年金生活者支援給付金は、公的年金と同じく偶数月の15日に振り込まれます。次の支払日は10月15日。2026年度の引き上げ分は、6月支給分からすでに反映されています。
この給付金でよく知られているのは「月5620円」という数字です。ところが、実際に受け取っている人の平均額を見ると、老齢の場合は4146円。基準額どおりに受け取れる人ばかりではありません。
この記事では、2026年度の給付額と3種類それぞれの支給要件を整理したうえで、基準額と実際の平均額になぜ差が出るのかを確認していきます。
なお、年金生活者支援給付金の制度内容については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 2026年度の年金生活者支援給付金、基準額は月5620円
年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得額が一定の基準を下回る年金生活者を支えるため、2019年に始まった制度です。2カ月に一度、公的年金に上乗せする形で支払われます。
受け取っている基礎年金の種類に応じて、次の3つに分かれています。それぞれに支給要件と基準額が別々に定められています。
- 老齢年金生活者支援給付金:老齢基礎年金を受給している方向け
- 障害年金生活者支援給付金:障害基礎年金を受給している方向け
- 遺族年金生活者支援給付金:遺族基礎年金を受給している方向け
出所:年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説
1.1 前年度から3.2%の引き上げ、6月支給分から反映済み
年金生活者支援給付金の額は、公的年金と同じく年度ごとに見直されます。2026年度は前年度から3.2%の引き上げとなりました。
2026年度の月額は次のとおりです。
- 老齢年金生活者支援給付金:5620円(基準額)
- 障害年金生活者支援給付金:1級7025円・2級5620円
- 遺族年金生活者支援給付金:5620円
いずれも月額です。実際の振込は2カ月分をまとめて年金に上乗せする形なので、基準額どおりであれば1回あたり約1万1000円、年額にすると約6万7000円になります。
1.2 基準額どおり受け取れる人ばかりではない|3種類の平均給付月額
ここで注意したいのが、老齢年金生活者支援給付金は「5620円が確定額」ではないという点です。この金額はあくまで基準額であり、実際の給付額は保険料納付済期間などに応じて計算されます。480カ月すべて納めた人が5620円に届き、納付期間が短ければその分だけ減る仕組みです。
では、実際に受け取っている人はいくらなのか。厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2025年3月時点で認定されている平均給付月額は次のようになっています。
- 老齢年金生活者支援給付金:4146円
- 障害年金生活者支援給付金:5727円
- 遺族年金生活者支援給付金:5228円
老齢だけが基準額の5620円を大きく下回り、4146円にとどまっています。按分の仕組みがあるためです。一方、障害の平均が5727円と基準額の5620円を上回っているのは、1級の7025円が平均を押し上げているからだと考えられます。
つまり「月5620円もらえる制度」と一括りにすると、老齢の受給者にとっては実態から離れた数字になります。自分がいくら受け取れるのかは、納付済期間によって変わると理解しておきたいところです。
2. 誰が対象になるのか|3種類で線引きがまったく違う
同じ制度でありながら、対象になる条件は3種類で大きく異なります。順に見ていきましょう。
以下は、厚生労働省が示す令和8年10月時点の金額です。この給付金は判定結果が毎年10月分から反映される仕組みのため、所得の基準額も10月を境に切り替わります。
2.1 障害・遺族は「前年の所得491万8000円以下」が線引き
障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金の要件は、同じ形をしています。それぞれの基礎年金(障害基礎年金または遺族基礎年金)を受けていて、前年の所得が491万8000円以下であることです。扶養親族等がいる場合、この基準額はその数に応じて増額されます。
判定に使う所得に、障害年金や遺族年金といった非課税収入は含まれません。年金そのものをいくら受け取っていても、この判定には影響しないということです。
2.2 老齢は3つの条件をすべて満たす必要がある
これに対して老齢年金生活者支援給付金は、所得以外の条件も加わります。厚生労働省によると、対象となるのは下記の要件をすべて満たす人です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者である
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税である
- 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得との合計額が、昭和31年4月2日以後に生まれた方は82万6500円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方は82万4100円以下である
障害・遺族の491万8000円に対して、老齢は82万6500円。線引きの水準がまったく違うことが分かります。加えて、老齢だけは「同一世帯の全員が非課税」という世帯単位の条件がついています。本人の所得が低くても、同居する家族の誰か1人に住民税が課されていれば対象外です。
なお、こちらも判定に障害年金・遺族年金などの非課税収入は含まれません。
基準額を少し超えた人には「補足的老齢」がある
所得が基準額をわずかに上回っただけで給付がゼロになると、ぎりぎりで対象になった人との間で手取りの逆転が起こります。それを避けるために用意されているのが「補足的老齢年金生活者支援給付金」です。
厚生労働省によると、対象となる所得の範囲は、昭和31年4月2日以後に生まれた方で82万6500円を超え92万6500円以下、昭和31年4月1日以前に生まれた方で82万4100円を超え92万4100円以下です。所得が基準額から離れるにつれて給付額は少しずつ減っていき、上限に達したところでゼロになります。
ここまでが「いくら受け取れて、誰が対象か」の全体像です。ただし、要件を満たしていても自動的に振り込まれるわけではありません。次のページでは、受け取るために必要な手続きを確認します。

