2026年9月7日から、日本年金機構より令和9年分の「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」の発送が順次スタートしました。秋の足音が近づくこの時期、マイナポータル連携によるスマートフォンからの電子申請も普及してきましたが、ご自宅に分厚い紙の封筒が届いて「この書類はどうすればいいの?」「提出しないと年金が減らされてしまうの?」と不安に思われる方もいるかもしれません。

私自身、FP(ファイナンシャル・プランナー)として数多くの家計相談に携わってきましたが、「行政から届く書類の意味が分からず、とりあえず放置している」とシニア世代の方の声をうかがうこともありました。この申告書は、翌年の年金から引かれる所得税の金額を正しく計算するための重要な書類ですが、実は「全員が提出しなければならないわけではない」という点をご存じでしょうか。

今回は、この「扶養親族等申告書」がどのような人に届くのか、そして提出する必要がある人とない人の見分け方について、3つのポイントで分かりやすく解説します。

1. 年金の扶養親族等申告書、そもそも誰に届く?年齢によって違う「対象者の基準額」

まず、送付の対象になる年金額から見ていきます。

1.1 65歳以上は年金148万円以上

日本年金機構によると、老齢または退職を支給事由とする年金を受け取っていて、年間の金額が一定額以上の方に申告書が送られます。令和9年分では、65歳以上の方は148万円以上が対象です。

源泉徴収の対象となる方と、住んでいる市区町村で住民税の課税対象となり得る方に送られる形になっています。

1.2 65歳未満は98万円以上、退職共済年金は70万円以上

65歳未満の方は98万円以上です。退職共済年金の受給者で老齢基礎年金が支給されている方は、退職共済年金の年金額が70万円以上になります。

年齢と年金の種類で基準が分かれていますので、自分がどの区分に当たるかを確かめてください。

1.3 令和8年分の205万円から下がっている

この基準額は年分によって動いています。65歳以上の方で見ると、令和7年分までは158万円以上、令和8年分は205万円以上、令和9年分は148万円以上です。

令和8年分より基準が下がりましたので、前の年は届かなかった方に今年は届くという場合が出てきます。

年分によって送付の対象になる年金額が変わっています1/2

年分によって送付の対象になる年金額が変わっています

出所:日本年金機構「令和9年分『公的年金等の受給者の扶養親族等申告書』の紙の提出方法」をもとにLIMO編集部作成

2. 提出する・しないで何が変わる?

次に、出す場合と出さない場合の違いを見ておきます。

2.1 各種控除を受けるために必要な書類

日本年金機構は、この申告書は年金から源泉徴収される所得税や市区町村で課税される住民税において、配偶者控除等の各種控除を受ける際に必要な書類としています。

提出した場合は基礎控除と配偶者控除等の各種控除が差し引かれますが、提出しなかった場合は基礎控除のみになります。

2.2 提出しないと確定申告が必要になる

日本年金機構によると、申告書を提出しない場合は、確定申告を行わないと障害者控除や配偶者控除等を受けることができません。

申告書を提出した場合に比べ、該当する控除の分だけ多くの所得税が源泉徴収される場合があります。あとから確定申告で取り戻すことはできますが、手間は増えます。

2.3 控除に該当しない方は提出しなくてよい

一方で、受給者本人が障害者・寡婦等に該当せず、控除対象となる配偶者または親族、または退職手当等を受ける見込みのある配偶者または親族がいない方は、提出の必要がないとされています。

各種控除に該当しない方は、提出しなかった場合でも申告書を提出したときより多くの所得税が源泉徴収されることはありません。届いたからといって必ず出さなければならない書類ではないということです。

村岸 理美

毎年届く書類なので、去年と同じだろうと置いたままにしがちです。控除の対象になる家族がいるかどうかだけ、先に確かめてください。