引きされます。
そのため、前年度と比べて所得や保険料率が変わっていた場合、10月分の天引き額が8月分までと違う金額になることがあります。
年金からの天引き額は年6回のうち仮徴収と本徴収で変わる4/4

LIMO編集部作成
確定額が仮徴収額より多ければ天引き額は増え、少なければ減ります。
介護保険料であれば3年に一度の保険料率改定、国民健康保険料や後期高齢者医療保険料であれば毎年度の保険料率見直しが、この確定額に反映されます。
5. 受け取る前に知っておきたい注意点
最後に、天引き額の変化について誤解しやすいポイントを整理しておきます。
5.1 「必ず10月に変わる」とは限らない
仮徴収・本徴収の考え方は共通していますが、実際に天引き額の変更が反映される時期は、通知の発送状況や市区町村の事務処理スケジュールによって前後することがあります。
「10月になれば必ず金額が変わる」と決めつけず、年金振込通知書で実際の内訳を確認することが大切です。
5.2 保険料の合計が年金額の半分を超えると天引きされない場合がある
国民健康保険料や後期高齢者医療保険料は、介護保険料との合計額がその支払期の年金額の2分の1を超えると、特別徴収の対象から外れ、納付書や口座振替による普通徴収に切り替わります。
この場合、年金からの天引き額がかえって少なくなる一方で、別途自分で納付する手間が生じる点には注意が必要です。
5.3 天引き額が変わっても、年金の受給額が減っているわけではない
本徴収への切り替えで振込額が減ったとしても、それは保険料・税金として差し引かれる額が増えたためであり、年金そのものの支給額(額面)が減額されたわけではありません。
家計の管理をする際は、額面の年金額と、実際に振り込まれる手取り額の両方を分けて把握しておくと、変動があっても慌てずに対応できます。
特に75歳になって後期高齢者医療制度に移る前後は、国民健康保険料から後期高齢者医療保険料への切り替えが重なり、通知書の内容も変わります。届いた通知書は捨てずに、前年のものと見比べる習慣をつけておくと、天引き額の変化に落ち着いて対応できるはずです。
6. まとめ
10月に年金の手取り額が変わるのは、仮徴収から本徴収へ切り替わり、確定した保険料・税額との差額が調整されるためです。
対象になるのは介護保険料だけでなく、年齢や加入する制度に応じて国民健康保険料や後期高齢者医療保険料、住民税および森林環境税も含まれます。
変わるのはあくまで天引きされる額であり、年金そのものの支給額ではないことを踏まえたうえで、届いた通知書の内容を確認する習慣を持っておくとよいでしょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金から介護保険料、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか」
- 日本年金機構「年金からの介護保険料、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、住民税および森林環境税の特別徴収」
- 留萌市「年金特別徴収の仕組みについて」
- 「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
和田 直子
