3. 0%ではなく1%にした事情

税率の水準についても理由が述べられています。

3.1 システム改修の期間を短縮できる

会見では、飲食料品の消費税率については、1%であれば0%とするよりも事業者のシステム改修の期間を短縮でき、令和9年4月から実施可能であることが明らかとなったと述べられています。

0%にすると準備に時間がかかり、開始が遅れるという判断です。負担軽減の十分性と迅速性の双方を追求した結果とされています。

3.2 先行導入との組み合わせで実質ゼロ化

1%にとどめる代わりに、飲食料品に係る消費税1%の範囲内で、令和9年6月以降に所得に連動したきめ細かな給付を先行導入するとされています。

これにより、全体として飲食料品に係る消費税の実質ゼロ化を実現するという組み立てです。

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2つの選択にはそれぞれ理由が述べられています

出所:首相官邸「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除についての会見」をもとにLIMO編集部作成

4. 税率を柔軟に変更できるシステムの普及も図る

今回の措置には、もう1つの狙いも語られています。

4.1 将来の感染症や大災害を想定

高市総理は、かねてより、将来、急な感染症や大災害などが発生した際に、コロナ禍における欧州と同様、消費税率を柔軟に変更できるシステムなどを構築する必要があると考えてきたと述べています。

そのためにも今回、税率の変更に柔軟に対応できるシステムの普及促進を図ることとしており、これは我が国にとっての新たな挑戦でもあるとしています。

4.2 消費税導入以来はじめての減税

今回の飲食料品の消費税率の引下げは、日本で消費税を導入して以来、初めての消費税減税になるとも述べられています。

5. 農業従事者と外食産業への対応も示されている

影響を受ける事業者への言及もあります。

5.1 仕入税額控除の還付が受けられない場合

仕入税額控除の還付が受けられない農業従事者等に関しては、その影響を見極めつつ、過去の様々な支援策も参考としながら、現場の納得感のある対応を検討するとされています。

与党の意見も聞きながら、政府の責任において、今後の予算編成プロセスで具体化していくという説明です。

5.2 外食産業には資金繰りの予算措置

外食産業についても、その影響を見極めた上で、過去の様々な支援策を参考としながら、資金繰り等のための予算措置を検討し、与党とも連携しながら支援策を具体化していくとされています。

6. 会見の内容を読むときに気をつけたいこと

確認の順番を挙げておきます。

6.1 これは決定前の説明である

この会見は令和8年7月30日のもので、自民党の臨時役員会で伝えた内容を説明したものです。基本方針が閣議決定されたのは、その後の8月5日になります。

法案はまだ提出されていません。9月に大綱を決定した上で臨時国会に提出し、早期成立を目指すとされています。

6.2 対象は軽減税率の対象品目

1%になるのは、軽減税率の対象となっている飲食料品です。すべての買い物が1%になるわけではありません。

7. 給付より早く届くという判断と、システム改修の事情

給付ではなく消費税減税を選んだ理由として、過去の給付が手元に届くまでに相当の時間を要してきたことが挙げられています。コロナ禍の定額10万円と、給付開始が今年7月末までずれ込む見込みの子育て応援手当が具体例です。

0%ではなく1%にしたのは、1%であれば事業者のシステム改修の期間を短縮でき、令和9年4月から実施可能になるためとされています。

今回の引下げは、日本で消費税を導入して以来はじめての消費税減税になります。法案は9月の大綱を経て臨時国会に提出される予定です。

参考資料

和田 直子