3. いまの制度は子のない夫に年齢の条件がある

男性の人数が女性より多い背景も確認しておきます。

3.1 55歳以上である方に限られる

日本年金機構によると、子のない夫は、55歳以上である方に限り遺族厚生年金を受給できますが、受給開始は60歳からとなります。

ただし、遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給できます。

3.2 妻の側には年齢の条件がない

同じ日本年金機構のページでは、子のない30歳未満の妻は5年間のみ受給できるとされています。30歳以上の妻には期間の区切りがありません。

いまの制度は妻と夫で扱いが分かれています。60歳未満の男性が新たに対象に入ると、人数がまとまって動くのはそのためです。

筆者はファイナンシャルプランナーとしてこれまで数多くの家計相談に携わってきましたが、遺族年金の見直しに不安を抱く方は少なくありません。

ただし、今回の見直しでは女性は受給期間が変わる側、男性は新たに受給できるようになる側と意味合いが異なるため、人数だけで判断せず、自分が対象となる条件を確認しておくことが大切です。

4. 影響を受けない方として4つが示されている

対象から外れる方も確認しておきます。

4.1 すでに受給している方と60歳以降に受給権が発生する方

厚生労働省は、見直しによって影響を受けない方として4つを挙げています。1つ目は既に遺族厚生年金を受給している方、2つ目は60歳以降に遺族厚生年金の受給権が発生する方です。

いま受け取っている方の年金が5年で止まるわけではありません。

4.2 こどもを養育する間の方と2028年度に40歳以上になる女性

3つ目は18歳年度末までのこどもを養育する間にある方の給付内容、4つ目は2028年度に40歳以上になる女性です。

推計が30歳代の女性に限られているのは、この4つ目があるためです。2028年度末時点で40歳未満という区切りと対になっています。

5. 遺族厚生年金の額は報酬比例部分の4分の3

対象になったとき、いくら受け取れるのかも押さえておきます。

5.1 亡くなった方の老齢厚生年金が基準になる

日本年金機構によると、遺族厚生年金の年金額は、死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額となります。

自分の加入記録ではなく、亡くなった方の記録で決まります。同じ制度でも受け取る額が人によって大きく違うのはそのためです。

5.2 加入期間が短くても300月として計算される場合がある

日本年金機構は、厚生年金保険の被保険者である間に死亡したときなど一定の要件による遺族厚生年金では、報酬比例部分の計算において、厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は300月とみなして計算するとしています。

若いうちに亡くなって加入期間が短くても、その分だけ額が小さくなるわけではありません。

6. 確かめておきたい3つのこと

自分が範囲に入るかどうかを見るための手立てをまとめます。

6.1 2028年度末時点の年齢を数える

女性の場合、区切りは2028年度末時点で40歳未満かどうかです。いまの年齢からその時点の年齢を数えておくと、どちら側かがはっきりします。

6.2 18歳年度末までのこどもがいるか確認する

男女とも、18歳年度末までのこどもがいない方が対象です。こどもがいる間は現行制度と同じ扱いになります。

6.3 年金事務所で自分の要件を確かめる

受給できるかどうかは、亡くなった方の保険料の納付状況によっても変わります。施行は2028年4月の予定ですので、いまの時点では現行制度で決まります。

自分の場合にどうなるかは、年金事務所や街角の年金相談センターで確認できます。

7. 2つの数字は64倍離れているが向きが逆

厚生労働省によると、見直しで新たに対象となる30歳代の女性は推計で年間約250人、新たに5年間の有期給付を受けられるようになる60歳未満の男性は推計で年間約1万6000人です。

女性の数字はこれまで期間の区切りなく受け取れた方が原則5年間の有期給付に変わる人数、男性の数字はこれまで受け取れなかった方が受け取れるようになる人数です。同じ「新たに対象」でも向きが逆になります。

見直しは2028年4月施行予定です。年齢とこどもの有無の2つで、自分がどちら側かを先に確かめておきましょう。

参考資料

村岸 理美