物価上昇が続くなか、税金や社会保険料が家計の負担に感じる人は多いでしょう。いずれも収入や所得に応じて金額が決まるため、収入が多い人ほど納める額も増えます。

しかし、一定の所得を下回る人は住民税が非課税となり、世帯全員が要件を満たせば「住民税非課税世帯」として、社会保険料や医療費などの負担が軽くなる場合があります。

住民税が非課税になる所得のボーダーラインは、扶養する家族の人数や収入の種類、住んでいる自治体によって異なります。

この記事では、2026年度に住民税非課税となる年収の目安を、単身・夫婦・65歳以上に分けて確認します。あわせて、対象となった場合に利用できる主な優遇制度も見ていきましょう。

1. 【2026年度】住民税非課税世帯の基本ボーダーライン

住民税は、前年の所得をもとに課税されます。そのため、2026年度の住民税は、原則として2025年1月から12月までの所得をもとに計算される仕組みです。

住民税は、以下の2つで構成される税金です。

  • 所得割:所得に応じて負担する金額が決まる
  • 均等割:対象者が一律で定額を負担する

一般的に住民税非課税世帯とは、世帯を構成する人全員の住民税が非課税となっている世帯を指します。

では、東京23区在住の人を例に、2026年度の住民税非課税の基本ボーダーラインを見てみましょう。

住民税非課税の要件1/5

住民税非課税の要件

出所:東京都主税局「個人住民税」をもとに筆者作成

所得割・均等割ともに非課税

  • 生活保護を受けている
  • 障害者・未成年者・寡婦またはひとり親で、前年中の合計所得金額が135万円以下
  • 所得金額が35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+31万円以下(生計を共にする配偶者や扶養親族がいる場合)
  • 所得金額が45万円以下(生計を共にする配偶者や扶養親族がいない場合)

所得割のみ非課税

  • 所得金額が35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の合計人数)+42万円以下(生計を共にする配偶者や扶養親族がいる場合)
  • 所得金額が45万円以下(生計を共にする配偶者や扶養親族がいない場合)

東京23区の場合は、扶養する配偶者や親族がいない場合、前年の合計所得金額が45万円以下なら所得割・均等割ともに非課税です。一方、扶養する配偶者や親族がいる場合には、人数に応じて非課税限度額が引き上げられます。

住民税の均等割が非課税となる基準は、生活保護の保護費を決定する際に用いる「級地区分」で変わるため、自治体ごとに異なります。前述の東京23区は、1級地に該当する自治体です。2級地、3級地では非課税となるボーダーラインが変わります。全国共通の基準ではない点に注意しましょう。

なお、東京23区のような1級地では、扶養する配偶者や親族がいない人の基準額が、均等割と所得割のどちらも45万円で同じです。そのため1級地では「所得割だけが非課税になる」という状態は生じず、扶養がいる場合にだけ31万円と42万円という金額の差が効いてきます。

一方、所得割の基準額が全国一律であるのに対し、均等割の基準額は扶養がいない人で2級地41万5000円、3級地38万円と下がります。2級地や3級地では、扶養がいない人でも所得割だけが非課税になるケースが生じます。

次章では、単身・夫婦・65歳以上それぞれで、住民税非課税世帯になる年収の目安を確かめていきます。

2. 【単身・夫婦・65歳以上】住民税非課税になる年収の目安

では、実際に年収いくらまでなら住民税が非課税になるのでしょうか。

東京23区と同じく1級地の自治体である大阪府枚方市の基準を例に見てみましょう。

住民税非課税の基準額2/5

住民税非課税の基準額

出所:枚方市「個人市民税」をもとに筆者作成

  • 単身世帯:110万円
  • 夫婦世帯:166万円
  • 65歳以上・単身世帯:155万円
  • 65歳以上・夫婦世帯:211万円

基準額は、単身世帯や夫婦世帯については収入が給与のみの場合、65歳以上の世帯については収入が年金のみの場合です。

前述のとおり、1級地では、所得45万円以下で所得割・均等割ともに非課税になるのが一般的です。給与所得者には、給与所得控除として最低でも65万円が所得から差し引かれます。そのため、給与収入110万円までなら、住民税はかかりません。

一方、親族を扶養する世帯については、所得が「35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族の数)+10万円+21万円」以下であれば、所得割・均等割ともに非課税になります。夫婦世帯の場合は101万円以下なら住民税がかかりませんが、給与所得控除により、実質的な非課税基準額は166万円まで拡大されます。

なお、扶養する親族の収入も、非課税要件に該当していなければ、住民税非課税世帯にはなりません。自身の給与収入が166万円以下、配偶者の給与収入が110万円以下といった場合に、はじめて住民税非課税世帯とみなされます。

65歳以上になると、公的年金等控除により、基準額はさらに拡大されます。公的年金等控除は年金収入に対して適用されるもので、65歳以上で年金以外の合計所得金額が1000万円以下の場合、公的年金等の収入が330万円以下であれば控除額は110万円です。そのため、単身世帯なら155万円、夫婦世帯なら211万円までは住民税がかかりません。

ただし、年金以外の合計所得金額が1000万円を超えると控除額は100万円に、2000万円を超えると90万円に下がります。年金以外の所得が大きい人は、控除が110万円より小さくなる点に注意しましょう。

公的年金等に係る雑所得の速算表3/5

公的年金等に係る雑所得の速算表

出所:国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」

また、65歳以上の夫婦世帯の211万円は、扶養する側の年金収入の目安です。給与の場合と同じく、配偶者の年金収入も155万円以下でなければ、世帯として非課税にはなりません。

なお、ここまで紹介した「110万円」などの金額は、2026年度の住民税の目安です。給与所得控除の最低保障額は2027年度の住民税から74万円へ引き上げられるため、2026年中の給与収入をもとに判定する2027年度住民税では、1級地の単身者の場合、給与収入119万円以下が一つの目安となります。

ただし、74万円は2027年度と2028年度の2年間に限った措置です。2029年度以降の最低保障額は69万円となるため、1級地の単身者の目安は114万円に戻ります。

ここまで紹介してきた金額は一例です。実際には自治体によって非課税となる基準額が変わる場合があるため、自身の住民税課税状況などを確かめたい際は、居住する自治体に問い合わせてみましょう。

次章では、住民税非課税世帯が利用できる優遇制度を解説します。