3. 加入を続けると年金額に積み上がる
60歳以降の加入には、直接の効果があります。
3.1 報酬比例部分は期間で増える
老齢厚生年金の報酬比例部分は、加入期間と報酬の水準で決まります。60歳以降も厚生年金に加入して働けば、その期間が加入期間に積み上がります。
同じ年報によると、老齢年金受給権者の平均被保険者期間は413月、年数にすると34年5カ月でした。480月に届いていない人にとって、60歳以降の加入は残りを埋める機会になります。
3.2 老齢基礎年金は増えない
一方で、老齢基礎年金は20歳から60歳になるまでの40年間の加入期間に応じて計算されます。60歳以降に厚生年金へ加入しても、この部分は増えません。
増えるのは2階部分ということになります。1階と2階で扱いが違う点は、押さえておきたいところです。
4. 若い層は人数が少ない
下の年齢も見ておきます。
4.1 20歳代前半は248万6000人
19歳以下の被保険者は17万2000人で0.4%、20歳から24歳は248万6000人で5.8%でした。25歳から29歳は447万人で10.4%です。
20歳代前半が少ないのは、進学などで就職の時期が後ろにずれているためと考えられます。25歳を超えると一気に増えます。
4.2 20歳前の加入も記録に残る
19歳以下で加入している17万2000人も、その期間は厚生年金の記録として残ります。高校卒業後すぐに就職した場合などが該当します。
20歳前の厚生年金加入期間は、老齢基礎年金の計算には入りませんが、報酬比例部分には反映されます。短い期間でも記録は積み上がっているということです。
5. 自分の記録で確かめる
統計は全体の姿にすぎません。
5.1 加入期間はねんきん定期便で
自分が何月加入しているかは、ねんきん定期便やねんきんネットで確認できます。50歳以上の定期便には、老齢年金の種類と見込額も記載されます。
ただし見込額は、60歳到達の前月まで加入し続けると仮定して計算されています。60歳以降も働く予定なら、実際の額はこれより増えることになります。
5.2 働き方は年金と一緒に考える
60歳以降に厚生年金へ加入して働く場合、在職老齢年金による支給停止の対象になることがあります。加入で増える分と、止まる分の両方を見る必要があります。
どちらか一方だけを見て判断すると、見通しがずれやすくなります。金額の試算は年金事務所で依頼できますので、確認してみてください。
平均被保険者期間が413月、つまり34年5カ月というのは、480月まで67月、およそ5年7カ月足りない水準です。60歳以降の加入がここを埋める役割を持つ、という関係になります。
ただし、増える部分と止まる部分は別々に計算されます。加入期間が伸びて報酬比例部分が増えても、在職老齢年金の基準を超えていれば、その分の支給は調整されます。両方を並べて初めて、手元に入る額が見えてきます。
なお、在職老齢年金の基準額は2026年4月から見直されています。ご自身の条件でどうなるかは、年金事務所やねんきんネットで最新の内容を確かめてください。
6. まとめにかえて
令和6年度末現在の厚生年金保険(第1号)の被保険者数は4284万9000人、平均年齢は44.9歳でした。最も多いのは50歳から54歳の602万人で14.0%を占めます。
60歳以降も加入している人は586万2000人います。60歳から64歳が378万7000人で8.8%、65歳から69歳が207万4000人で4.8%、70歳以上は1000人です。
60歳以降の加入は報酬比例部分に積み上がりますが、老齢基礎年金は増えません。自分の加入期間と見込額は、ねんきん定期便やねんきんネットで確かめてみてください。
参考資料
中本 智恵
