9月は、緑色の封筒に入った「年金生活者支援給付金請求書」が、新たに対象となる可能性のある方へ順次発送される月です。
この給付金は、消費税率の引き上げに合わせて2019年10月に始まった仕組みで、公的年金等の収入が少ない高齢者や、障害・遺族の年金を受け取っている方を支えることを目的にしています。手元に届いた封筒を開いて、いくら受け取れるのかがすぐには分からず、そのままにしてしまう方もいます。
けれども、この給付は預金とは性質がまったく違うお金です。預金は使えばその分だけ減りますが、この上乗せは要件を満たしているかぎり毎月続いていきます。どちらが得かと頭を悩ませる前に、まずは額の決まり方をたどって、続いていくお金として何年分に相当するのかを見ておきましょう。
なお、9月から届く請求書と給付額の決まり方に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 9月から届く「みどり色の封筒」は、どんなお金の知らせなのか
平均の水準と、そこから大きく離れる人がなぜ生まれるのかを一続きで追いたいときは、9月から順次届く「年金生活者支援給付金の請求書」目安はいくら?平均月4249円なのに“月1万円超”もらえる人の共通点が参考になります。
老齢年金生活者支援給付金は、老齢基礎年金を受け取っている方のうち、前年の公的年金等の収入とその他の所得の合計が一定の所得基準を下回る方などに支給されます。その基準は、昭和31年4月2日以後に生まれた場合で年80万9000円以下とされています。
この所得基準額は、令和8年10月分から引き上げられます。9月に届くはがき型の請求書は令和8年10月分からの給付を判定するものにあたるため、新旧を並べておきます。
老齢年金生活者支援給付金の所得基準額
- 令和8年9月分まで:80万9000円以下(昭和31年4月1日以前に生まれた方は80万6700円以下)
- 令和8年10月分から:82万6500円以下(昭和31年4月1日以前に生まれた方は82万4100円以下)
もう一つ、日本年金機構によれば令和8年度の月額の基準は5620円です。ただしこの5620円は「基準」であって、実際に受け取る額は保険料の納付状況によって一人ひとり異なる仕組みになっています。ここが、封筒を開いた方が最初につまずくところです。
1.1 厚生労働省の月報が示す「平均月4249円」は、どのように出てきた数字なのか
厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業月報(令和8年3月分)」を確認すると、老齢年金生活者支援給付金の認定件数は438万4472件、給付金総額(月額)は186億2900万円でした。そこから逆算した1人あたりの平均給付金額が月4249円です。
注意しておきたいのは、この4249円が令和7年度の月額基準5450円で計算・支給された金額だという点です。令和8年度は基準が5620円に引き上げられているため、平均額と基準額は時点が違う数字として読む必要があります。
平均が基準額どおりになっていない理由は、加入期間の途中に保険料の未納や免除の期間がある受給者が含まれているためと考えられます。つまり、平均を自分の目安として当てはめると、外れる方向が人によって上にも下にも振れるということです。
2. 老齢の給付額を決める「2つの計算式」は、どこで差を生むのか
老齢年金生活者支援給付金の額は、「保険料納付済期間分」と「保険料免除期間分」の2つを合計して決まる設計になっています。補足的老齢年金生活者支援給付金や、障害・遺族の年金生活者支援給付金は計算式が異なるため、ここでは老齢分に絞って見ていきます。
日本年金機構が公表している令和8年度の計算式は、次の2本です。
- 保険料納付済期間分:5620円 × 納付済月数 ÷ 480
- 保険料免除期間分(全額・4分の3・半額免除):1万1768円 × 免除月数 ÷ 480
老齢年金生活者支援給付金の計算式1/2
出所:LIMO編集部作成
同じ1カ月でも、免除期間の月額単価は納付済期間の約2倍になっています。ここが差を生む決め手です。納付済期間だけで480月を埋めた方と、免除の期間を長く挟んだ方では、同じ制度から出てくる額が逆の向きに動きます。
令和8年度の基準額に沿って、3つの組み合わせを式に入れてみます。実在の方ではなく、制度の形を確かめるための組み合わせです。
- 20歳から60歳までの480月をすべて保険料納付済期間で埋めた場合:5620円 × 480 ÷ 480 で月5620円
- 納付済120月・全額免除360月の場合:納付部分が5620円 × 120 ÷ 480 で1405円、免除部分が1万1768円 × 360 ÷ 480 で8826円、合計して月1万231円
- 納付済300月・全額免除24月の場合:納付部分3513円と免除部分588円で、合計して月4101円
納付済期間と免除期間の組み合わせによる給付額の違い2/2
出所:LIMO編集部作成
3つ目の組み合わせで出てきた月4101円は、先に見た平均月4249円に近い水準です。逆に、免除の期間が長い2つ目の組み合わせでは月1万231円となり、基準額の5620円を上回ります。免除は損だという受け取り方をされがちですが、この給付金だけを切り出して見ると、押し上げる側に働く一面があるということです。
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