2025年に成立した年金制度改正法により、遺族厚生年金の見直しが決まりました。厚生労働省は、この見直しについて「2028年4月施行予定です」と説明しています。
報道では「5年で打ち切り」という部分が取り上げられがちですが、見直しの中身はそれだけではありません。厚生労働省は「有期給付の額は新たに加算が上乗せされ、現在の遺族厚生年金の額の約1.3倍となります」と示しています。
大切な家族を亡くしたあとの生活をどう立て直すかは、多くのご家庭にとって切実な問題です。この記事では、5年の有期給付に上乗せされる「有期給付加算」を中心に、見直しで何が変わるのかを確認していきます。
なお、遺族厚生年金の見直しの全体像については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 遺族厚生年金の見直しは2028年4月に施行される
はじめに、いまの遺族厚生年金と見直し後の姿を並べて確認します。
1.1 いまの額は報酬比例部分の4分の3
日本年金機構によると、遺族厚生年金の額は「死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額」です。
被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算されます。若い世代でも一定の水準が確保される仕組みです。
1.2 見直し後は原則5年間の有期給付になる
厚生労働省は、遺族厚生年金の見直しを2028年4月施行予定としています。見直しの対象になった方は、受給できる期間が原則5年間に変わります。
なお、20歳代の方については、いまの制度でもすでに5年間の有期給付になっています。まったく新しい考え方が持ち込まれるわけではありません。
2. 支給額が約1.3倍になる「有期給付加算」の仕組みと継続給付について
ここからが今回の主題です。5年間の給付には、新たな加算が付きます。
2.1 短期間に集中して支えるという考え方
厚生労働省は「有期給付の額は新たに加算(有期給付加算)が上乗せされ、現在の遺族厚生年金の額の約1.3倍となります」と説明しています。
この考え方については、LIMOの記事「遺族厚生年金、2028年4月からの見直しで「対象となるのはどんな人?」変更内容は男女で異なる。影響を受けないケースも解説」から要点を引用して確認しておきましょう。
5年間の有期給付の対象となった場合、従来の遺族厚生年金の額に新たに「有期給付加算」が上乗せされます。これにより、受給期間中の年金額は、現在の遺族厚生年金の額と比較して約1.3倍になります。大切な家族を亡くした後の生活再建に向けて、短期間に集中してサポートするという考え方です。
出所:遺族厚生年金、2028年4月からの見直しで「対象となるのはどんな人?」変更内容は男女で異なる。影響を受けないケースも解説
2.2 5年が過ぎたあとも受け取れる場合がある
5年で必ず途切れるわけではありません。厚生労働省は「5年間の有期給付の終了後も、障害状態にある方や収入が十分でない方は、引き続き増額された遺族厚生年金を受給することができます」としています。
継続給付と呼ばれる仕組みで、状況に応じて支給が続きます。
3. 2028年4月から遺族基礎年金の見直し「対象になる人、影響を受けない人」どんな人?
誰が対象になるのかも押さえておきましょう。厚生労働省は、女性と男性で区分を分けて示しています。
3.1 女性は2028年度末時点で40歳未満が対象
女性については「18歳年度末までのこどもがいない、2028年度末時点で40歳未満の方」が対象と示されています。
2028年度に40歳以上になる女性は、この見直しの影響を受けません。
3.2 男性は60歳未満が対象
男性については「18歳年度末までのこどもがいない60歳未満の方」が対象です。
いまの制度では、夫が遺族厚生年金を受け取るには年齢の要件があります。見直しはこの男女の違いをそろえる方向で進められます。
就業不能や遺族の保障を考えるときは、まず公的年金でどこまで埋まるかを見ます。5年という期間だけでなく、その間の額が変わることもあわせて押さえておきたいところです。

