4. 新NISAの成長投資枠には対象から外れている商品がある

商品の選び方に関わる話として、制度側で対象外とされているものも確認しておきます。

4.1 整理・監理銘柄は対象から外れる

金融庁は成長投資枠の除外対象として、整理・監理銘柄を挙げています。上場廃止が決まった銘柄や、その恐れがあるとして指定された銘柄です。

4.2 信託期間20年未満や毎月分配型も外れる

投資信託については、信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等が除外対象とされています。

長く持つことを前提にした制度なので、期間が短いものや、分配を毎月出して元本を取り崩しやすいものが外されている形です。

5. 新NISAで非課税になるのは運用益に限られる

税制上の扱いも、あらためて確認しておきます。

5.1 売却益と配当・分配金が非課税になる

金融庁は新しいNISAの特徴として、運用益(売却益・配当や分配金)が非課税になることを挙げています。通常の課税口座なら差し引かれる分が、そのまま残ることになります。

5.2 掛金を所得から差し引く仕組みはない

非課税の対象は運用益です。iDeCoのように掛金を所得から差し引く仕組みは、NISAには含まれていません。

年末調整や確定申告で所得を減らす効果を期待して始めると、想定と違う結果になります。何が非課税になる制度なのかを押さえておくことが大切です。

6. NISAの税制改正の要望は決定ではない

最後に、今回の要望の位置づけを整理しておきます。

6.1 制度は大綱と法改正を経て決まる

税制改正の要望は、各省庁が翌年度の改正に向けて出すものです。要望に入った項目がそのまま実現するとは限らず、内容が変わることも、実現しないこともあります。

実際に制度が変わるのは、税制改正大綱を経て法律が改正されたあとです。要望の公表だけでは、いまの取り扱いは変わりません。

6.2 いまの制度を前提に考えておく

したがって、売った枠が使えるのは翌年以降という現在のルールで考えておくのが安全です。要望が通ったかどうかは、年末以降の税制改正の内容で確認できます。

制度の適用や個別の取り扱いは、口座を開いている金融機関に確認してください。

和田 直子

今回の税制改正要望で非課税枠の当年復活が実現すれば、年内のリバランスや銘柄の乗り換えが容易になり、使い勝手は大幅に向上します。

ただし、枠の再利用が早まるからといって、頻繁な短期売買を繰り返すのは避けましょう。NISAの最大の強みは、複利効果を生かした中長期での安定的な資産形成にあります。目先の枠の戻り方にとらわれて売買を繰り返すと、売却タイミングの失敗や機会損失につながる恐れもあります。制度変更の動向を冷静に見守りつつ、まずは現行ルールを前提に、ご自身の投資方針に基づく長期運用をブレずに続けることが大切です。

7. まとめにかえて

金融庁が2026年8月に公表した令和9年度税制改正要望に、非課税保有限度額の当年中の復活が入りました。実現すれば、売った分の枠を同じ年のうちに使えるようになります。

ただし現在の制度では、復活するのは翌年以降で、戻る金額は買付け時の簿価の分です。年間投資枠はつみたて投資枠120万円と成長投資枠240万円の合計360万円、生涯の非課税保有限度額は1800万円で、うち成長投資枠は1200万円までです。

要望は決定ではありません。いまの取り扱いを前提にしたうえで、投信を選ぶときはコストと投資対象から確かめていくとよいでしょう。

参考資料

LIMO編集部NISA解説班