4. 大人がレゴを買う理由は「完成品」だけではない?

では、なぜ大人向けレゴがこれほど多様になっているのでしょうか。

ひとつ考えられるのが、「好きなものを自分の手で形にする」という体験です。

今回のPlayStationなら、初代PlayStationを知っている人にとっては、1990年代の記憶を思い出させる存在です。

ただし、完成品を眺めるだけなら、フィギュアや模型でも構いません。

レゴの場合は、箱を開けてパーツを組み立て、少しずつ見慣れた形に近づけていく工程そのものが楽しみになります。

特に大人向けの商品では、細かなディテールを組み立てることや、完成後にインテリアとして飾ることも魅力のひとつです。

これは、子どもの頃の「作って遊ぶレゴ」とは少し違います。

「好きなものを作って、完成したら部屋に飾る」

という、大人の趣味としての楽しみ方です。

5. 2万7980円でも「欲しい」と思わせる仕掛け

もちろん、2万7980円という価格は気軽に買える金額ではありません。

しかし、今回の商品は初代PlayStationに加え、コントローラー、ボタンのギミック、『グランツーリスモ』『サルゲッチュ』のジオラマまで含まれています。

また、完成後はゲーム機としてではなく、インテリアやコレクションとして楽しめることを考えると、「大人向け」だからこその価値が出てきます。

子どもの頃に初代PlayStationで遊んだ世代にとっては、「ゲーム機を買う」というより、「当時の思い出を組み立てて部屋に置く」という感覚に近い商品なのかもしれません。

今回のPlayStationがゲーム機を「遊ぶ」ものから「作る」「飾る」ものに変えたように、大人向けレゴは映画やゲーム、アートなど、すでに大人が趣味として楽しんでいるジャンルを、レゴという「組み立てる体験」に落とし込むことで、新たな楽しみ方を提案しているとも考えられます。

子どもの頃に好きだったものを、大人になった今、自分の手で組み立てる。そんな体験に2万7980円の価値を感じる人は少なくなさそうです。

6. トレンドウォッチャーのひとこと

大蔵 大輔

今回の「レゴ® PlayStation™」は、ゲーム機をレゴで再現した商品というだけでなく、「大人が自分の好きなものに時間とお金を使う」という現在の趣味市場の変化を象徴する商品ともいえそうです。

初代PlayStationが発売されたのは1994年。発売当時にゲームを楽しんでいた世代は、現在では30代、40代以上になっています。かつて子どもだった人が大人になり、今度は自分の好きだったゲームやキャラクターを「遊ぶ」だけでなく、「飾る」「集める」「組み立てる」といった形で楽しむようになっています。

大人向けレゴのラインアップがゲームだけでなく、映画、アート、乗り物、建築などへ広がっていることも、この変化をよく表しています。完成品を買うだけではなく、組み立てる時間そのものも含めて趣味として楽しめる点が、レゴならではの強みでしょう。

2万7980円という価格は決して安くありません。それでも、思い出のあるゲーム機を自分の手で組み立て、完成後はインテリアとして飾れる。今回の商品は、そんな「懐かしさ」と「大人の趣味」を組み合わせた商品です。今後もレゴがどんな「大人の好き」を商品化していくのか、楽しみなところです。

参考資料

大蔵 大輔