3. 65歳以降の介護保険料、全国平均は月6225円だが地域で差がある

65歳になり第1号被保険者に切り替わると、介護保険料は加入している健康保険の種類にかかわらず、お住まいの市区町村が設定する基準額をもとに計算されるようになります。この基準額は、市区町村が3年ごとに見直す「介護保険事業計画」に合わせて改定される仕組みで、現在は令和6年度から令和8年度までを対象とする第9期の計画期間にあたります。

厚生労働省が令和6年5月に公表した集計によると、第9期における全国の介護保険料基準額(月額・全国加重平均)は6225円で、第8期(令和3〜5年度)の6014円から3.5%の増加となりました。ただし、この金額はあくまで全国平均であり、実際の基準額は市区町村ごとに大きく異なります。

65歳以上の介護保険料、基準額には地域で約2.7倍の差2/2

65歳以上の介護保険料、基準額には地域で約2.7倍の差

出所:厚生労働省「第9期介護保険事業計画期間における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」(令和6年5月14日公表)をもとにLIMO編集部作成

同じ集計によると、基準額が最も高いのは大阪府大阪市の9249円で、最も低いのは東京都小笠原村の3374円です。両者の差は約2.7倍にのぼります。介護サービスの利用状況や高齢化率、施設整備の状況などが市区町村ごとに異なるため、こうした地域差が生じています。

また、実際に納める保険料は、基準額そのままではなく、本人や世帯の所得水準に応じて基準額に一定の乗率をかけた金額になります。所得が低い世帯には公費による軽減措置が適用され、基準額より低い保険料になる一方、所得が高い世帯では基準額の2倍以上の保険料になる場合もあります。

4. 介護保険料に「免除」はあるのか

結論から言うと、介護保険料には収入や資産の有無にかかわらず一律に適用される「免除」制度は基本的にありません。40歳以上で医療保険に加入している人、および65歳以上のすべての住民は、原則として介護保険の被保険者となり、保険料を納める義務があります。

ただし、生活が困難な状況にある人向けの軽減・減免の仕組みはいくつか用意されています。65歳以上で生活保護を受給している場合、介護保険の被保険者であることに変わりはありませんが、保険料は生活保護の生活扶助費の中から実質的に賄われ、介護サービスが必要になった際は介護扶助という形で自己負担なく利用できる仕組みになっています。一方、40〜64歳で生活保護を受給する場合は、医療保険の資格を失うことにともなって介護保険の被保険者からも外れるため、この年代では第2号被保険者としての保険料負担自体が生じません。

このほか、災害で大きな被害を受けた場合や、失業・病気などで収入が著しく減少した場合には、お住まいの市区町村の条例に基づいて保険料が減額・免除される制度を設けているケースもあります。適用の可否や基準は市区町村ごとに異なるため、該当する可能性がある方は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口に相談することをおすすめします。

和田 直子

「介護保険料が高くて困っている」という声を聞くことがありますが、まったく身動きが取れないわけではありません。所得段階に応じた軽減の仕組みがすでに組み込まれていますし、収入が大きく減った場合の減免制度もあります。まずは自分がどの所得段階に該当しているのかを、市区町村から届く通知で確認してみることが第一歩です。

65歳以降は年金からの天引きが基本になるため、手取りの年金額が思ったより少ないと感じる方も多いです。年金の見込み額を確認する際は、介護保険料や税金が差し引かれた後の金額で老後の生活費を考えておくと、実際の生活とのギャップが生まれにくくなります。

5. まとめ

介護保険料は40歳から始まり、65歳以降は年金から天引きされる形で、生涯にわたって納め続けることになる保険料です。40〜64歳の会社員であれば年収に応じて月2000円台から6000円台程度、65歳以上では全国平均で月6225円程度が目安になりますが、お住まいの地域によって基準額には最大で約2.7倍の差があります。収入や資産の有無を問わない一律の「免除」制度はありませんが、所得の低い方向けの軽減措置や、生活保護受給者への対応、市区町村独自の減免制度は用意されています。ご自身の保険料がどのように決まっているのか、また将来の年金生活における負担がどの程度になりそうか、早めに確認しておくことをおすすめします。

参考資料

LIMO編集部社会保障解説班