4. 納める所得税がない人には、所得控除も税額控除も届かない
所得控除も税額控除も、所得税を計算する過程で働く仕組みです。そのため、納める税がない人には効果が及びません。
税額控除は算出した所得税額から差し引くものなので、税額が控除額より小さければ、引ききれない部分が残ります。
引ききれない分をどう扱うかについては、LIMOの記事「【2026年8月最新】給付付き税額控除とは?いつから・いくらもらえる?「給付一本化」への転換と今後のスケジュール」から要点を引用して確認しておきましょう。
納める税金が3万円しかない場合、10万円の枠から引ききれない「7万円」が発生します。この引ききれなかった7万円を現金で給付します。また、所得税を納めていない(税額がない)低所得層には、枠の全額がそのまま現金として給付されます。
出所:【2026年8月最新】給付付き税額控除とは?いつから・いくらもらえる?「給付一本化」への転換と今後のスケジュール
給付という手段が組み合わされているのは、控除だけでは届かない層があるからです。
5. 身近な税額控除には配当控除と住宅借入金等特別控除がある
税額控除は種類が限られていて、名前を見れば思い当たるものもあります。
国税庁が主なものとして挙げているのは、配当控除、分配時調整外国税相当額控除、外国税額控除、政党等寄附金特別控除、認定NPO法人等寄附金特別控除、公益社団法人等寄附金特別控除、住宅借入金等特別控除などです。
配当控除は、総合課税の配当所得がある場合に、原則として配当所得の金額の10%または5%に相当する金額を控除するものです。申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得については適用できません。
寄附金については、所得控除の寄附金控除と、税額控除の各種寄附金特別控除が並んでいます。どちらの適用を受けるかで、軽くなる税額の計算方法が変わります。
6. 基本方針は税額控除と給付の組合せの検討を続けるとしている
給付付き税額控除の制度導入の基本方針は、将来的な方向性の項目で3つの仕組みの関係にも触れています。
税額控除と給付の組合せとすることについては、将来的に給付のみと決め打ちすることなく、今後とも、個人所得課税における人的控除の見直しによる税負担の変化や、デジタル技術の進展に応じた事務負担も踏まえ、検討を継続すると書かれています。
また税制の課題として、令和7年度税制改正法の附則等に基づき、人的控除の在り方の見直しを含む所得税の抜本的な改革について着実に検討を進めるとしています。
人的控除は配偶者控除や扶養控除、基礎控除といった所得控除にあたる部分です。給付の議論と所得控除の見直しが、同じ文書のなかで並んでいることになります。
7. まとめ
所得控除は課税される所得金額を減らす仕組みで、軽くなる所得税は控除額に税率を乗じた金額になります。
税額控除は算出した所得税額から直接差し引くので、税率にかかわらず控除額がそのまま効きます。
給付は税金の計算とは別にお金が支払われるため、納める税がない人にも届きます。給付付き税額控除という名前は、この2つを組み合わせるという考え方から来ています。
控除の案内を見かけたときは、それが所得控除なのか税額控除なのかを先に確かめると、手元にどれだけ残るのかを見積もりやすくなります。
参考資料
中本 智恵