6. 請求手続きは、2つのパターンに分かれる

公的年金と同様に、年金生活者支援給付金の受給には請求手続きが必要です。

6.1 65歳を迎える人と、すでに受給中の人とで届き方が違う

年金生活者支援給付金の請求手続き6/11

これから65歳を迎える人とすでに年金を受給中の人で異なる請求書の届く時期と書類

出所:日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」をもとにLIMO編集部作成

これから65歳を迎える人には、誕生日の3カ月前に、老齢基礎年金の請求書に同封されて給付金請求書が届きます。同封の給付金請求書に必要事項を記入し、老齢基礎年金の請求書とともに提出しましょう。

すでに年金を受給中の人で、新たに年金生活者支援給付金の対象となった場合は、日本年金機構から毎年9月の第1営業日以降、順次「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が郵送されます。必要事項を記入し、郵便ポストに投函しましょう。

なお、繰上げ受給中の場合は書類の様式が異なります。

7. 一度提出すれば、その後の手続きは原則不要

「年金生活者支援給付金」は、近年しばしば実施されている、住民税非課税世帯を対象とする現金給付などの一時的な支援とは異なり、支給要件を満たしていれば継続的に受け取れる支援制度です。

一度請求書を提出すれば、支給要件を満たしている限り、2年目以降の手続きは不要です。継続支給の判定結果は前年の所得に基づき、毎年10月分(12月支給分)から1年間反映されます。

なお、継続認定の結果、給付額が変わる場合は「年金生活者支援給付金 支給金額変更通知書」が、支給対象外となった場合は「年金生活者支援給付金 不該当通知書」が郵送されます。金額に変更がない場合は通知書は届きません。

毎年度の額改定にともなう通知は、これとは別に「年金生活者支援給付金 支給金額(改定)通知書」として届きます。

なお、「日本国内に住所がないとき」「年金が全額支給停止のとき」「刑事施設等に拘禁されているとき」のいずれかに該当する場合、給付金は支給されません。

和田直子
一度請求すれば翌年以降の手続きが原則不要な点は便利ですが、その分「通知が来ないから安心」と思い込んでしまいがちです。実際には、所得の変化によって支給額が変わったり、対象外になったりすることもあります。届いた通知書には目を通す習慣をつけ、変更点があれば内容を確認しておくと安心です。

8. 2025年に成立した年金制度改正、5つの見直しポイント

公的年金の制度は、現役世代・シニア世代どちらにとっても、暮らしや仕事と密接な関係があります。

2025年6月13日、国会では年金制度改正法が成立しました。今回の改正の主な見直しポイントを整理しておきましょう。

8.1 社会保険の加入対象が拡大

見直し① 社会保険の加入対象の拡大7/11

短時間労働者の賃金要件と企業規模要件の見直しをまとめた図

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」をもとにLIMO編集部作成

  • 短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し。いわゆる年収「106万円の壁」撤廃へ

8.2 在職老齢年金の支給停止基準が緩和

見直し② 在職老齢年金の見直し8/11

在職老齢年金の支給停止調整額が2025年度51万円から2026年度65万円になることを示した図

出所:厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」をもとにLIMO編集部作成

  • 支給停止調整額は2025年度の月51万円から、2026年度は月65万円へ大幅緩和

8.3 遺族年金の受け取りやすさが見直し

見直し③ 遺族年金の見直し9/11

遺族厚生年金の男女差解消と子どもが遺族基礎年金を受け取りやすくする見直しの図

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」をもとにLIMO編集部作成

  • 遺族厚生年金の男女差を解消
  • 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

8.4 標準報酬月額の上限が段階的に引き上げ

見直し④ 標準報酬月額の上限の段階的引上げ10/11

厚生年金の標準報酬月額の上限が65万円から75万円へ段階的に引き上げられるスケジュール

出所:厚生労働省「厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて」をもとにLIMO編集部作成

  • 標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ(2027年9月に68万円、2028年9月に71万円、2029年9月に75万円)

8.5 私的年金制度も見直し

見直し⑤ 私的年金制度の見直し11/11

iDeCoの加入年齢上限引上げ、企業型DCの拠出限度額拡充、企業年金の見える化をまとめた図

出所:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」をもとにLIMO編集部作成

  • iDeCo加入年齢の上限引き上げ(2026年12月施行予定)
  • 企業型DCの拠出限度額の拡充(2026年12月施行予定)
  • 企業年金の運用の見える化(公布から5年以内に実施)

9. まとめ

公的年金の受給額が少ないと感じたときに使える制度は、年金生活者支援給付金だけではありません。所得が少ない世帯の負担を軽くする国民健康保険料の軽減制度や、一時的な資金繰りを助ける生活福祉資金貸付制度など、状況に応じた選択肢があります。

中でも年金生活者支援給付金は、返済の必要がなく、支給要件を満たしている限り2カ月に一度継続的に受け取れる制度です。2026年度の給付額は月額5620円(老齢・遺族の基準額、障害1級は7025円)で、前年度から3.2%増額されました。

自分が対象になるかどうかは、前年の所得や世帯の状況によって決まります。まずは支給要件を確認し、該当しそうな場合は忘れずに請求手続きを行いましょう。あわせて、2025年に成立した年金制度改正によって、社会保険の加入対象や在職老齢年金の基準なども変わりつつあります。今後の年金額や働き方にも影響する内容のため、あわせて押さえておくとよいでしょう。

参考資料

和田 直子