4. 「十分性」と「迅速性」の双方を追求した結果とされている
制度の形が決まるまでの経緯も語られています。
4.1 2つを同時に満たす方法を探した
会見では、負担軽減の十分性と迅速性の双方を追求し、十分な負担軽減をいち早く的確な形で届けるため、その実現に向けて取り組んできたと述べられています。
十分な額を届けることと、早く届けることの2つを同時に満たす方法を探したという説明です。
4.2 検討の過程で2つのことが明らかになった
その結果として、現時点で公的機関が保有する所得情報等を活用することで、所得に連動したきめ細かな給付でも令和9年6月以降の先行導入が可能であることが分かったとされています。
もう1つが、飲食料品の消費税率について1%であれば0%とするよりも事業者のシステム改修の期間を短縮でき、令和9年4月から実施可能であることです。この2つが分かったことで、いまの組み立てになりました。
5. 財源は特例公債に頼らずに確保するとされている
費用をどう用意するのかについても言及があります。
5.1 市場の信認が得られるように
会見では、財源確保についてその方針が明確でないという指摘があったことに触れています。
そのうえで、令和11年度から本格導入する給付と2年間のつなぎの双方について、市場の信認が得られるよう特例公債に頼らずに確保するとされています。
5.2 予算編成のプロセスで具体化する
具体的には、予算編成改革の方針として示しているとおり、今後の予算編成プロセスにおいて税収動向等を見極めながら進めるとされています。
金額や配分の詳細は、この過程で決まっていくことになります。
6. 地方自治体との役割分担は協議が続いている
実際に給付を届ける体制についても、検討が進められています。
6.1 国と地方が協力して運営する方向
内閣官房によると、基本方針では給付の執行に係る主体について、国と地方が協力して運営し、オールジャパンの事務負担を最小化していくという基本的な考え方の下、役割分担をしていく方向で検討を行うこととされています。
地方に役割を求めていく際には、制度設計や地方の役割を明確にした上で、国と地方の間の丁寧な協議を行うこととされています。
6.2 協議の場が設けられている
これを踏まえ、「給付付き税額控除」に関する国と地方の協議の場において、国と地方の間で協議を重ねていくとされています。
住んでいる自治体でどう手続きするのかは、この協議を経て決まっていく部分です。
7. 2つの狙いのどちらに効く案かを見分ける
元銀行員の視点から、これからの報道の読み方を挙げておきます。
7.1 手取りの話と働き方の話は別に動く
今後は給付の金額や対象をめぐる報道が増えていきます。そのとき、示された案が手取りを増やす側の話なのか、働き控えを緩和する側の話なのかを分けて読むと整理しやすくなります。
たとえば給付の額が論点なら手取りの側、所得の区切り方が論点なら働き方の側に関わってきます。
7.2 純負担率という見方を覚えておく
負担から給付を引いて世帯収入で割るという見方は、自分の家計にも当てはめられます。払っている税と社会保険料だけを見るのではなく、受け取っている給付も差し引いて考える形です。
給付の金額や対象となる所得の水準は基本方針では示されておらず、法案もまだ提出されていません。9月に大綱を決定した上で臨時国会に提出し、早期成立を目指すとされている段階です。決まった内容は国会審議を経てから確かめることになります。
8. 狙いは手取りを増やすことと働き控えの緩和の2つ
給付付き税額控除は、中所得・低所得の現役勤労者の負担を軽減して手取りが増えるようにすることと、「年収の壁」などによる働き控えを緩和して就労促進につなげることの2つを狙いとしています。
背景にあるのは、負担から給付を引いた値を世帯収入で割った「純負担率」が諸外国に比べて高いという認識です。これまでの一律の金額での給付とは異なり、負担と給付を総合的に捉える仕組みとされています。
本格導入は令和11年度からで、それまでの経過措置として令和9年4月から2年間、飲食料品の消費税率が1%になります。金額や対象はまだ示されていませんので、今後の大綱と国会審議を待つことになります。
参考資料
和田 直子