9月から10月にかけて、日本年金機構から「年金生活者支援給付金請求書」が届く人がいます。
年金生活者支援給付金は、公的年金に上乗せして支給される給付金です。2026年度の給付額は前年度から引き上げられ、老齢年金生活者支援給付金は月額5620円が基準となっています。
ただし、支給要件を満たしていても自動では振り込まれません。請求手続きをしないままだと、受け取れる金額が減ってしまうこともあります。
この記事では、2026年度の給付額と3種類の支給要件、そして請求手続きの流れを確認していきます。
専門的な話になるのですが、この給付金には押さえておきたい数字が2つあります。ひとつは基準額の月5620円。もうひとつは、請求の期限です。
基準額のほうは「全員が5620円もらえる」という意味ではありません。老齢の給付金は保険料を納めた月数で按分されるため、実際の金額は人によって変わります。そして期限のほうは、過ぎると受け取れる月数がそのまま減っていきます。
要点を先にお伝えすると、確認すべきは「自分はいくらになるか」「いつまでに出せばよいか」の2つです。記事ではこの順に整理していきます。
なお、年金生活者支援給付金の制度内容や年金の平均受給額については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
1. 2026年度の年金生活者支援給付金はいくらか
「年金生活者支援給付金」は、公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準に満たない場合に受け取れる給付金です。
老齢年金、障害年金、遺族年金のそれぞれの年金に給付金が設けられており、2カ月に一度、公的年金に上乗せして支給されます。また、給付額は公的年金と同様に、年度ごとに見直しがおこなわれます。
- 老齢年金生活者支援給付金:老齢基礎年金を受給している方向け
- 障害年金生活者支援給付金:障害基礎年金を受給している方向け
- 遺族年金生活者支援給付金:遺族基礎年金を受給している方向け
出所:年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説
1.1 2026年度の給付額は前年度から3.2%の引き上げ
2026年度の「年金生活者支援給付金」の給付額は、前年度より+3.2%引き上げが決定しており、6月支給分の「4・5月分給付金」から増額率が適用されます。
各給付金の2026年度月額は以下の通りです。
- 老齢年金生活者支援給付金(月額):5620円(※基準額)
- 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
- 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円
なお、老齢年金生活者支援給付金については、上記を基準額として、保険料納付済期間などをもとに実際の給付金額が計算されます。
1.2 老齢年金生活者支援給付金の給付額はどう計算される?
老齢年金生活者支援給付金は、全員が月額5620円を受け取れるわけではありません。
厚生労働省によると、給付額は次の2つを足し合わせた金額になります。
- 保険料納付済期間に基づく額(月額)=5620円×保険料納付済期間÷480月
- 保険料免除期間に基づく額(月額)=1万1768円×保険料免除期間÷480月
保険料免除期間に乗じる金額は、老齢基礎年金の改定に応じて変わります。全額免除・4分の3免除・半額免除の期間は1万1768円、4分の1免除の期間は5884円です(昭和31年4月2日以後に生まれた方の場合)。
つまり保険料を納めた期間が短い人ほど、給付額も少なくなる仕組みです。
1.3 【試算】保険料を納めた期間別に給付額を計算する
保険料免除期間がなく、納付済期間だけがある場合を想定して、期間別の給付額を計算してみます。基準額5620円に納付済月数を掛け、480月で割った金額です。
- 40年(480月)納付:月5620円/年6万7440円
- 35年(420月)納付:月4918円/年5万9016円
- 30年(360月)納付:月4215円/年5万580円
- 25年(300月)納付:月3513円/年4万2156円
- 20年(240月)納付:月2810円/年3万3720円
40年納付の人と20年納付の人では、月額で2810円、年額で3万3720円の差が出る計算です。
計算結果に50銭未満の端数が生じたときは切り捨て、50銭以上1円未満の端数が生じたときは1円に切り上げて計算されます。一定の前提を置いた目安であり、実際の金額は年金記録によって変わります。
2. 3種類で異なる支給要件
「老齢」「障害」「遺族」、3種類ある年金生活者支援給付金には、それぞれの支給要件が定められています。
一つひとつ整理していきましょう。以下の金額は、厚生労働省が示す令和8年10月時点のものです。この給付金は判定結果が毎年10月分から反映される仕組みのため、所得の基準額も10月を境に切り替わります。
2.1 「老齢年金生活者支援給付金」の支給要件
老齢年金生活者支援給付金の対象となるのは、下記の支給要件をすべて満たす方です。
- 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
- 同一世帯の全員が市町村民税非課税
- 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後に生まれの方は82万6500円以下、昭和31年4月1日以前に生まれの方は82万4100円以下(※2)
※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は除く
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた方で82万6500円を超え92万6500円以下である方、昭和31年4月1日以前に生まれた方で82万4100円を超え92万4100円以下である方には「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される
2.2 所得が基準を少し超えた人は「補足的老齢年金生活者支援給付金」
所得の基準額をわずかに超えた場合、そこで支給が途切れるわけではありません。
老齢年金生活者支援給付金の支給によって所得の逆転が生じないよう、基準額を超えた層にも「補足的老齢年金生活者支援給付金」が用意されています。
対象となるのは、前年の年金収入とその他の所得の合計が82万6500円を超え92万6500円以下の方です。昭和31年4月1日以前に生まれた方は、82万4100円を超え92万4100円以下が対象になります。
給付額は、保険料納付済期間に基づく額に「調整支給率」を乗じて計算されます。所得が基準額に近いほど給付額は多く、上限に近づくほど少なくなる仕組みです。
2.3 「障害年金生活者支援給付金」の支給要件
- 障害基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が491万8000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 障害年金等の非課税収入は除く
2.4 「遺族年金生活者支援給付金」の支給要件
- 遺族基礎年金の受給者である
- 前年の所得(※)が491万8000円以下である(扶養親族等の数に応じて増額される)
※ 遺族年金等の非課税収入は除く
いずれの年金生活者支援給付金も、前年の所得額が支給要件に関わっています。
3つを並べると、老齢だけが極端に厳しく見えます。所得の線引きが82万6500円と、障害・遺族の491万8000円に比べて6分の1ほどしかないためです。ただ、これは制度の性格の違いによるものです。
確認すべき項目の数からして違います。老齢は「年齢・世帯・所得」の3点。障害と遺族は「年金を受けているか・所得がいくらか」の2点です。老齢に世帯の条件が入っている以上、自分の所得だけを見ても判定はできません。子ども世帯と同居している方は、世帯全体の課税状況を確かめる必要があります。
逆に、ひとり暮らしで年金収入だけという方は、想像しているより要件に当てはまっている可能性があります。「自分は関係ない」と決める前に、3点それぞれを確かめてみてください。
なお、年金生活者支援給付金は、受給要件を満たしても自動では支給されません。受け取るためには、必ず「請求手続き」が必要です。


