ひとりで老後を迎える場合、生活費をすべて自分の年金と貯蓄でまかなうことになります。夫婦であれば2人分の年金が入りますが、おひとりさまはそうもいきません。

厚生労働省が2026年7月に公表した「令和7年簡易生命表の概況」によると、60歳の平均余命は男23.86年、女29.07年でした。60歳の女性は平均で約29年、つまり89歳ごろまでの生活を考えることになります。

この記事では、60歳代のおひとりさまがどのくらい貯蓄を持っていて、年金をいくら受け取っているのかを確認していきます。

1. 60歳代「おひとりさま」は増加傾向に。平均貯蓄額はいくら?

まずは60歳代の単身世帯の貯蓄を見ていきましょう。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査」2025年の単身世帯調査から確認します。

対象は世帯主が60歳代の418世帯で、金融資産を保有していない世帯も含んだ集計です。

1.1 60歳代「おひとりさま」の貯蓄はいくらか

60歳代・単身世帯の金融資産保有額は次のとおりでした。

  • 平均:1364万円
  • 中央値:300万円

平均は1364万円ですが、中央値は300万円です。平均が中央値の4倍を超えているのは、多く持っている世帯が平均を押し上げているためです。

分布を見ると、金融資産非保有が30.4%で3割を占めます。一方で3000万円以上も15.6%あり、持っている世帯と持っていない世帯に分かれている状態です。

60歳代の単身世帯の金融資産保有額を階級別に並べた分布1/2

60歳代の単身世帯の金融資産保有額を、金融資産非保有から3000万円以上まで13の階級に分けて示した棒グラフ

出所:金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査 2025年」を参考にLIMO編集部作成

2. 60歳代「おひとりさま」の厚生年金と国民年金

次に、60歳代が受け取っている年金の額を確認します。厚生労働省の「令和6年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、年齢別の平均年金月額を見ていきましょう。

いずれも令和6年度末現在の受給権者の数値です。

2.1 60〜69歳の厚生年金の平均受給額

厚生年金(第1号)の平均年金月額は次のとおりです。この金額には国民年金(基礎年金)の月額が含まれています。

  • 60歳:9万9664円
  • 61歳:10万4455円
  • 62歳:10万9323円
  • 63歳:6万8758円
  • 64歳:8万3901円
  • 65歳:14万9862円
  • 66歳:15万2378円
  • 67歳:15万2356円
  • 68歳:15万2709円
  • 69歳:15万1284円

65歳を境に金額が大きく変わっています。60歳から64歳の受給権者は、特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢が引き上げられた影響で、主に定額部分のない報酬比例部分のみを受け取っている人だからです。

65歳以上になると基礎年金が加わるため、15万円台に上がります。60歳代前半の金額をそのまま老後の見込額として考えないよう注意が必要です。

2.2 60〜69歳の国民年金の平均受給額

国民年金(老齢基礎年金)の平均年金月額は次のとおりです。

  • 60歳:4万5186円
  • 61歳:4万6371円
  • 62歳:4万7784円
  • 63歳:4万7258円
  • 64歳:4万7896円
  • 65歳:6万1240円
  • 66歳:6万1369円
  • 67歳:6万1345円
  • 68歳:6万1293円
  • 69歳:6万978円

こちらも65歳を境に金額が変わります。60歳から64歳で国民年金を受け取っているのは繰上げ支給を選んだ人で、繰上げによって減額された額になっているためです。

65歳以上は6万円台前半でした。おひとりさまで国民年金だけの場合、この金額で生活費をまかなうことになります。

和田 直子

老後に向けて、備えがどのくらい必要かを考えるときには、年金額と生活費の差を先に試算して割り出すことが大切です。この差がわかれば、毎月どのくらいのペースでお金を取り崩すことになるのかが把握しやすくなり、逆算して最低限いくら蓄えるべきか目標が立てやすくなります。