1. 50,520円から58,470円へ。1カ月の振れ幅が2割を超えた

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出所:各種資料をもとに筆者作成

出所:各種資料をもとに筆者作成

まず株価の道筋を追う。直近1カ月の起点となる8月7日の終値は55,600円だった。そこから数営業日で水準を切り上げ、8月13日には62,170円に達している。この1カ月で最も高い終値である。

ところが8月中旬を過ぎると流れが変わる。8月18日は59,000円、8月19日以降は55,000円台から53,000円台へと段を下げ、9月3日には50,520円まで沈んだ。こちらは1カ月で最も低い終値だ。

高い水準と低い水準の差は2割を超える。1カ月という短い窓でこれだけ動くのは、素材や部品を作る会社としてはボラティリティが高い。

そして9月7日の終値は58,470円。前営業日の53,510円から9%高い水準まで戻した。起点の8月7日と比べれば5%程度の上昇に落ち着くが、道筋は行き来の激しいものだった。

この日のPBR(株価純資産倍率)は4.77倍で、前営業日の4.36倍から一段上がった。株主が持つ純資産の4倍を超える値段が付いているという状態が続いている。

なぜこれだけ振れたのか。この期間に会社から新しい決算が出たわけではないので、理由を一つに絞ることはできない。半導体やハイテク関連の相場全体の地合い、次世代高速通信への思惑、そしてバリュエーションの調整が重なった可能性が高い。株価は会社の材料だけで動くものではない。

2. 営業利益率33.5%。減益の年でも崩れなかった収益の厚み

では会社の中身はどうか。2026年3月期通期は、売上高744億円(前期比+3.7%)、営業利益249億円(同▲7.2%)、経常利益263億円(同▲2.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益181億円(同▲5.6%)だった。増収ながら各利益は前期を下回っている。

なぜ減益になったのか。会社の説明によると、車載関連で市況が弱含んだうえ、半導体関連では下期に見込んでいた汎用メモリ向けの回復に期ずれが生じた。一方で次世代高速通信関連が高水準に推移して業績に寄与している。期末には汎用メモリ向けの回復の遅れと、一部新製品の立ち上げ時の歩留まりの低下が発生していたが、いずれも解消の目処が立っているという。

ここで注目したいのは、減益になっても収益の厚みが崩れていない点だ。営業利益率は33.5%、粗利率は52.6%。売上の半分以上が粗利として残り、その3分の1が営業利益として残る構造である。

ガラス・土石製品という分類名からは、セメントや板ガラスのような重厚長大で薄利の事業が連想されやすい。ところが同じ44社の営業利益率の中央値は8.3%、ROE(自己資本利益率)の中央値は7.6%にとどまる。MARUWAの営業利益率はその4倍の水準にあり、ROEも13.2%で中央値を大きく上回る。分類名から受ける印象と、実際の損益計算書の姿は同じところを指していない。

もっとも、ROEは5期前の18.3%から水準を下げてきている。利益の水準そのものは伸びているのに資本効率が落ちるのは、稼いだ利益が会社の中に積み上がっているからだ。この論点は後半で扱う。

3. 通期予想の引き上げが描く2027年3月期の絵姿

直近の数字はさらに強い。2027年3月期通期の会社予想は、売上高933億円(前期比+25.3%)、営業利益337億円(同+34.9%)である。

見逃せないのは、この予想が期初の水準から引き上げられている点だ。2026年3月期の通期決算を発表した時点での2027年3月期予想は、売上高841億円・営業利益297億円だった。それが1Qの時点では933億円・337億円へと変わっている。売上で92億円、営業利益で40億円の上積みである。

2027年3月期1Qの実績は、売上高192億円、営業利益63億円、当期純利益44億円、EPS(1株当たり利益)361.96円。通期予想に対する進捗率は売上高で20.6%、営業利益で18.8%となる。単純な4分の1のペースには届いていない。

これは会社の説明と整合する。情報通信関連事業は次世代高速通信関連の次期モデル向けで一層の強い需要が期待され、半導体関連事業は汎用メモリ関連の需要が下期より本格的に拡大する見通しだという。照明機器関連事業もLED需要の増加を見込む。つまり売上と利益は下期に重い。

加えて会社は、中東情勢などの地政学リスクにより今後の経済情勢が不透明なことから、リスクを勘案して慎重な見通しとしているとも述べている。強気の予想と慎重という言葉が同時に並ぶわけだが、これは矛盾ではない。前提を絞ったうえで、それでも3割超の増益が見えているという意味に読み取れる。

予想年間配当は1株110円で、2026年3月期の実績102円から増える見込みだ。1カ月で2割超振れた株価の背後で、会社の損益は静かに段を上げようとしている。株価の振れ幅と業績の傾きは、別々に見ておきたい。

4. 筆者コメント

業界内での立ち位置に照らすと、この会社の数字は同じ札の中で浮いている。ガラス・土石製品に分類される44社の粗利率の中央値は26.2%で、MARUWAはその2倍の水準にある。

もっとも、差が大きすぎるときは比較そのものを疑ったほうがいい。33業種のくくりは粗く、セメントや板ガラスと同じ箱に、電子部品向けのセラミック基板を作る会社が同居している。中央値との差は優劣ではなく、事業の違いを映しているだけかもしれない。

では相対で測れないなら、何を見るか。私は従業員数に目が向く。連結の従業員は1,322人。この規模で200億円台の営業利益を出す構造は、装置と歩留まりの管理が効いている証だろう。

そして歩留まりは、会社が自ら触れたとおり、新製品の立ち上げでいちばん崩れやすい。相対水準の高さは、生まれつきの体質ではなく管理の連続的な成果として見ておきたいところだ。