4. いまの遺族厚生年金がいくらになるかを自分の数字で見る

約1.3倍という数字は、もとになる額が分からないと実感につながりません。まず現行の計算に自分の数字を当てはめてみましょう。

4.1 報酬比例部分に4分の3を掛けるだけで目安は出る

遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。夫の報酬比例部分が年120万円であれば、遺族厚生年金は年90万円、月にすると7万5000円が目安になります。

報酬比例部分が年80万円なら年60万円、月5万円です。掛け算がひとつあるだけですので、電卓でも確認できます。

4.2 ねんきん定期便とねんきんネットで報酬比例部分を確かめる

もとになる報酬比例部分の額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。50歳以上の方に届くねんきん定期便には、これまでの加入実績にもとづく見込額が示されています。

ご夫婦それぞれの数字を並べてみると、どちらが先に亡くなった場合に家計がどう変わるかを具体的に考えられるようになります。

5. 影響がない区分をあらかじめ確かめておく

見直しの話を聞くと不安が先に立ちますが、対象から外れる区分もはっきり示されています。

5.1 こどもを養育している間は現行の扱いが続く

厚生労働省は、影響を受けないケースとして、すでに遺族厚生年金を受給している方、60歳以降に受給権が発生する方、18歳年度末までのこどもを養育する方、2028年度に40歳以上になる女性を挙げています。

18歳年度末までのこどもがいるご家庭は、この見直しの対象になりません。

5.2 こどもへの支援は拡充される方向にある

厚生労働省は、遺族基礎年金の「こどもがいる場合の加算額」を増額する方針も示しています。年間約23万5000円から28万円になるという内容です。

遺族厚生年金の期間が短くなる一方で、こどもがいるご家庭への支援は厚くなる設計になっています。片側だけを見て判断しないほうがよいところです。

6. まとめ

遺族厚生年金の見直しは2028年4月に施行される予定です。対象になった方は受給期間が原則5年間になりますが、その5年の間の額には有期給付加算が上乗せされ、いまの額の約1.3倍になります。

5年が過ぎたあとも、障害状態にある方や収入が十分でない方には継続給付があります。また、すでに受給している方や18歳年度末までのこどもを養育する方などは、この見直しの影響を受けません。

まずは現行の計算で自分の家庭の目安額を出し、そのうえで見直し後にどう変わるのかを見ていくと、必要な備えの大きさが見えてきます。

参考資料

村岸 理美