仕事で強いストレスを感じる原因といえば、これまで「仕事の量」が最も多く挙がってきました。ところが今月公表された調査で、その顔ぶれが変わっています。

厚生労働省が2026年8月7日に公表した「令和7(2025)年 労働安全衛生調査(実態調査)」※です。働く人が何に強いストレスを感じているのか、その内訳が示されています。

※調査対象:常用労働者を10人以上雇用する民営事業所から無作為に抽出した約1万4000事業所と、当該事業所に雇用される常用労働者および受け入れた派遣労働者から無作為に抽出した約1万8000人(ち有効回答を得た8054事業所と8393人について集計)。

これから紹介する数値は役職を問わない働く人全体のものです。そのうえで、何が動いたのかを順にみていきましょう。

ココがポイント
  • 強いストレスと感じる事柄がある労働者は67.5%。令和6(2024)年調査の68.3%からわずかに低下
  • 内容は「仕事の量」39.5%と「仕事の失敗、責任の発生等」39.5%が同率で最多に。対人関係も26.1%から32.9%へ
  • 相談できる人がいるのは94.8%。それでも実際に相談したことがあるのは71.2%にとどまる

1. 【最新調査】仕事に強いストレスを感じている人は67.5%

まずは、どんな調査なのかを確認します。厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」は、労働災害防止計画の重点施策を策定するための基礎資料とし、労働安全衛生行政運営の推進に資することを目的として実施されている調査であり、令和7(2025)年の結果が、2026年8月7日に公表されました。

結果をみると、現在の仕事や職業生活に関することで、強い不安、悩み、ストレスと感じる事柄がある労働者の割合は67.5%でした。令和6(2024)年調査の68.3%から、わずかに下がっています。

全体の割合だけをみれば、ほぼ横ばいといってよい動きです。ただ、今回注目したいのは全体の水準よりも、その中身のほうです。

この調査は毎年行われており、前年と比べることで動きが分かります。今回みていきたいのは、まさにその変化のほうです。

強いストレスを感じている人が7割近くいるという状況は、ここ数年ほとんど変わっていません。変わっているのは、その中身です。

何にストレスを感じているのか。そこが動いているとすれば、対策の向け先も変わってくることになります。

2. ストレスの内容が変わった。「仕事の失敗、責任の発生等」が「仕事の量」に並ぶ

強いストレスと感じる事柄がある労働者について、その内容(主なもの3つ以内)をみていきます。最も多かったのは「仕事の量」39.5%と「仕事の失敗、責任の発生等」39.5%で、この2つが同率で並びました。

令和6(2024)年調査では、「仕事の量」が43.2%、「仕事の失敗、責任の発生等」が36.2%でした。量が下がり、責任が上がった結果として、今回は肩を並べたことになります。

強いストレスの内容は「責任」が「仕事の量」に並んだ1/2

強いストレスの内容は「責任」が「仕事の量」に並んだ

出所:厚生労働省「令和7(2025)年 労働安全衛生調査(実態調査)」をもとにLIMO編集部作成

図は、主な5項目について令和6(2024)年と令和7(2025)年を並べたものです。薄い色が令和6(2024)年、濃い色が令和7(2025)年にあたります。

2.1 上がった項目と、下がった項目

上がった中で多いのは「仕事の失敗、責任の発生等」が36.2%から39.5%へ、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が26.1%から32.9%へ、「仕事の質」が26.4%から30.7%へと動きました。

下がった中で多いものは「仕事の量」が43.2%から39.5%へ、「役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等)」が19.8%から17.7%へと下がっています。

働く時間や量を減らす取り組みは、この数年で進んできました。数字の上でも、量を理由に挙げる人は少しですが減っています。

けれども、量が減っても、失敗したときに責を負う立場そのものが軽くなるわけではありません。

また、仕事の質の方は上がっており、求められるものが変化しているとも考えられます。

3. 仕事のストレス、相談できる人がいるのは94.8%。それでも実際に相談したのは71.2%

同じ調査には、相談の状況も示されています。仕事や職業生活での不安、悩み、ストレスについて相談できる人がいる労働者の割合は94.8%でした。令和6(2024)年調査の94.6%から、ほぼ横ばいです。

ところが、相談できる人がいる労働者のうち、実際に相談したことがある労働者の割合は71.2%にとどまりました。こちらは令和6(2024)年調査の74.7%から下がっています。

相談できる人はいる。それでも相談した人は減っている2/2

相談できる人はいる。それでも相談した人は減っている

出所:厚生労働省「令和7(2025)年 労働安全衛生調査(実態調査)」をもとにLIMO編集部作成

図は、相談の状況をまとめたものです。相手として挙げられた割合と、実際に相談した相手の割合を並べています。

相談できる人(複数回答)をみると、「家族・友人」が74.8%と最も多く、次いで「上司」が63.8%でした。令和6(2024)年調査では家族・友人が68.6%、上司が65.7%でしたから、家族・友人が増え、上司は減っています。

実際に相談した相手(複数回答)でも、「家族・友人」が68.3%と最も多く、次いで「上司」が56.6%。令和6(2024)年調査の62.1%、58.9%と比べると、こちらも同じ向きに動いています。

男女別にみると、男性は「家族・友人」が71.0%と最も多く、次いで「上司」が66.6%。女性は「家族・友人」が79.1%と最も多く、次いで「同僚」が68.6%で、頼る相手が分かれています。

悩みやストレスは人にまず話すことで気持ちが落ち着いたり、時には悩みの糸口に気付いたりもするもの。自身で抱えているだけでは辛いものがあります。まずは信頼できる家族や友人から、そして会社の同僚や上司のなかにも相談できる相手がいるなど、相談できる相手が複数いると心強いですね。

上司側としてはこの結果をうけとめ、相談しやすい環境作りも心掛けたいものです。

4. まとめにかえて

今回は、2026年8月7日に公表された令和7(2025)年の労働安全衛生調査から、ストレスの中身の変化をみてきました。強いストレスと感じる事柄がある労働者は67.5%で、令和6(2024)年調査の68.3%からわずかに低下しています。

一方で内容は動きました。「仕事の量」が43.2%から39.5%へ下がり、「仕事の失敗、責任の発生等」が36.2%から39.5%へ上がって並んだ。対人関係も26.1%から32.9%へ伸びています。

量を減らす取り組みは進みました。けれど、責任と人間関係という部分は、むしろ重くなっているところもあると考えられます。

そして相談です。相談できる人がいるのは94.8%なのに、実際に相談したことがあるのは71.2%。相手として「上司」を挙げる割合も下がっています。

仕事は生活の多くを占めますから、ストレスや悩みを減らしたり、解決の方法を探したりしたいものですよね。

体調や気分の落ち込みが続くときは、抱え込まずに産業医や職場の相談窓口、お住まいの自治体の相談先など、公的な窓口に相談してください。制度や社内の手続きについての判断は、勤務先の人事労務部門に確認するのが確実です。

5. 執筆者コメント

宮野 茉莉子
証券会社で個人のお客さまと向き合っていたころ、数字そのものより「その数字をどう受け止めているか」で判断が変わる場面を何度も見てきました。今回の調査で私がいちばん重く感じたのは、相談できる人が94.8%もいるのに、実際に相談した人は71.2%にとどまる、というギャップです。相手はいるけれど、相談できないという方もいるのではないでしょうか。ストレスや悩みは人に相談しにくいものですが、抱えたまま時間が経つほど体力や気力に影響しますし、選べる手が減ることもあります。早い段階で誰かに事実を話しておくことが、結果としていちばんよい選択になることもあります。一人で抱え込まず、まずは信頼できる人に相談してみるのも一つでしょう。

参考資料

宮野 茉莉子