物価の上がり方が落ち着かないなかで、老後資金の準備をそろそろ本格的に考えたいと感じている方は多いのではないでしょうか。
金融庁の集計によると、NISAの口座数は2025年12月末で2821万口座、買付額は累計71兆円に達しました。この秋から始めようと情報を集めている方も少なくないはずです。
ただ、「50歳から毎月5万円を積み立てたら、実際にいくらになるのか」という具体的な数字まで押さえている方は、それほど多くありません。
この記事では、新NISAの制度のポイントと、50歳から毎月5万円を15年間積み立てた場合の利回り別・積立額別の試算結果を確認していきます。
なお、新NISAの制度内容と積立シミュレーションの数値については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 新NISAは非課税で保有できる期間の上限がなくなり、年間投資枠はつみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円
- 50歳から毎月5万円を15年積み立てると、年1%で970万円、年5%で1324万円という試算結果
- 年利5%で15年運用しても、毎月8万円の積立で2119万円。3000万円には届かない計算
1. 新NISAで押さえておきたい制度のポイントは6つ
NISAは個人の資産形成を支援する制度として2014年に始まり、2024年に大きく改正されました。この改正後の制度が、いわゆる新NISAです。
まずは制度の枠を確認しておきましょう。制度の全体像については50歳から毎月5万円を15年運用した場合のシミュレーション記事でも取り上げられています。
1.1 年間投資枠と非課税保有限度額を確認する
新NISAの特徴は、次の6点に整理できます。
- 非課税で保有できる期間に上限がなくなりました。
- 「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を同時に利用できます。
- 年間の投資上限額は、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円です。
- 生涯にわたる非課税保有限度額は合計1800万円で、そのうち成長投資枠は最大1200万円まで利用でき、売却すれば枠が復活します。
- つみたて投資枠では、「長期の積立・分散投資」に適していると国が認めた投資信託などが対象です。
- 成長投資枠では、上場株式や投資信託など、より幅広い商品に投資ができます。
投資と聞くと、ある程度まとまったお金がないと始められないと思われがちです。
実際には月500円や1000円から買える商品も広がっており、少額からでも投資信託や株式の運用を始められます。この点は、これから始める方にとって入口の敷居を下げる要素といえます。
2. 50歳から毎月5万円を15年積み立てた場合、利回り別でいくらになるか
ここからは具体的な金額を見ていきます。老後資金を準備する期間を15年に区切り、利回りの違いで結果がどう変わるのかを確かめます。
試算の前提は次のとおりです。
- 50歳から65歳までの15年間で老後の資金を準備する
- 毎月の積立金額は5万円とする
- 投資信託の利回りは、安定運用を想定して年1%~5%で試算する
2.1 元本900万円に対する資産評価額の試算結果
金融庁の「つみたてシミュレーター」による試算結果は、以下のようになります。
想定利回りごとの資産評価額(元本900万円)
- 年1%の場合:970万円
- 年2%の場合:1047万円
- 年3%の場合:1131万円
- 年4%の場合:1223万円
- 年5%の場合:1324万円
積み立てた元本は900万円ですから、上乗せされる運用益はおよそ70万円から424万円の幅に収まる計算です。利回りが1%違うだけで、15年後の金額は100万円近く変わってきます。
もちろん、この数字は保証されたものではありません。期待できるリターンが大きいほど値動きの幅も大きくなるという関係を理解したうえで、無理のない金額で続けることが前提になります。
3. 15年で3000万円は届くのか、積立額を変えた試算で確かめる
老後に必要な金額は人によって異なりますが、ひとつの目安として3000万円を置いてみましょう。
50歳から65歳までの15年間でこの金額に届くのかどうか、毎月の積立額を変えて確かめます。
3.1 年利5%で15年運用した場合の積立額別の資産評価額
利回りを年5%に固定し、積立額だけを動かすと次のようになります。
毎月の積立額と資産評価額
- 月4万円の場合:1059万円
- 月5万円の場合:1324万円
- 月6万円の場合:1589万円
- 月7万円の場合:1854万円
- 月8万円の場合:2119万円
※想定利回りは年5%で計算
毎月8万円まで積立額を引き上げても、15年後の評価額は2119万円です。目標の3000万円には届きませんでした。
毎月8万円という負担は家計にとって軽いものではありませんし、利回りが想定どおりに推移する保証もありません。ここから読み取れるのは、目標額に近づけるうえで積立額よりも期間のほうが効きやすいということです。
4. 【独自試算】運用益が非課税になることで、税金はいくら分軽くなるのか
新NISAの最大の利点は、運用益に税金がかからないことです。ここでは、前の章の試算結果を使って、その差が金額としてどれくらいになるのかを確かめます。
課税口座で運用した場合、運用益には20.315%の税金がかかります。毎月5万円を15年間積み立てた場合の運用益にこの税率を当てはめると、次のようになります。
運用益が大きくなるほど、非課税で受けられる恩恵も大きくなります1/2
出所:金融庁「つみたてシミュレーター」の試算結果に税率20.315%を当てはめてLIMO編集部作成
- 年1%の場合(運用益70万円):約14万円
- 年2%の場合(運用益147万円):約30万円
- 年3%の場合(運用益231万円):約47万円
- 年4%の場合(運用益323万円):約66万円
- 年5%の場合(運用益424万円):約86万円
年5%で運用できた場合、課税口座なら約86万円が税金として引かれるところが、新NISAならかかりません。これは毎月5万円を1年5カ月ほど積み立てるのと同じ金額です。
運用益が大きくなるほど非課税の効果も大きくなりますので、利回りが低めに推移した場合でも制度を使わない理由にはならない、と考えていただいて差し支えありません。なお、税率や制度の内容は今後変わる可能性があり、この試算も一定の前提を置いたものです。
5. 収入が増えたタイミングで積立額を引き上げていくプラン
最初から毎月5万円を出すのは難しいという方もいます。その場合は、少額で始めて家計に余裕が出たときに積立額を上げていく進め方が現実的です。
金融庁が示している活用事例のひとつが、毎月1万円で始めて5年ごとに2万円ずつ積立額を増やし、合計25年間続けるというパターンです。
この場合、積み立てる元本の合計は1500万円になります。年3%で運用できたと仮定すると最終的な資産額は約1958万円となり、元本の約1.3倍という計算です。
最初の負担が軽いため途中でやめにくく、収入の増え方に合わせて調整できる点が、この進め方の利点といえます。
積立額をさらに引き上げた場合の試算については、こちらの記事でくわしく解説しています。あわせてご参考ください。
【新NISAシミュレーション】月10万円×15年積立+放置で資産はどう化ける?月3万円の少額戦略も公開
6. 【独自試算】積立を始める年齢を5年早めると、差はどれくらいつくのか
前のページで、目標額に近づけるうえでは積立額よりも期間が効きやすいと書きました。その差を金額で確かめておきます。
毎月5万円・年利5%という条件をそろえたうえで、50歳から15年間積み立てた場合と、45歳から20年間積み立てた場合を並べてみます。
元本の差は300万円ですが、評価額の差は約705万円に広がります2/2
出所:金融庁「つみたてシミュレーター」と同じ複利計算にもとづきLIMO編集部作成
- 50歳から15年(元本900万円):評価額1324万円、運用益424万円
- 45歳から20年(元本1200万円):評価額2029万円、運用益829万円
積み立てた元本の差は300万円ですが、15年後と20年後の評価額の差は約705万円まで広がります。運用益だけを比べると424万円と829万円で、およそ2倍の開きです。
元本1200万円は生涯の非課税保有限度額1800万円の枠内に収まりますので、この試算はすべて非課税で運用できる前提になっています。5年という時間の差が、負担の増え方以上に結果へ効いてくることがわかります。

