4. 給付付き税額控除の対象外の人にも検討が進められている
対象外だから何もない、という説明にはなっていません。
4.1 双方から取り残される方が生じないように
会見では、所得に連動したきめ細かな給付と既存の年金制度の双方から取り残される方が生じないように検討していく、と述べられています。
また対象外となる方についても、所得に応じたきめ細かな給付と既存の社会保障制度の双方から取り残される方が生じないよう、全体として必要な支援が適切に行き届くようにしていくとされています。
4.2 結論の時期が分かれている
勤労意欲のある低所得の方については本格導入までに、就労していない高齢者については次期年金法改正が予定されている令和12年までに、それぞれ結論を得るとされています。
2つで時期が違う点は押さえておきたいところです。
5. 給付付き税額控除の本格導入には所得の把握が要る
なぜ令和11年度まで待つのかも説明されています。
5.1 配偶者の所得と16歳から18歳の情報
会見では、真に公平な給付を実現するには、高所得の配偶者の所得を把握することとともに、子育て世帯への支援の観点から16歳から18歳の被扶養者の情報を把握した上で本格導入する必要があり、それには一定の期間を要すると述べられています。
本人の所得だけでは判断しないという設計です。
5.2 これまでの給付との違い
そもそもこれまでの給付は、制度やインフラがない中でその都度行ってきたため、所得に連動したきめ細かな仕組みとすることはできず、自治体には急な準備をお願いすることになっていた、という説明もあります。
例として、昨年末の補正予算で対応を決めた子ども一人当たり2万円の物価高対応子育て応援手当でも、市区町村によっては給付開始が今年7月末までずれ込むといった見込みであることが挙げられています。
6. 給付付き税額控除の情報を追うときに気をつけたいこと
元銀行員の視点から、確認の順番を挙げておきます。
6.1 本格導入の前に、令和9年から動き出す部分がある
会見では、本格導入までの「つなぎ」についても具体的な時期が示されています。飲食料品の消費税率を1%へ引き下げるのが令和9年4月から2年間、所得に連動したきめ細かな給付の先行導入が令和9年6月以降です。
そして令和11年4月に本格導入するのに合わせて、飲食料品の消費税率は元の8%に戻していくとされています。令和11年という数字だけを見ていると、その前に動き出す部分を見落とします。
6.2 対象と金額はまだ決まっていない
令和8年8月5日に閣議決定されたのは基本方針です。誰がいくら受け取れるかという具体的な設計は、この先の段階になります。
会見では、9月には大綱を決定した上で臨時国会に法案を提出し、早期成立を目指すとされています。
6.3 家計の予定には織り込まない
対象になるかどうかも、金額も決まっていません。報じられた数字を家計の予定に入れてしまうと、後で組み直すことになります。
大綱が決まるまでは、制度の位置づけを押さえておくだけで十分です。
制度がまだ形になっていない段階では、確定した内容と検討中の内容を分けて読むことが大切です。会見の資料には「結論を得てまいります」「検討してまいります」という言い方が並んでいますが、これは決まったという意味ではありません。
いま確定しているのは、令和11年度から本格導入する方針と、対象として中所得・低所得の現役勤労者に着目するという方向性までです。金額も、対象になる所得の範囲も、これから決まります。
9月の大綱が出た時点で、あらためて自分が対象に入るかどうかを確かめる。その順番で十分に間に合います。最新の内容は、首相官邸や内閣官房の公表資料でご確認ください。
7. 給付付き税額控除は所得に連動し、対象外になる人もいる
令和11年度から本格導入される所得に連動したきめ細かな給付は、国民全員や一部の方のみを対象とした一律の金額での給付とは異なるとされています。着目しているのは中所得・低所得の現役勤労者です。
会見では対象外になる人として、勤労意欲のある低所得の方と、就労していない高齢者の2種類が挙げられています。いずれも既存の社会保障制度や年金制度での対応を含めて検討が続けられています。
対象も金額もまだ決まっていません。9月の大綱と、その後の法案で具体化されます。
参考資料
- 首相官邸「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除についての会見」
- 内閣官房「飲食料品に係る消費税率の引下げ及び給付付き税額控除(政府の基本方針)について」
- LIMO「【2026年8月最新】給付付き税額控除とは?いつから・いくらもらえる?「給付一本化」への転換と今後のスケジュール」
中本 智恵
